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公務員を辞める前の貯金はいくら必要?元市役所15年が実例で解説

お金・家族・将来

退職を意識し始めた年の冬、私は夜の台所で通帳と家計簿を広げ、支出を1行ずつ洗い直していました。市役所に勤めて15年、35歳のときです。

その作業で最初に突き当たったのが、公務員は失業保険(雇用保険の基本手当)が出ないという事実でした。「生活費3か月分あれば辞められる」という一般的な記事のとおりに準備すると、公務員の場合は足りなくなるおそれがあります。

実は当時の私は、電卓を何度たたいても「これで足りるのか」に答えを出せずにいました。足りるかどうかを判断する物差しそのものを、持っていなかったからです。

調べるほどに、会社員向けの目安と公務員の実情のずれが見えてきました。前提が違うのに、答えの数字だけ借りてくるわけにはいきません。

会社員向けの目安をそのまま信じていたら、私は準備不足のまま辞めていたかもしれません。当時知りたかったのは平均額ではなく、「わが家の場合はいくら必要か」を出す方法でした。

その計算のしかたと、年収200万円ダウンの転職を家計が持ちこたえた実例を、当時の私に説明するつもりで書いていきます。読み終えるころには、自分の数字で必要額を出せるはずです。

この記事を書いた人

市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。

当ブログでは、公務員からの転職に関する体験談や実践的な情報を発信しています。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。

公務員を辞める前に必要な貯金の目安

先に結論をお伝えします。貯金の目安は「金額」ではなく「生活費の何か月分」という月数で考えるのが出発点です。

一般の会社員向けには3〜6か月分といわれますが、公務員は6か月分を起点に上乗せを検討したほうが安全です。その理由から順に説明します。

目安は生活費6か月分が出発点になる理由

会社員向けの記事で見かける「3か月分」という目安には、雇用保険の基本手当を受けられる可能性が織り込まれている場合が多いようです。離職後の生活費を給付で一部補える人なら、それでも成り立ちやすいのです。

公務員にはこの前提がありません。空白期間が延びたときに頼れる給付が原則ないため、長めの6か月分を出発点にする考え方が合っています。

この「生活費6か月分」が、公務員にとっての生活防衛資金にあたります。

6か月という月数は、たとえば6月末に辞めた場合、7月から12月まで無収入でも家計が回る水準です。こうして自分の暮らしのカレンダーに置き換えてみると、準備の実感がわいてきます。

同じ例で3か月分しか用意していなければ、9月末で底をつく計算です。決まらないまま秋を迎える想定をしてみると、この差の大きさがはっきり見えてきます。

転職活動にかかる期間は、応募先の業界や時期によって幅があるものです。短期決戦を前提にした計画は、外れたときの傷が深くなります。

私も辞める前は、「何か月なら無収入でも家族の生活が崩れないか」という月数から逆算しました。金額より月数で考えるほうが、わが家の家計に引きつけて判断できたからです。

公務員は上乗せが必要になりやすい理由

6か月分にさらに上乗せを勧める理由は3つあります。どれも公務員だからこそ効いてくる事情です。

1つ目は、繰り返しになりますが失業給付が出ないことです。空白期間の収入がゼロになる前提で、月数を積んでおく必要があります。

2つ目は、住民税が前年の所得を基準に退職後も請求されることです。公務員時代の所得で計算された税金を、収入が減った時期に払うことになります。

3つ目は、離職期間が読みにくいことです。公務員からの転職は職務経歴の伝え方に工夫が要るため、活動が想定より長引く場合があります。

実際、私の転職活動でも、市役所の経験をどう職務経歴書に落とすかで手が止まりました。この詰まりの分だけ、活動の期間は読みにくくなります。

とくに2つ目の住民税は、在職中に意識する機会がないぶん見落とされがちです。私も納付書の仕組みを調べるまで、勘定に入れていませんでした。

この3つの家計への影響は、空白期間の短縮や退職時期の調整で軽くできます。具体的な打ち手は後半の章にまとめました。

金額より先に「月の生活費」を把握する

月数で考える以上、最初の作業は自分の家計の「月の生活費」を出すことです。ここが曖昧なままだと、どんな目安も計算式も機能しません。

家計簿をつけていなくても、直近3か月分の通帳とカード明細をさかのぼれば概算はつかめます。毎月の引き落としと現金の引き出しを拾うだけでも、出てくるのは実態にかなり近い数字です。

