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公務員の異動がつらい|元市役所15年が対処法と転職の判断軸を解説

体験談・本音

内示の日、上司に呼ばれて紙を一枚渡されます。そこに印字された課の名前ひとつで、数年かけて覚えた仕事も、築いてきた人間関係も、まとめて入れ替わります。

私は市役所に15年勤めるあいだ、複数の部署を経験しました。内示の紙を見た瞬間に頭が白くなり、その夜になかなか寝つけなかった年もあります。

先に結論を書きます。公務員の異動がつらいのは、甘えではありません

異動を面白がれる時期も、私にはありました。ですが年次が上がり、積み上げたものが増えるほど、リセットされる痛みは大きくなっていきました。

甘えではないと言えるのは、つらさの主な要因が本人の性格や我慢強さではなく、人事制度や配属環境の側にもあるからです。なぜつらいのかという構造、いまの部署でできる対処、異動では解決しない場合の出口の順に、私の体験を交えて整理します。

この記事を書いた人

市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。

当ブログでは、公務員からの転職に関する体験談や実践的な情報を発信しています。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。

公務員の異動がつらいのは決して甘えではない

異動がつらいと感じるのは、あなたが弱いからではありません。公務員の異動には、民間の異動より負荷が大きくなりやすい構造的な理由があります。

一方で、新しい業務との出会いを楽しみに内示を待つ職員がいるのも確かです。同じ制度でも受け止め方は分かれますが、この記事は「つらい」と感じている側に立って書きます。

私も異動のたびに、慣れるまでの数か月を消耗しながら過ごしました。まずは「つらくて当然」の根拠から確かめます。

公務員の異動が「転職並み」と言われる理由

公務員の異動は、同じ庁舎の中での席替えには収まりません。部署が変われば、扱う法律も、向き合う相手も、求められる知識も、ほぼ全部入れ替わります。

変わるものを挙げると、根拠になる法律、業務システム、決裁の流れ、付き合う関係機関、そして評価者である上司です。変わらないのは給与体系と職員証くらいだ、という冗談が庁内にはありました。

経験者のあいだで「異動は転職並み」という言い方が定着しているのは、決して大げさではないからです。たとえば福祉の相談窓口と税の賦課徴収では、必要な知識も頭の使い方もまるで違います。

「4月1日から、別の人の仕事をしてください」と言われるのが異動です。書いてしまえば一行ですが、生活への影響は転職一回分に近いものがあります。

この大きな変化は、希望していないタイミングで一方的にやってきます。転職なら時期も準備も選べますが、内示は選べません。

内示から発令までの期間は自治体にもよりますが、数週間ほどと短い場合が多いとされています。気持ちの整理が終わる前に、引き継ぎと挨拶回りが始まるのです。

着任した初日から、電話は「担当者」あてに鳴ります。中身をまだ知らなくても、住民から見れば窓口に座った時点でその道の担当だからです。

民間企業の転勤・異動と公務員の異動の違い

民間企業にも異動や転勤はあります。ですが、転職して外から役所を見るようになった私には、次のような中身の違いが大きく見えています。

比較する点 民間企業の異動 公務員の異動
職種の変化 営業から営業など、同じ職種の中の異動が中心です 福祉から税務など、職種ごと変わることがあります
本人の希望 社内公募や面談など、交渉の入り口が用意されています 希望調書はあるものの、反映は限定的とされています
専門性の蓄積 同じ系統の仕事で積み上げやすい環境です 数年ごとにリセットされやすい環境です
断る余地 転職という対抗手段が交渉材料になりやすいです 実質的に断りにくいのが実情とされています
前提知識 商材や社内事情の知識はある程度引き継がれます 業務の前提知識ごと入れ替わる場合があります

もちろん、民間にも望まない転勤や畑違いの異動はあります。総合職の広域転勤など、民間のほうが厳しい面を持つ会社もあります。

勤務地の面でも、市役所の異動は生活圏が変わらない分、恵まれているのは確かです。それでも「仕事の中身が全部変わる」振れ幅では、公務員の異動が上回ると私は感じています。

