公務員が在職中に転職活動する方法|元市役所職員の実践記録

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「公務員が在職中に転職活動するのって、本当に大丈夫なの?」

日曜の夜、スマホでそう検索しているあなたへ。

結論から言えば、在職中の転職活動は法律で禁止されていません。

ですが、「禁止されていない」と分かっても、次に出てくるのは別の不安です。

「フルタイムで働きながら、いつ転職活動するの?」「面接のたびに有給を使ったら怪しまれない?」「妻にはいつ話せばいい?」

私は大阪府の某市役所に15年勤めた後、35歳でIT企業に転職しました。最初の転職で年収は約200万円ダウン。1社目のIT企業(事務職兼カスタマーサポート)は6ヶ月で退職し、2社目でWebマーケターとして再出発しました。現在は完全在宅で働いています。

この記事では、「在職中にどうやって転職活動を進めるか」という実行面に特化します。家族への相談、スケジュールの組み方、面接の乗り切り方、精神的にきつかった時期のことまで、私の全記録をお伝えします。

転職を煽るつもりも、引き止めるつもりもありません。あなたが自分の頭で判断するための材料を、経験者として正直にお渡しします。

なお、この記事で語る内容は「市役所の行政職」を15年経験した私個人の体験がベースです。国家公務員や技術職、公安系の職種とは事情が異なる部分があります。また、自治体の規模や文化によっても職場環境は変わります。一人の元市役所職員が見た景色として読んでいただければ幸いです。

この記事を書いた人

市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。

当ブログでは、公務員からの転職に関する体験談や実践的な情報を発信しています。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。

  1. 在職中の転職活動は禁止ではない(法的根拠を30秒で確認)
  2. 辞めてからではなく在職中に動くべき3つの理由
    1. 公務員は失業保険がもらえない。収入ゼロの期間を作るリスクは大きい
    2. 「在職中」の立場が面接と条件交渉で武器になる
    3. 内定が出てから「辞めるか残るか」を選べる安心感がある
  3. 在職中の転職活動を始める前に準備すべき3つのこと
    1. 家族には「転職活動を始めること」を先に伝える
    2. 生活防衛資金の確認と固定費の見直しをしておく
    3. 転職活動期間中の「自分ルール」を決めておく
  4. 【実践記録】在職中の転職活動を5ステップで完了させるまで
    1. ステップ1|転職サイトに登録して外の世界を覗く
    2. ステップ2|転職エージェントに複数登録して相性のいい担当者を見つける
    3. ステップ3|職務経歴書を作成して応募を始める
    4. ステップ4|面接の日程調整と、在職中だからこそ気をつけること
    5. ステップ5|内定が出たら条件を確認し「辞めるか残るか」を最終判断する
  5. 在職中の転職活動で精神的にきつかった3つの時期と乗り越え方
    1. 書類選考で落ち続けた時期
    2. 仕事と転職活動の両立で体力・気力が削られた時期
    3. 「本当に辞めていいのか」と揺れた時期
    4. 退職の意思を上司に伝えるタイミングと伝え方
    5. 退職時期は「年度末」がベストとは限らない
    6. 引き継ぎを丁寧にやることが「円満退職」の鍵になる
  6. 公務員の在職中の転職活動でよくある質問
    1. Q. 転職活動を上司に報告する義務はありますか
    2. Q. 転職エージェントに登録したら勤務先にバレますか
    3. Q. 在職中の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか
    4. Q. 勤務時間中にスマホで求人を見るのは違反ですか
  7. まとめ|「転職」にはリスクがある。でも「転職活動」にはリスクがない

在職中の転職活動は禁止ではない(法的根拠を30秒で確認)

公務員の在職中の転職活動は、法律で禁止されていません。 まずはこの事実を確認した上で、本題の「どう進めるか」に進みましょう。

国家公務員法にも地方公務員法にも、「在職中の転職活動を禁止する」と定めた条文は存在しません。ニュースで聞く「天下り規制(再就職等規制)」は、退職後の再就職先との関係を規制するものです。転職サイトに登録したり、エージェントに相談したりする行為を禁じるものではありません。