このとき、月払いでない支出の落とし穴に注意が必要です。車検や保険の年払い、帰省の費用などは、12で割って月の生活費に乗せておくと後で慌てません。

世帯規模ごとの平均的な支出は、総務省統計局の家計調査で確認できます。ただし平均は自分の家計と見比べるための物差しで、計算に使うのは自分の数字です。

平均より多いから悪い、少ないから安心という話でもありません。見比べて差が大きい費目があれば、そこが見直しの候補になるという使い方が現実的です。

私は妻と一緒に、3か月分の明細を台所のテーブルに並べて書き出しました。把握していたつもりの支出と実際の数字にはずれがあり、この作業だけでも辞める前にやる価値がありました。

辞める前に押さえる公務員特有のお金の前提

公務員の退職準備で最初に押さえるべき前提は、雇用保険の適用外なので、辞めても失業給付(基本手当)を受け取れないことです。代わりに退職手当が、その役割を担う位置づけとされています。

この前提を知らないまま一般向けの記事で計画した場合、狂うのは収入見込みの根本です。関係するお金を3つに分けて確認します。

公務員に失業保険が出ない理由と代わり

公務員は雇用保険に加入していないため、離職してもハローワークで基本手当を受け取れません。会社員の「辞めても失業保険でしばらくつなげる」という常識が、公務員には通用しないのです。

厳密には、非常勤の職員など雇用保険に入る働き方もあります。この記事では、私と同じ常勤の正規職員を前提に話を進めます。

常勤の公務員が雇用保険の対象外なのは、法令や条例に基づく退職手当が失業給付に代わる位置づけとされているためです。制度の理屈はどうあれ、辞める側は、給付に頼らない前提で備える必要があります。

同じ「退職」でも、会社員と公務員では手元に入るお金の流れがまるで違います。読んだ記事がどちらを前提にしているかは、最初に確かめる癖をつけておくのが自衛になります。

私はこの事実を、恥ずかしながら退職を考え始めてから知りました。収入の見込みが数か月分変わる話ですから、家計簿より先に知っておくべきだったと思います。

途中で気づくと、貯金計画を後から積み直すことになります。辞める判断を家族に話す前に、この前提だけは共有しておきたいところです。

なお、退職手当が雇用保険の給付水準に満たない場合には「失業者の退職手当」という補完の仕組みが使える場合があります。退職手当の扱いは勤続年数や退職理由によって変わる場合もあるため、例外の条件も含めて詳しくは公務員の転職で失業保険はもらえるかを整理した記事にまとめました。

退職手当はいつ・どう入るかを確認する

退職手当で確認すべきは額面だけではありません。振り込まれる時期が、当面の資金繰りに直結します。

退職手当は退職日にすぐ入るものではなく、支給までに一定の期間がかかるのが一般的です。時期は自治体によって異なるため、所属の人事担当や給与担当に聞いておくと計画が立てやすくなります。

額の見当をつけたい方向けに、俸給月額と支給率から計算する手順を退職金の計算方法を実際に試算した記事で説明しています。退職手当をあてにして貯金を薄くする計画は危険ですから、私は「入金が確認できるまではないもの」として扱いました。

まとまったお金が入る予定があると、気が大きくなりやすいのも落とし穴です。退職手当は生活費の口座と分けて、「守りの資金」と位置づけておくことを勧めます。

入金までの期間は、手持ちの貯金だけで暮らす想定です。後で紹介する計算表では、この期間も空白月数に含めておくと安全側の見積もりになります。

支給日と金額が確定するまでは、「あると嬉しい臨時収入」くらいの扱いがちょうどよいと思います。

ボーナスと退職時期の関係も忘れない

期末・勤勉手当は、基準日に在職しているかどうかと在職期間をもとに支給が決まる仕組みとされています。辞める月を少しずらすだけで、受け取れるお金が変わる場合があるということです。