ただ「職種ごと入れ替わる異動を、断る前提なしで受け続ける」働き方は、公務員、とくに事務系の職員で起きやすいと感じています。民間へ移って知った「職種を保ったまま働ける安心感」は、思っていたより大きなものでした。

だからこそ、異動のたびに疲れ切ってしまうのは、適応力が足りないからではありません。負荷の大きい仕組みの上で働いている、というだけの話です。

異動がつらいと感じやすい時期と典型的な場面

定期の人事異動は年度替わりの4月付けが中心とされ、内示の時期の庁舎には独特の緊張感が漂います。組織によっては秋の異動もあり、その前後も心は落ち着きません。

内示が近づくと、廊下や給湯室の会話が探り合いのようになります。誰がどこへ動くのかという噂だけで、仕事が手につかない日が私にもありました。

内示の内容を正式発表まで口外しない運用の職場もあるとされます。その場合は、モヤモヤを抱えたまま何事もない顔で働く期間が続きます。

それでも本当につらかったのは、内示の瞬間よりも、異動後の1〜2か月です。前任者はもう席にいないのに、窓口に来る住民も提出物の締め切りも、待ってはくれません。

引き継ぎ書だけを頼りに、電話口の専門用語を調べながら一日をしのぐ時期が続きます。「慣れるまでの辛抱」と先輩には言われますが、その「慣れるまで」を数年ごとに繰り返すのがこの働き方です。

年度末は決算や予算の繁忙と重なるため、引き継ぎ資料の作成が残業に上乗せされます。前の仕事の締めくくりと次の仕事の予習が、同じ机の上で同時進行です。

歓送迎会が続く季節は、送られる側と迎えられる側を同時にこなすことになります。宴席が苦手な人には、その気疲れも小さくありません。

共働きや子育て中の職員には、部署ごとの残業量や休みの取りやすさの差も重くのしかかります。生活のリズムそのものが、内示一枚で変わってしまうからです。

つらさを時期や運の問題として片づける前に、仕組みの側から理由を確かめておきましょう。

公務員の異動がつらくなる4つの構造的な理由

つらさの正体は、慣れや気の持ちようではなく、人事制度の設計そのものにあります。理由は大きく4つです。

15年働くなかで私なりに見えてきた、仕組みの側の事情を書きます。どの理由が一番刺さるかによって、あとの章での見極めが変わってきます。

数年ごとに積み上げた専門性がリセットされる

地方公務員の定期異動には、特定の相手との癒着を防ぎ、幅広い分野を担える人材を育てる目的があるとされています。周期は数年ごとが一般的とされる一方、実際の運用は自治体や職種しだいです。

職員数の少ない自治体では異動先そのものが限られ、同じ部署に長くとどまる人もいます。土木や保健師のような技術職・専門職にも、系統の近い部署を回りながら専門性を保てる運用があります。

この章で扱うのは、主に数年ごとの異動を前提にした事務系の働き方です。

地方公務員の任用や人事制度の大枠は、地方公務員法などの法令で定められています(制度の所管は総務省です)。異動の周期や配置方針は、その枠組みのもとで各自治体の任命権者が決めており、職場の思いつきではなく行政の仕組みとして組み込まれているものです。

制度の狙いは、私も頭では理解しています。ですが働く側から見ると、法律と実務をようやく覚えたころに白紙へ戻される感覚が、数年おきに訪れます。

民間にたとえるなら、経理に慣れてきた人を営業へ、営業で成果を出した人を総務へ動かすような運用です。それが例外ではなく、仕組みとして数年ごとに繰り返されます。

私も、前の部署で覚えた知識がほとんど使えない異動を経験しました。業務のために調べ込んだ制度も運用も、次の場所では出番がありませんでした。

積み上げたものが通用しないと分かったとき、勉強への熱が一段冷めたのを覚えています。窓口で頼りにしてくれていた住民に、後任を紹介して頭を下げる日も静かにこたえました。