守るべきルールは、大きく2つだけです。

  • 勤務時間中に転職活動をしないこと(職務専念義務)
  • 職場のPC・メールアドレスを転職活動に使わないこと

この2点さえ守れば、有給休暇や就業時間外の転職活動は自由に行えます。

ただし、国家公務員の管理職(課長補佐級以上)の方は注意が必要です。 利害関係企業(許認可・補助金・契約の関係がある企業)への求職活動には制限がかかるケースがあります。また、地方公務員でも自治体独自の退職管理条例で管理職に規制を設けている場合があります。ご自身の立場に不安がある方は、人事課への確認をおすすめします。

法律面の詳細(再就職等規制の具体的な内容、利害関係企業の判断基準、地方公務員と国家公務員の違い、立場別の早見表など)は、以下の記事で網羅的にまとめています。

(関連記事)【結論】公務員の在職中の転職活動は法律で禁止されていない

私自身、市役所に15年勤めながら転職エージェントに登録し、面接を受け、内定を得て退職しました。懲戒処分を受けることはなく、円満に退職しています。

この記事では、その「どうやって」をすべてお話しします。

辞めてからではなく在職中に動くべき3つの理由

在職中に転職活動を進めることは、特に住宅ローンや家族を抱えている方にとって、経済的・精神的に合理的な選択です。 「先に辞めてから集中した方がいいのでは」と思う方もいるかもしれませんが、公務員には民間と異なる事情があります。

ここでは、経済面・交渉面・精神面の3つの軸から、在職中に動くべき理由を整理します。

公務員は失業保険がもらえない。収入ゼロの期間を作るリスクは大きい

公務員は雇用保険に加入していないため、退職しても失業保険(基本手当)を受給できません。

退職手当(いわゆる退職金)はありますが、自己都合退職の場合は支給率が低くなります。15年勤務・自己都合の場合、満額には程遠い金額です。

私の場合、35年の住宅ローンと3歳の子どもの保育料を抱えていました。退職翌月からローンと保育料の引き落としは変わらず続きます。 収入がゼロの状態でその支出に耐える期間を作ることは、家計にとって大きなリスクでした。

在職中に転職先を決めてしまえば、収入の空白期間はゼロです。 だからこそ、「先に辞めない」ことが鉄則になります。

なお、独身で十分な貯蓄がある方や、パートナーの収入で生活が維持できる方であれば、退職後に集中して転職活動をする選択肢もあり得ます。ですが、住宅ローンや教育費を抱えている場合は、在職中に動く方がリスクを抑えられます。

(関連記事)公務員の転職は後悔する?年収200万ダウンした元市役所職員のリアル

「在職中」の立場が面接と条件交渉で武器になる

現職がある状態で面接に臨む方が、企業からの信頼を得やすい傾向があります。

退職済みの状態で面接を受けると、最初に聞かれるのは「なぜ辞めたのですか」という質問です。理由の説明から入るため、どうしても防御的な面接になりがちです。

一方、在職中であれば「現職を続けながら、より良い環境を求めている」という前向きな姿勢として受け取られやすくなります。

さらに、内定が出た段階で条件交渉をする余裕が生まれます。 「辞めたいから」ではなく「より良い条件なら移りたい」という立場で話せるのは、在職中だからこそです。

ただし、在職中であることがすべてのケースで有利に働くわけではありません。企業によっては「すぐに入社できる人」を優先する場合もあります。 入社時期について柔軟に対応できることをエージェント経由で事前に伝えておくと、この懸念は軽減されます。