基準日や支給要件は自治体の条例や規則で定められているため、所属の規定での確認が必要です。退職日を決める前に、ボーナスと退職手当の両方をカレンダーに書き込んでみると判断しやすくなります。

私は年度途中の5月に退職しました。当時は時期を細かく設計する余裕がありませんでしたが、これから辞める方には基準日を確かめたうえで退職日を決めてほしいと思います。

ただ、ボーナスや手当を待つために心身をすり減らすのは本末転倒です。時期の損得は、健康や家族の状況と天秤にかけたうえで決めるものだと考えています。

退職した後に出ていくお金をすべて洗い出す

辞めた後の家計で本当に怖いのは、収入が減ることよりも、在職中は給与から天引きされていたお金が「請求書」に変わることでした。まずは何が出ていくのかを、漏れなく一覧にします。

家賃や住宅ローンのような毎月の固定費は、退職しても待ってはくれません。加えて、天引きから請求書に変わるお金が新しく登場します。

公務員宿舎に住んでいる場合は、退職にともなう退去で引っ越し費用や新居の初期費用も発生します。これも生活費とは別枠で、計算に足しておきたい費用です。

下の表は、私が退職前に書き出した費目を整理し直したものです。金額は人によって違うため、あえて空欄にして確認先を添えています。

費目 支払いの時期・特徴 確認先
住民税 前年の所得に応じて、退職後も納付書で請求される お住まいの市区町村
健康保険 国民健康保険か任意継続かを選んで切り替える 市区町村・共済組合
国民年金 退職後に第1号被保険者へ切り替えて納める 市区町村・年金事務所
生活費 家賃・住宅ローン・食費・光熱費など毎月続く 自分の通帳・明細
転職活動費 交通費・スーツ代・写真代など活動中に発生する

住民税は翌年まで追いかけてくる

住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職して収入が減っても請求は止まりません。公務員時代の所得を基準にした税額を、無収入の時期に払う可能性があるわけです。

在職中は給与から天引きされる特別徴収のため、負担を意識する場面はほとんどありません。退職後の住民税は、時期や手続きによって普通徴収への切り替え・退職時の一括徴収・転職先での継続のいずれかになり、1回あたりの支払いがまとまった単位になります。

住民税は、6月に新しい年度分へ切り替わるのが通例のサイクルです。辞める時期によって納付書の届き方が変わるため、退職予定月と照らして見ておくと慌てずに済みます。

私が退職前に一番驚いたのも、この住民税の仕組みでした。給与明細の中の1行だったものが封筒で届く納付書に変わると、同じ税金でも別物に見えます。

具体的な額は前年の所得や自治体によって変わります。市区町村から届く納税通知書が確定値ですから、見込みを立てたい場合は窓口で試算してもらうのが確実です。

貯金の計算では、この住民税を生活費とは別枠で見込んでおく必要があります。「生活費×月数」だけで準備すると、ここで計画が崩れやすいからです。

健康保険と年金の切り替えで増える負担

退職後すぐに再就職せず、家族の扶養にも入らない場合、健康保険は共済組合の任意継続か国民健康保険が主な選択肢になります。どちらが安いかは前年の所得や扶養家族の有無で変わるため、両方の見積もりを取って比べることが欠かせません。

見積もりは、任意継続なら共済組合、国民健康保険なら市区町村の窓口で出してもらえます。扶養に入れていた家族がいる場合は、家族の分の保険をどうするかもあわせて確かめます。

逆に、配偶者が勤務先の健康保険に入っている場合は、収入などの条件を満たせば扶養に入る道もあります。当てはまりそうなら、条件を配偶者の勤務先で確かめてみてください。