いちから覚え直す努力は、外からはほとんど見えません。「公務員は安定していて楽そうだ」という世間の目と、実際の負荷との落差にも、少しずつ削られるような感覚がありました。

この構造は、転職を考え始めたときに「売れるスキルがない」という焦りに姿を変えます。その焦りの正体もまた、個人の怠慢ではなく仕組みの側にあります。

異動希望調書がほぼ反映されない配属の仕組み

異動希望調書や自己申告書のような制度を設けている自治体は、珍しくないとされています。ただ、書いた希望がそのまま通るかどうかは、まったく別の話です。

配属は組織全体の欠員と定数の調整で決まるため、個人のキャリアの希望はどうしても後回しになります。「行きたい課」より「空いた席」が優先される感覚は、中で見てきた者として否定できません。

もちろん、希望がかなう人もいます。ただ、それが実力の結果なのか巡り合わせなのかは、当人にも見分けがつきません。

配属の理由が本人に説明されることも、ほとんどありませんでした。理由の分からない結果だけを受け取り続けると、頑張りどころを見失っていきます。

こたえるのは、希望が通らないことそのものより、何を書いても結果が変わらないと感じる無力感のほうです。年数がたつにつれて、調書を出すこと自体に冷めていく同僚も見てきました。

異動のたびに人間関係と評価がゼロから始まる

異動すると、上司も同僚も、積み上げてきた信頼も、いったん白紙に戻ります。前の部署でどれだけ評価されていても、新しい上司はその働きぶりを見ていません。

人事評価も、評価者が替わればやり直しに近いものがあります。前の上司がつけた高い評価が、次の上司に引き継がれる保証はどこにもありません。

仕事の進め方の流儀も、部署ごとに驚くほど違います。同じ役所の中なのに、異動のたびに新人のような扱いへ戻る感覚には、独特の消耗があります。

異動先に苦手な人がいるかどうかも、内示が出るまで分かりません。「誰と働くか」を選べないことも、異動ガチャと呼ばれる理由の一つです。

新しい環境に馴染む努力は、私生活の体力まで削ります。異動後の数か月は、家に帰ると何もする気になれない日が増えました。

人間関係を作り直す体力は、年齢とともに重くなると私は感じていました。30代での異動は、20代のころより明らかにこたえました。

内示を断る選択肢が実質的にないとされる現状

配属は任命権者の権限で決まる仕組みです。内示の段階で事情を申し出ることはできますが、希望どおりに変わるとは限らず、正当な理由なく断るのは難しいのが実情とされています。

介護や育児、病気といった事情が、面談を通じて配慮される場合はあります。

私が見てきた範囲では、納得できない内示に職員が取れる現実的な手段は、面談で事情を伝えることくらいでした。それでも変わらなければ、受け入れるしかありません。

「最終的には従うもの」という空気が職場にあったのも確かです。断れば済む話なら、そもそも「異動ガチャ」という言葉は生まれていません。

「辞めるか、従うか」の二択を数年ごとに突きつけられる状態は、それだけで心を張り詰めさせます。選べる余地がないことは、人からゆとりを奪うからです。

選べないものに苦しむのは、当然の反応です。この選べなさこそ、異動のつらさを甘えと呼んではいけない一番の根拠だと私は考えています。

いまの部署がつらいときにできる現実的な対処

つらくても、今日辞表を出す必要はありません。「今日をしのぐ工夫」と「数か月単位の立て直し」を分けて考えると、ずっと動きやすくなります。

在職しながらできることを、内示直後・業務・人間関係・心身の4つの場面に分けて書きます。

内示直後のショック期を乗り切るやり過ごし方

内示から発令までの短い期間は、感情が一番揺れる時期です。私は、この期間に人生単位の決断をしないことを勧めます。

ポイントは、感情の処理と情報集めを切り分けることです。両方を同時にやろうとすると、不安だけが膨らみます。

私が内示のあとに実際にやっていたことは、次のとおりです。

  • 内示の日は残業せず、早めに帰って寝る
  • 何がつらいのかを紙に書き出して、頭の外へ出す
  • 有給を一日取って、役所から物理的に離れる時間を作る
  • 異動経験のある先輩に、新しい部署の実務と雰囲気を聞いておく
  • 求人情報を眺めるのは自由にするが、退職の意思表示だけはしない