内定が出てから「辞めるか残るか」を選べる安心感がある

転職活動を始めることと、転職することは、まったく別の行為です。

この点は繰り返し強調しておきたいのですが、転職活動を始めたからといって、辞めなければいけないわけではありません。

内定が出なければ、そのまま公務員を続ければよいだけです。内定が出ても、条件が合わなければ辞退すれば問題ありません。

外の世界を見た結果、「やっぱり公務員が自分には合っている」と納得して残る方もいます。それも立派な成果です。

「選択肢がある状態で悩む」のと「選択肢がない状態で悩む」のとでは、精神的な負担がまったく違います。

在職中の転職活動を始める前に準備すべき3つのこと

転職サイトに登録する前に、家族・お金・自分ルールの3つを整えておくことで、活動中の不安が大幅に減ります。 準備段階を飛ばすと途中で挫折する原因になりかねません。

ここでは、私自身が「先にやっておいてよかった」と感じた3つの準備をお伝えします。

家族には「転職活動を始めること」を先に伝える

パートナーへの相談は、内定が出てからではなく、転職活動を始める段階で行うことをおすすめします。

ただし、これはあくまで私の経験に基づくおすすめです。家庭の事情やパートナーとの関係性によって、ベストなタイミングは異なります。 「内定が出てから伝える」という方法を選ぶ方もいますし、それが間違いというわけではありません。

私の場合、転職サイトに登録する前に妻に相談しました。「内定が出てから事後報告する」という方法も選択肢としてはありますが、私は「一緒に考えたい」というスタンスを選びました。

住宅ローンを組んだばかりで、子どもはまだ保育園。「年収が下がるかもしれないけど、転職活動を始めたい」と切り出すのは、正直とても怖かったです。

ですが、妻は嫌な顔一つせずに「やってみたら」と後押ししてくれました。 このことには、今でもとても感謝しています。

ただし、妻が安心できたのは、情熱だけをぶつけたからではありません。私が事前に具体的な数字を整理していたからです。

私が妻に見せたのは、以下の4つの数字でした。

  1. 転職後の想定年収と、現在の年収との差額
  2. 固定費を見直した場合の月々の支出
  3. 貯蓄でどのくらいの期間持ちこたえられるか
  4. 副業でどの程度の収入を補填できる見込みがあるか

パートナーへの相談で私が実感したのは、感情論よりも数字の方が伝わるということです。 100%の確約ではなくても、「根拠のある計画」を示すことで、一緒に前を向いてもらえる可能性が高まります。

もちろん、すべてのパートナーが同じ反応をするとは限りません。不安を示された場合は、相手の気持ちを否定せずに受け止めた上で、「転職活動だけでもさせてほしい。内定が出ても条件が合わなければ辞退する」という段階的なアプローチが有効です。

(関連記事)公務員から転職はもったいない?市役所15年→年収200万ダウンした私が今思うこと

生活防衛資金の確認と固定費の見直しをしておく

転職後に年収が下がる可能性を前提に、現在の家計を棚卸ししておくことで、精神的な余裕が生まれます。

なお、公務員から転職した場合に必ず年収が下がるとは限りません。 転職先の業界・職種・企業規模によっては、年収が維持される場合やアップするケースもあります。ですが、特に未経験職種への転職では一時的な年収ダウンの可能性があるため、事前に備えておくことが安心材料になります。

確認すべき項目は、住宅ローンの返済額、生命保険・医療保険の保険料、通信費(スマホ・インターネット)、サブスクリプションサービスの月額料金などです。

私が転職前に実践したのは、不要な保険の見直しとスマホの格安プランへの変更でした。これだけで月2〜3万円の固定費を圧縮できました。 もちろん、見直せる金額は家庭の状況によって異なりますが、月数千円の削減でも「自分で動いた」という実感が精神的な支えになります。