国民健康保険料は、前年の所得などをもとに世帯単位で計算されるのが一般的です。所得の分かる書類を持って窓口へ行くと、試算まで一度に済ませられます。

任意継続には申請の期限が設けられているとされています。退職してから調べ始めると選択肢を失う場合があるため、在職中に共済組合へ確認しておくのが確実です。

年金は、退職後すぐ厚生年金に加入せず、配偶者の扶養にも入らない場合に、国民年金(第1号)への切り替えが必要になります。配偶者を扶養に入れていた場合は配偶者の分の手続きも発生するため、年金事務所か市区町村の窓口で確認しておくと安心です。

保険料や年金の納付が難しい時期には、免除や猶予の制度を利用できる場合もあります。該当しそうなら、判断の前に窓口で条件を聞いておくのが得策です。

転職活動そのものにかかる費用

見落としがちですが、転職活動そのものにもお金がかかります。代表的な費目は次のとおりです。

  • 面接に出向くための交通費(遠方の企業なら宿泊費も)
  • 面接用のスーツ・靴・かばん
  • 履歴書や職務経歴書に使う証明写真、書類の郵送費
  • オンライン面接に備えたイヤホンやカメラなどの機材

1つずつは小さな出費でも、応募数が増えれば積み上がっていきます。私の場合も細かい出費が続いたため、転職活動費は生活費とは分けて見込んでおきたい費目です。

在職中に活動する場合でも、この費用は同じようにかかります。ただ、給与がある時期に払うのと無収入の時期に払うのとでは、心理的な重さがまるで別物です。

必要な貯金額を自分の家計の数字で計算する

必要な貯金額は、平均値ではなく自分の家計の数字で計算してはじめて意味を持ちます。使う式は、3項目の足し算だけです。

用意するものは直近3か月の明細と、前の章で確かめた税・保険の見込みだけです。10分あれば概算まで出せます。

計算式はシンプルに3項目で考える

式は次のひとつだけです。必要貯金額=(税・保険を除く月の生活費×空白月数)+(退職後に払う税・保険の見込み)+予備費で求めます。

下の表に自分の数字を書き込めば、そのまま「わが家の必要額」になります。空欄のまま眺めず、概算でよいので埋めてみてください。

項目 出し方 記入欄
A:生活費×空白月数 直近3か月の平均支出×無収入を想定する月数(公務員は6か月が出発点) ___万円
B:税・保険の見込み 住民税+健康保険+国民年金の合計。市区町村と共済組合の見積もりで埋める ___万円
C:予備費 家電の故障・医療費・慶弔費など。AとBの合計の1〜2割を目安に ___万円
合計(A+B+C) 辞める前にそろえたい貯金の目安 ___万円

3項目に分けるのは、それぞれ数字の出どころが違うからです。Aは自分の家計、Bは役所と共済組合、Cは自分のリスク感覚と、確認先を分けて考えると迷いません。

Aの生活費には、後で紹介する「洗い直し後の守りの生活費」を使うと現実的な数字になります。辞める前の暮らしのままの数字で計算すると、必要額が大きく出すぎて心が折れやすいからです。

Bは前の章で取った見積もりをそのまま転記します。Cの予備費は削られがちですが、ここを削ると想定外の出費のたびに生活費へ食い込みます。

計算して出た合計に今の貯金が届いていれば、辞める時期を自分で選べる状態です。届いていなくても、差額が「あと何か月分」という具体的な目標に変わります。

注意したいのは退職手当の扱いです。入金までに時間が空くため、入金が確認できるまでは計算に入れないほうが資金繰りは安全です。

世帯タイプ別に見る考え方の違い

式は同じでも、世帯の形によって重みの置き場所が変わります。変わるのは主に「空白月数」と「削れない支出」の2つです。

独身なら、生活費を圧縮しやすいぶん空白月数を長めに取る自由があります。住まいを実家に移せるかどうかも、必要額を大きく左右する条件です。

共働きなら、配偶者の収入で固定費のどこまでを支えられるかを先に確かめます。私も妻と家計を見ながら、無収入の期間をどこまで許容できるかを話し合って決めました。

配偶者に収入がある場合でも、「支えてもらう期間の上限」を先に決めておくと関係がこじれません。期限のない負担のお願いは、どちらの気持ちも削っていくからです。

片働きで子どもがいる場合は、住宅ローンや家賃に加えて、教育費や保育料を「削れない支出」として先に固定します。そのうえで空白月数を厚めに見積もり、予備費も多めに積むのが安全です。