ショックの大きさは、その配属の悪さの証明ではありません。時間がたつと見え方が変わることは、本当によくあります。

気持ちが大きく揺れている時期の決断は、方向がどちらであれ後悔につながりやすいものです。退職も転職も、落ち着いてから考えるほうが精度が上がります。

発令までの数週間でできるのは、感情の応急処置までです。辞めるかどうかの判断は、次の部署の実像が見えてからでも遅くありません。

異動先の業務が合わないと感じたときの立て直し方

異動して最初の数か月は、合う合わないの判定すらできない時期です。分からないから苦しいだけ、という場合が思いのほか多いからです。

私は「合うかどうかの判定は半年後」と期限を決めて、それまで結論を保留していました。そのうえで、過去の決裁文書や前任者の残した資料をさかのぼって読む時間を、意識して確保していました。

マニュアルが整っていない業務ほど、過去の文書が教科書になります。去年の同じ時期に何をしていたかを追うだけでも、仕事の流れはつかめてきます。

質問できる相手を一人確保しておくのも有効です。前任者が庁内に残っているなら、電話一本かけられる関係を保つだけで、立ち上がりの苦しさが変わります。

覚えられない日が続くと能力を疑いたくなりますが、その大半は経験量の問題です。業務の全体像が見えてくると、拒否感は少しずつ薄れていきます。

新しい業務を「前の部署ではこうだった」と比べ続けると、苦しさは長引きます。比べる相手は前の職場ではなく、先月のあなたで十分です。

なお、半年という期限は私の目安にすぎません。業務が一巡するのに一年かかる部署なら、判定の時期も先に延ばして構いません。

逆に、期限を過ぎても業務そのものを受け付けない状態が続くなら、話は変わります。それは次の章で扱う「見極め」の段階です。

異動先の人間関係がつらいときの距離の取り方

業務より人がつらい、という異動も確実にあります。役所は数年で顔ぶれが入れ替わる職場なので、「この上司とも期限付きの付き合い」と考えるだけでも距離を取りやすくなります。

合わない上司の下で無理に評価を取りにいく必要はありません。淡々と実務をこなしながら次の異動を待つ選び方も、役所では十分に現実的です。

幸い、役所の人間関係は異動で顔ぶれが変わる可能性が高く、「この関係がずっと続くとは限らない」と考えることができます。合わない相手と定年まで同じ島で働き続ける可能性は、仕組みの上ではむしろ低いのです。

距離を取ることと、仕事の質を落とすことは別です。実務さえ堅実に回していれば、役所の中での信頼はそう簡単には崩れません。

深い関係を無理に作らず、仕事の連絡だけは丁寧に返す割り切りでも、職場は回ります。消耗するパターン別の具体策は公務員の人間関係に疲れたときの対処に分けてまとめています。

心や体にサインが出ているなら対処より離れる

眠れない、食欲が落ちた、朝になると涙が出る、といったサインが出ているなら話は別です。この記事の対処法を試すより、その環境から離れることを優先してください。

無理を重ねて働けなくなることが、その後の人生にとって一番大きな損失です。休職や傷病手当金を含めた選択肢は公務員がうつで休職・退職する前に知っておきたいことにまとめているので、心当たりのある方はそちらを先に読んでください。