年収が下がったとしても、支出も同時に下げておけば手取りベースでの影響は小さくなります。「固定費を圧縮しておく」という準備は、転職後の生活を守るための備えです。

転職活動期間中の「自分ルール」を決めておく

「どこまでやっていいか」の線引きを最初に決めておくことで、バレる不安を抑え、業務にも集中できるようになります。

私が自分に課していたルールは、以下の3つです。

ルール具体的な内容
①連絡手段の限定転職関連の連絡はすべて私用スマホ・私用メールで行う。職場のPCやメールは一切使わない
②情報の非開示職場の人間には退職を決めるまで一切話さない。妻以外の誰にも言わない
③勤務時間の厳守勤務時間中は転職活動を一切しない。求人チェックも昼休みか退勤後に限定する

「ここだけの話」は、公務員の職場では広まる前提で考えてください。 一人に話した時点で、情報管理は自分の手を離れます。

これらのルールを最初に明確にしておくことで、「今の行動は問題ないか」と迷うストレスがなくなりました。

なお、このルールは私自身が安心して活動するために設けたものです。法律で定められたルールではなく、自分で決めた行動指針です。ご自身の状況に合わせて調整してください。

【実践記録】在職中の転職活動を5ステップで完了させるまで

転職サイトへの登録から内定獲得まで、私の場合は約3〜4ヶ月でした。 ただし、活動期間は応募する業界や職種、面接の進み具合によって人それぞれです。半年以上かかるケースもありますし、1〜2ヶ月で決まる方もいます。

ここからは、実際に私が踏んだ5つのステップを時系列で整理します。

ステップ1|転職サイトに登録して外の世界を覗く

最初の一歩は、自宅のスマホから転職サイトに登録することです。 これだけで十分です。

登録自体は無料で、名前と経歴を入力するだけで完了します。この段階では、応募する必要はありません。 どんな求人が届くかを眺めるだけで構いません。

私が登録した初日、いくつかの求人がメールで届きました。正直に言えば、「自分にも応募できる求人があるんだ」と驚きました。15年間市役所にいると、自分の経歴が民間で評価される実感がまったくないからです。

求人を見ること自体が、自分の市場価値を客観的に確認する手段になります。 「意外と選択肢がある」と気づけるだけでも、閉塞感が和らぎます。

ただし、届く求人がすべて自分に合っているわけではありません。転職サイトのマッチング精度には限界があるため、求人の質を見極めるためにも、次のステップで紹介する転職エージェントを併用することをおすすめします。

ステップ2|転職エージェントに複数登録して相性のいい担当者を見つける

在職中の転職活動において、転職エージェントは時間の節約に大きく貢献する存在です。 求人検索、企業との連絡、面接の日程調整を代行してくれるため、限られた時間の中で効率よく進められます。

エージェントへの登録は、転職サイトへの登録と並行して進めるのがおすすめです。私が強くお伝えしたいのは、複数のエージェントに登録して比較することの大切さです。

公務員からの転職は、民間の転職者と比べて事例が少ないため、担当者の力量によって提案される求人の質が大きく変わります。 公務員の経歴を正しく理解し、民間企業に分かる言葉で伝えてくれる担当者に出会えるかどうかが、転職の結果に影響します。

最初の面談で伝えるべき情報は、以下の4点です。

  • 現職の業務内容(「何課で何をしているか」を具体的に)
  • 転職を考えている理由
  • 希望する働き方(在宅勤務、残業の少なさなど)
  • 年収の許容範囲(「最低でもこのラインは維持したい」という数字)

私自身の教訓として、1社目の転職ではエージェントの担当者との相性が合わず、結果的にミスマッチにつながりました。 2社目の転職では別のエージェントを利用し、担当者を変えたことで自分に合った求人に出会えました。

なお、エージェントを利用せず、転職サイトのみで転職に成功する方もいます。エージェントの利用は必須ではなく、あくまで選択肢の一つです。 ですが、在職中で活動時間が限られる場合は、日程調整や企業とのやり取りを代行してもらえるメリットが大きいと私は感じました。