どの世帯でも共通するのは、数字を一人で抱え込まないことです。同じ計算表でも、家族と一緒に埋めた数字のほうが、後から見直すときの支えになります。

在職中に動けば必要額は大きく減る

計算表のAは掛け算になっているため、空白月数を短くできれば必要額はまとまって減ります。在職中に内定まで進んでから辞めるのが、いちばん確実な圧縮方法です。

給与が入り続けたまま活動できれば、貯金は取り崩す対象ではなく保険に変わります。選考に落ちても生活が揺れないため、焦って条件を妥協せずに済むのも利点です。

一方で、心身が限界に近いなら、辞めてから休む選択にも意味があります。その場合は空白月数を長めに取り、回復の期間まで計算に入れておくと後が楽です。

体調が理由で辞める場合は、共済組合の傷病手当金など、辞める前だからこそ使える制度がないかを先に確かめておきたいところです。判断を急ぐ前に、主治医や共済組合の窓口に相談してみてください。

働きながらの進め方や職場に知られないための工夫は、公務員が在職中に転職活動する方法で詳しく説明しています。貯金を増やす努力より先に、こちらを検討するのが順序だと考えています。

年収200万円ダウンでも家計が持った理由

私は最初の転職で年収が200万円下がりましたが、家計は破綻しませんでした。支えになったのは貯金の額そのものではなく、辞める前に家計の中身を作り替えておいたことです。

方針として、貯金額や生活費の実額はこのブログでは書いていません。ですが、何をどの順番でやったかはすべてお見せできます。

辞める前にやった家計の洗い直し

市役所での俸給月額は約23万円で、贅沢はできないものの毎月確実に入る収入でした。その安定が消える前提で、家計を次の手順で洗い直しました。

  • 直近3か月の支出を、通帳とカード明細から全部書き出す
  • 費目を「固定費」「変動費」「なくても生活が回る支出」に分ける
  • 金額の大きい固定費から順に見直す(通信費・保険・使っていない定額契約)
  • 見直し後の「守りの生活費」を妻と共有し、退職後はその水準で暮らす

固定費から手をつけたのは、一度見直せば我慢しなくても効果が続くからです。意志の力に頼る節約と違い、固定費の見直しは辞めた後もずっと家計を軽くしてくれました。

書き出してみると、「なくても生活が回る支出」は考えていたより多く見つかりました。全部をやめる必要はなく、退職後の一定期間だけ止めると決めるだけでも、耐えられる月数は延びます。