「まだ大丈夫」と思えるうちに手を打つほうが、結果として傷は浅く済みます。休むことも離れることも、逃げではなく立て直しの手段です。

診断や治療の判断は、必ず医師に委ねてください。あわせて、職場の健康相談窓口や産業医にも、早めに相談してください。

異動のつらさの根っこがどこにあるか見極める

同じ「異動がつらい」でも、根っこが「今回の配属」にあるのか「異動という制度そのもの」にあるのかで、取るべき行動は正反対になります。

この仕分けが、この記事で一番伝えたいことです。私が退職を決める前に、頭の中で何度も繰り返した作業でもあります。

今回の配属が外れただけなら時間で薄れていく

「配属ガチャに外れた」という種類のつらさは、いまの業務・上司・環境という個別の条件から生まれるものです。その条件は、次の異動でまた変わる可能性が高いのです。

つまり配属が原因のつらさには、時間か次の異動が解決してくれる余地が残っています。この場合は、前の章の対処でしのぐ価値が十分にあるはずです。

見極めのコツは、「何が変わったら楽になるか」を書き出してみることです。特定の業務や上司の顔しか出てこないなら配属側、仕組みへの不満ばかりが並ぶなら制度側だと判断できます。

振り返ると、外れだと感じた配属のつらさの一部は、業務そのものではなく前の部署との落差から来ていました。その落差は、時間がたつにつれてある程度ならされていきます。

同じ部署でも、繁忙期を一つ越えた途端に景色が変わることがあります。判定を急がず、季節を一巡りさせてから結論を出しても遅くありません。

私にも、行く前は気が重かった配属が、終わってみれば得がたい経験になっていたことがあります。当たり外れの最終判定は、渦中にいるあいだにはできないものです。

制度そのものが合わないなら異動では解決しない

一方で「数年ごとに全部リセットされる仕組みが嫌だ」「一つの分野で専門性を積み上げたい」という悩みは、いまの部署がどこかとは関係がありません。この場合、次の異動は解決ではなく、同じつらさの繰り返しになります。

「次の部署が当たりなら続けられるかもしれない」と、私も何度も考えました。ですが当たりを引いても、数年後にはまた紙一枚で振り出しに戻ります。

私の退職理由も、突き詰めればこちら側です。特定の部署が嫌だったというより、仕事の中身を選べないまま定年まで働く未来のほうを、受け入れられませんでした。

この違和感は、休暇を取っても趣味に逃げても消えませんでした。原因が疲労ではなく、働き方の設計そのものにあったからだと、辞めた今なら分かります。

制度側の悩みを抱えたまま働き続けると、異動のたびに期待と失望を繰り返すことになります。私はその繰り返しに、15年目で区切りをつけました。

根っこが制度の側にあるなら、環境そのものを変える検討を始める合図です。我慢が上手になっても、仕組みは変わらないからです。

自分の悩みを「待つか動くか」で仕分ける判定表

いまの悩みがどちら側なのかを仕分けられるように、表にまとめました。

いまの悩み 根っこ 待つか、動くか
業務内容が合わない・覚えられない 配属(個別の条件) 半年を目安に、立て直しながら待ちます
上司や同僚と合わない 配属(個別の条件) 距離を取りながら、次の異動を待ちます
数年ごとのリセットに耐えられない 制度(仕組み) 待っても解決しません。出口の検討へ進みます
専門性が積み上がらない焦り 制度(仕組み) 待っても解決しません。出口の検討へ進みます
心身に不調のサインが出ている どちらの場合もあります 待ちません。離れることを最優先にします

上の2行に当てはまるなら、待ちながら対処する価値があります。中の2行に当てはまるなら、部署が変わっても同じことの繰り返しです。

この表は、私の経験から作った目安にすぎません。それでも、悩みを言葉にして仕分けるだけで、漠然とした不安はずいぶん軽くなります。

複数の行に当てはまる場合は、心身の安全をまず確保したうえで、制度側の悩みとして扱うほうが判断を誤りにくいと思います。私の場合も、個別の不満の奥に「選べない働き方そのものへの違和感」が残り続けていました。