(関連記事)悩める30代へ|市役所からの転職におすすめの業界と失敗しない戦略

ステップ3|職務経歴書を作成して応募を始める

公務員の職務経歴書で最も注意すべきは、「公務員用語をそのまま書かない」ことです。 民間企業の採用担当者は、「庁内調整」「決裁」といった言葉の意味を知りません。

たとえば、「保険年金課で窓口対応を担当」と書くだけでは、何をどのくらいやっていたのか伝わりません。「年間約○件の住民対応を通じ、制度説明と申請手続きの支援を担当」 のように、規模と内容を具体的に記載することで、採用担当者がイメージしやすくなります。

とはいえ、一人で完璧な職務経歴書を作る必要はありません。エージェントに添削を依頼すれば、民間企業に伝わる表現に修正してもらえます。

(関連記事)市役所から転職する履歴書・職務経歴書の書き方|元職員が実例で解説

ステップ4|面接の日程調整と、在職中だからこそ気をつけること

面接の日程確保は、在職中の転職活動で最もハードルが高い工程です。 ですが、オンライン面接の普及で、以前よりもやりやすくなっています。

一次面接はオンラインで完結する企業が増えており、退勤後に自宅で受けられるケースもあります。対面面接が必要な場合は、有給休暇の「半休」を分散して使うのがポイントです。 1日丸ごと休むと目立ちますが、午前半休や午後半休であれば不自然さが減ります。

私は、午前半休で面接を受けてから午後に出勤する、というパターンを繰り返していました。有給の取得理由は「私用」で通しました。嘘をつく必要はありませんが、詳細を伝える義務もありません。

ただし、有給休暇の残日数には限りがあります。 面接が複数回にわたる企業では、最終面接まで進むと3〜4回の有給取得が必要になることもあります。応募企業数を絞る、オンライン面接が可能な企業を優先するなど、有給の使い方を計画的に考えておくことが大切です。

以下は、私が実際に実践していた1週間のスケジュールです。 あくまで一例であり、勤務形態や残業の多さによって調整が必要です。

曜日時間帯転職活動の内容
月〜金朝6:00〜6:15スマホで新着求人のチェック(15分)
月〜金昼休みエージェントとLINEで連絡確認(5〜10分)
月〜金退勤後21:00〜21:30職務経歴書の修正、応募先企業の調査(30分)
土曜午前中オンライン面接、またはエージェントとの面談
日曜終日転職活動をしない日。家族との時間を確保する

繁忙期(年度末や議会の時期)は転職活動を控え、閑散期に集中するという緩急のつけ方も効果的でした。 在職中の転職活動は短距離走ではなくマラソンです。週に2〜3時間確保できれば、着実に前に進みます。

ステップ5|内定が出たら条件を確認し「辞めるか残るか」を最終判断する

内定が出たら、まずは条件を書面で確認してください。 年収、勤務形態、業務内容、勤務地、試用期間の有無。口頭だけの説明では不十分です。必ず「労働条件通知書」や「内定通知書」の書面を受け取りましょう。

条件が自分の許容範囲を下回るなら、辞退して構いません。 転職活動は「転職する義務」ではありません。納得できる条件でなければ、現職にとどまるのも立派な判断です。

条件に納得できた場合は、ここで改めてパートナーや家族と具体的な数字をベースに話し合ってください。

(関連記事)公務員を辞めて転職する手順|元市役所15年の経験者が解説

在職中の転職活動で精神的にきつかった3つの時期と乗り越え方

在職中の転職活動は、体力面よりも精神面のきつさの方が大きかったです。 きれいごとだけを書くつもりはありません。ここでは、私が実際に苦しんだ3つの時期と、どう乗り越えたかを正直にお話しします。

なお、精神面のきつさは人によって感じ方が異なります。私の体験がすべての方に当てはまるわけではありませんが、「こういう時期が来る可能性がある」と事前に知っておくことで、心の準備ができると思います。