可能なら、辞める前に「守りの生活費」の水準で1か月暮らしてみるのも手です。予行演習で見つかる無理は、退職後に見つかるより安くつきます。

想定外だった出費とその対処

どれだけ準備しても、想定外の出費はゼロになりませんでした。突発的な出費は、退職のタイミングを選んでくれないからです。

費目でいえば、家電の故障や急な医療費、慶弔費あたりが典型です。私の場合も例外ではありませんでした。

それでも生活が揺れなかったのは、こうした出費に充てる予備費を生活費とは別枠で持っていたからです。計算表のCを独立させているのは、この経験によります。

対処の中身は地味で、予備費から払い、翌月以降の変動費で埋め直しただけです。派手な工夫より、費目を分けておく仕組みそのものが効きました。

ここで得た教訓は単純です。予備費は「使う前提」で積んでおくもので、使わずに済んだ月はそのまま翌月の安心に繰り越せます。

妻と共有した「撤退ライン」

辞める前に妻と決めていたのが、家計の「撤退ライン」です。貯金がそこまで減ったら働き方の希望はいったん脇に置き、収入の立て直しを最優先するという約束でした。

実際、転職1社目は6か月で辞めることになりました。それでも慌てずに次を探せたのは、どこまでは粘ってよいかを前もって数字で決めていたからです。

効果として大きかったのは、お金よりむしろ気持ちの面でした。「まだラインまでは余裕がある」と確かめられるだけで、夜の不安が計画の話に変わりました。

ラインの引き方は、金額でも期限でもかまいません。大事なのは、追い詰められる前に方向転換の条件を夫婦で言葉にしておくことでした。

年収が200万円下がって家計がどう変わったか、それでも市役所に戻らないと決めている理由は、年収200万円下がった転職の実話に書きました。貯金の話と地続きの内容なので、あわせて読んでいただくと実感が近くなると思います。

私は今、在宅のWebマーケターとして働いています。通勤や勤務地に縛られない働き方は収入の谷を短くする備えにもなるので、リモート求人は早めに眺めておいて損がありません。

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貯金が足りないと感じたときの選択肢

計算した必要額に貯金が届かなくても、辞める道が閉ざされるわけではありません。貯金を増やすより先に、必要額そのものを減らすという順番で考えるのが近道です。

貯金を積み増すには年単位の時間がかかります。今からできる打ち手を、効果の大きい順に紹介します。

在職中の転職活動で空白期間をなくす

効果がいちばん大きいのは、空白月数をゼロに近づけることです。在職中に内定を得てから退職すれば、計算表のAがほぼまるごと消えます。

とはいえ、働きながらの転職活動は日程調整だけでも骨が折れます。有給の取り方や面接の時間帯など、公務員ならではの気の使いどころも少なくありません。

家族がいる場合は、収入が途切れないこと自体が話し合いの支えになります。毎月の給与が続くという事実ほど、家族を安心させる材料はないからです。

在職中の活動には、貯金への効果のほかに心の余裕という利点もあります。「いつでも辞められる」という選択肢を持つだけで、今の職場との向き合い方まで変わるからです。

日程調整や書類の添削を任せられる支援サービスの選び方は、公務員向け転職エージェントの選び方にまとめています。無料で使えるものが中心のため、貯金を減らさない形で活動の質を上げられるはずです。

退職時期をずらして受け取りを整える

辞める気持ちが固まっていても、退職日には調整の余地を残す価値があります。ボーナスの基準日や退職手当の入金時期によって、手元資金の谷の深さが変わるからです。

数か月ずらすだけで受け取りの条件が変わる場合があるため、基準日や支給要件は所属の規定で必ず確認してください。年度途中の5月に辞めた私の実感として、時期の設計は「もう決めたから」で省略しないほうがよい部分です。

なお、退職の意思を伝えた後でも、退職日に相談の余地が残っているケースは珍しくありません。引き継ぎの都合と受け取りの時期は、上司との調整で両立を探れます。

時期を整える目的は、家計の谷を浅くして冷静な判断を保つことにあります。数か月の差で焦りが減るなら、待つ価値は十分です。

固定費から先に見直す

貯金を増やすには時間がかかりますが、固定費の見直しは今月から効きます。月の生活費が下がれば、必要額のAが月数分の掛け算で減っていくからです。

たとえば月の生活費を1万円下げられれば、6か月分の必要額は6万円小さくなります。通信費や保険の重複、使っていない定額契約など、金額が大きく手間の少ないものから着手するのが定石です。

私の家でも、固定費の見直し分がそのまま「耐えられる月数」の延長になりました。金額は小さく見えても、月数に換算すると効きめがはっきり見えます。

見直せるのは毎月の支出だけではありません。使っていないものを手放して現金に換えるなど、支出と資産の両面から必要額との差を詰める方法もあります。

固定費の見直しは、辞める判断とは独立に今日から始められます。仮に残る結論になっても、軽くなった家計は無駄になりません。

それでも「いつ辞めるか」「そもそも辞めてよいのか」を一人で決め切るのは難しいものです。私も妻に打ち明けるまで、頭の中だけで同じ問いを何周もしていました。

考えが堂々巡りになっているなら、利害のない第三者に思考を整理してもらう方法もあります。コーチングの無料面談は、辞める・残るを決めつけずに話せる場として使えます。

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公務員の退職と貯金に関するよくある質問

最後に、検索でよく見かける疑問へ短く答えます。本文と重なるところは、結論だけを繰り返します。

Q1.貯金なしで公務員を辞めるのは無謀ですか?