仕分けた結果が「動く」でも、明日辞める必要はありません。次の章で示す出口は、どれも在職のまま準備を始められます。

つらさの根っこがどちらにあるのかは、ひとりで考えていると堂々巡りになりがちです。利害関係のない相手に話しながら言語化すると、この仕分けは一気に進みます。

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異動のつらさから離れるための2つの選択肢と注意点

異動の仕組みから離れる出口は、「公務員のまま自治体を変える」か「民間へ出て職種や勤務地を限定した働き方を選ぶ」かの2つです。安定を残したいのか、仕事の中身を選びたいのかで、進む道が分かれます。

私は後者を選びましたが、前者が合う人も確実にいます。それぞれの向き不向きと注意点は、次のとおりです。

公務員のまま働く環境を変える自治体間の転職

経験者採用などで別の自治体へ移る道は、公務員の身分や安定を手放したくない人にとって現実的な選択肢です。給与水準や通勤圏、組織の風土は、移ることで確かに変えられます。

同じ公務員でも、組織の規模が変われば異動の幅は変わります。分野ごとに担当が分かれた大きな組織と、一人で何役もこなす小さな組織では、働き方が別物だからです。

国や県など、市町村以外の公的な組織へ移る場合も、考え方は同じです。籍が変わっても、「配属は組織が決める」という前提は共通です。

ただし、はっきり書いておきたい注意点があります。異動という仕組みそのものは、自治体を変えてもそのまま残ります。

「いまの役所・いまの部署」がつらいのか、「異動制度」がつらいのか、前の章の仕分けが効いてくる場面です。見比べるときも、待遇の良さだけでなく「異動の悩みがどう変わるか」を軸にするほうが、失敗しにくいはずです。

試験の内容やお金の引き継ぎを含めた判断材料は公務員から公務員へ転職する判断軸に詳しくまとめました。経験者採用の年齢要件や倍率は自治体ごとに違うので、興味がある段階でも募集要項を集めておくと判断が早くなります。

民間へ出て職種や勤務地を限定した求人を選ぶ道

民間には、職種や勤務地を限定して募集する求人があります。ただし入社後の配置転換の有無は、雇用契約や就業規則での確認が必要です。

私はいま在宅のWebマーケターとして働いていて、異動も転勤もありません。

この道の代償も、正直に書いておきます。私は転職で年収が200万円下がり、最初に入ったIT企業を、6ヶ月で辞めることになりました。

不安だったのは、公務員の経験が民間で通用するかどうかでした。文書を整える力や関係者との調整の経験は評価された一方、それを言葉で示す準備には時間がかかりました。

1社目で早い退職を経験した身として、民間が楽だとは言いません。それでも「この仕事を続けるかどうか」を私が決められる感覚は、公務員時代にはなかったものです。

在宅で働くいまは、内示ひとつで仕事の中身が変わることがありません。積み上げた知識が翌年もそのまま使えるのは、公務員時代には知らなかった安心感です。

決断までに迷いはありましたが、内示におびえる春が二度と来ない生活には、私にとって年収の差を上回る価値がありました。辞めてから4年あまりたった実感は、後悔している点も含めて公務員を辞めて幸せかを正直に書いた記事に書いています。

在職中に転職活動を始めればリスクは抑えられる

どちらのルートを選ぶにしても、辞めてから動くやり方は勧めません。在職のまま動けば、うまくいかなくても現状維持に戻れるからです。

在職中に動く利点を挙げます。

  • 収入が途切れないので、焦って条件を下げずに済む
  • いまの職場に残るという選択肢を保ったまま、外の求人と比較できる
  • 現職の公務員という立場のまま、書類や面接に臨める
  • 内定の条件を確かめてから、辞めるかどうかを最終判断できる

転職活動と言っても、最初の一歩は登録して求人を眺めるだけです。動いた結果「やっぱり残る」と決めるのも、立派な結論だと思います。

在職中の転職活動にうしろめたさを感じる人もいますが、勤務時間外に、職場の情報や設備を使わずに情報を集めて考えることは、通常の情報収集の範囲です。私も在職中に情報を集め、妻に背中を押されて退職を決めました。

退職までには長い助走があり、在職のまま考える時間を持てたことが、家族の納得にもつながりました。最初の入り口としては、公務員向け転職エージェントの選び方を参考に、公務員の事情に慣れた相談先を選ぶのが近道です。