無収入の期間を支える手段が実質的に退職手当と貯金に限られる以上、貯金なしの退職は勧めません。失業給付という安全網がない分、貯金の役割は会社員より重いからです。

どうしても辞めたい場合は、在職中に内定を得てから退職日を決める順番にします。空白期間さえ作らなければ、貯金が薄くても生活は続けられます。

Q2.公務員は失業保険をもらえますか?

雇用保険の適用外のため、基本手当は受け取れません。退職手当がその代わりの位置づけとされており、条件の詳細は所属の人事担当で確認できます。

「辞めてから失業保険でつなぐ」前提の資金計画は、公務員には成立しません。この前提の違いだけは、退職届を書く前に押さえておく必要があります。

Q3.辞めた後の住民税はいくら払いますか?

前年の所得に応じて決まるため、金額は人によって違います。市区町村から届く納税通知書が確定値なので、事前に見込みを立てたい場合は窓口で試算してもらうのが確実です。

なお、退職した年の所得に対する住民税は、翌年に請求が届く流れです。1年目を乗り切って安心したころに来るため、2年目までを視野に入れておくと想定が崩れません。

Q4.健康保険は任意継続と国民健康保険のどちらが安いですか?

前年の所得や扶養家族の有無で逆転するため、一律には決まりません。共済組合と市区町村の両方で見積もりを取り、数字を並べて比べてから選ぶと迷わずに済みます。

保険料は年度や制度の改定で変わる場合があります。退職の直前にもう一度、最新の数字で見積もりを取り直しておくと安心です。

Q5.退職金(退職手当)はいつ・いくら入りますか?

額は俸給月額や勤続年数、退職理由をもとに計算され、支給時期とあわせて所属の人事担当で確認できます。退職日にすぐ入るものではないため、当面の生活費とは分けて考えておくのが無難です。

受取額の目安を知りたい場合は、俸給月額と勤続年数から自分で試算できます。本文で紹介した試算記事の手順どおりに計算すると、短時間で概算が出ます。

Q6.家族がいる場合はいくら必要ですか?

式は独身と同じで、教育費や保育料など「削れない支出」を先に固定してから月の生活費を出します。削れない支出が多いほど、空白月数と予備費を厚めに取る必要が出てきます。

金額の相談と同じくらい効くのが、撤退ラインの共有です。私の家では、ここを決めてから退職の話が前に進みました。

まとめ:貯金は金額ではなく月数で考える

要点は次の5つです。

  • 公務員は失業給付が出ないため、目安は生活費6か月分からの上乗せで考える
  • 住民税・健康保険・年金は、天引きから「請求書」に変わる
  • 必要額は(生活費×空白月数)+税・保険+予備費を自分の数字で計算する
  • 退職手当は入金が確認できるまで計算に入れない
  • 貯金が足りなければ、空白月数と固定費を先に減らす

私の結論はひとつです。貯金は「いくらあるか」ではなく「家族の生活を何か月守れるか」で数えると、辞める判断は漠然とした不安から現実的な計画に変わります。

付け加えるなら、計算表を埋める作業は退職を迷っている段階でこそ意味があります。数字を知ったうえで残る選択も、知らずに我慢を続けるより健全だからです。

夜の台所で通帳を眺めていた当時の私に会えるなら、この計算表だけでも渡したいと思っています。数字にできた不安は、対処できる課題になるからです。

退職前のお金の準備で迷うことがあれば、お問い合わせページから遠慮なくご相談ください。

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元公務員 Webマーケター
sawada

元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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