公務員の経歴は、転職市場で思っているほど不利ではありません。ただ、職務経歴の言語化には独特のコツがいるので、早めに動き始めるほど有利になります。

公務員のままか、民間へ出るか、まだ決め切れなくても問題ありません。キャリアのプロとの無料面談で現状を話すだけでも、判断の材料は着実に集まります。

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公務員の人事異動についてよくある質問と回答

検索されることの多い疑問に、制度の建前と経験者としての実感を分けて答えます。

Q1.公務員の異動は拒否できますか?

配属は任命権者が決めるのが制度上の建前で、職員の側の希望だけで拒否するのは難しいとされています。介護や病気などの事情は、内示が出てからではなく、日ごろの面談や申告の段階で伝えておくのが現実的です。

拒否を前提に構えるより、事情を早めに共有して配慮を引き出す発想のほうが、結果として守れるものは多いはずです。

Q2.異動の希望は通りますか?

希望調書が反映されるかどうかは、欠員や定数の状況しだいというのが正直なところです。私の周りでも、続けて希望がかなう人と、何年も動けない人の差は大きいものでした。

通らなかった年も、調書は希望を組織の記録に残す数少ない手段です。書き続ける価値はあると思います。

Q3.公務員の異動は何年ごとにありますか?

数年ごとが一般的とされていますが、周期は自治体・職種・部署によってかなり差があります。同じ自治体の中でも、行政職と専門職では運用が別です。

配属先の先輩職員の経歴を聞くのが、一番実態に近い手がかりになります。

Q4.異動がつらくて辞めたいと思うのは甘えですか?

甘えではありません。職種ごと仕事が変わり、断る余地が実質なく、数年ごとに人間関係も白紙になる働き方は、構造として負荷が大きいからです。

私も「甘えかもしれない」と考えて長く動けませんでした。構造を知ってからは、その問いを立てること自体をやめられました。

Q5.異動でうつになりそうなときはどうすればいいですか?

対処法を探すことより、その環境から離れることと、医療機関へ相談することを優先してください。休職や傷病手当金など、離れて立て直すための制度は本文で触れたうつに関する記事で説明しています。

甘えかどうかを考えるのは、回復してからで遅くありません。職場に産業医や健康相談の窓口があれば、そちらも使ってください。

Q6.異動のない仕事へ転職できますか?

できます。民間には職種を決めた採用が普通にあり、私も異動のない在宅の仕事に移れました。

求人を見るときは、職種名での募集かどうかと、転勤や異動の有無の記載を確かめると失敗が減ります。年齢そのものより、在職中に準備を始められるかどうかで難易度が変わる、というのが私の実感です。

まとめ:異動と付き合うか、異動から降りるか

異動のつらさは制度の構造から生まれるもので、甘えではありません。根っこが配属なら待つ価値があり、根っこが制度なら、異動を何度重ねても解決しません。

最後に、この記事の判断軸を3行に絞って置いておきます。

  • 今回の配属がつらいだけなら、対処しながら次の異動を待つ
  • 制度そのものが合わないなら、自治体間転職か民間転職の検討を始める
  • 心身にサインが出ているなら、待たずに離れる

私は異動から降りる選択をして、いまも良かったと思っています。役所が悪かったからではなく、仕事の中身を選べない働き方が私に合わなかった、というだけの話です。

15年働いた元職員として、役所の仕事そのものには今も意味を感じています。だからこそ、消耗し切る前に根っこを見極めて、意味を感じられる場所で働く選択をしてほしいのです。

内示の紙は、これからも毎年誰かの机に置かれます。その紙に人生の主導権を渡し続けるかどうかは、あなたが決めていいことです。

あなたがどちらを選ぶとしても、つらさを甘えと呼んで我慢し続ける道だけは選ばないでほしいと思います。迷いが残る方は、状況を添えてお問い合わせページからお気軽にご相談ください。

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sawada

元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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