書類選考で落ち続けた時期

最初の数社は、書類選考で落ちました。 「やっぱり公務員の経歴では民間に通用しないのか」と、自信を失いかけた時期です。

原因は明確でした。職務経歴書が「公務員用語」のままだったのです。 「庁内調整」「決裁」「法令解釈」といった表現は、民間の採用担当者にはピンときません。

エージェントに添削を依頼し、民間企業で評価されやすい表現に修正したところ、書類通過率は改善しました。

「落ちた=自分に価値がない」ではありません。 書類の表現と企業のニーズが合っていなかっただけです。

ただし、書類の書き方を改善しても、すべての企業で通過できるわけではありません。30代半ばの未経験転職では、応募企業数に対して書類通過率が低くなる傾向があります。 複数社に応募し続ける粘り強さも必要です。

(関連記事)市役所からの転職が難しい理由と解決方法|15年勤務の体験談

仕事と転職活動の両立で体力・気力が削られた時期

繁忙期と転職活動が重なった時期は、体力的にも精神的にも限界に近づきました。

平日は残業で帰宅が遅くなり、それから職務経歴書の修正や企業調査をする。睡眠時間が削られ、翌朝の仕事にも影響が出る。悪循環に陥りかけた時期がありました。

私が実践した対処法は、「週に2〜3時間だけ」と活動時間の上限を決めることでした。完璧にやろうとしない。応募できない週があっても、自分を責めない。

在職中の転職活動はマラソンです。 ペースを崩すと途中で倒れます。「今週は動けなかった」と落ち込むよりも、「来週に回そう」と割り切る方が、結果的に長く続けられます。

なお、精神的に限界を感じた場合は、転職活動を一時中断することも選択肢です。「始めたからには続けなければ」と自分を追い込む必要はありません。 体調を崩してしまっては本末転倒です。

「本当に辞めていいのか」と揺れた時期

内定をもらった後も、「やっぱり公務員のままでいた方がいいのではないか」と揺れた夜がありました。

安定した給与、ボーナスの確実性、退職手当。手放すものの大きさを実感するのは、内定が出た「後」です。

そのとき、私が拠り所にしたのは一つの問いでした。

「5年後の自分が、転職しなかったことを後悔しないか」

この問いに対する答えが「後悔する」だったから、私は転職を選びました。

もちろん、この問いに対して「後悔しない。公務員のままでいい」と答えが出る方もいるはずです。それは迷いが晴れた証拠であり、正しい判断です。

迷うこと自体は、まったく正常な反応です。迷い抜いた上で出した結論なら、どちらを選んでも後悔は小さくなります。

(関連記事)公務員から民間はきつい?15年勤務の元市役所職員が語る民間でも通用するスキル

内定後の退職手続きと円満退職のために実践したこと

内定を受諾してから退職するまでの期間は、在職中の転職活動の中で最もデリケートな局面です。 ここでの対応が、公務員としての評判と、新しいキャリアへのスムーズな移行を左右します。

退職の意思を上司に伝えるタイミングと伝え方

退職の意思は、自治体の服務規程で定められた期限を確認した上で、余裕を持って伝えてください。 多くの自治体では、退職予定日の1〜2ヶ月前までに申し出ることが求められています。ただし、自治体によっては「3ヶ月前まで」と定めている場合もあるため、必ず事前に人事課や服務規程で確認してください。

私の場合、退職予定日の約2ヶ月前に直属の上司に伝えました。 上司は驚いていましたが、事前に引き継ぎ計画を用意していたことで、話はスムーズに進みました。

引き止められることは十分にあり得ます。そのときは、感謝を伝えつつ、意思が固いことを穏やかに示してください。 感情的にならず、冷静に対応することが円満退職への近道です。

退職時期は「年度末」がベストとは限らない

公務員の退職=3月末というイメージがありますが、転職先の入社時期に合わせて年度途中に退職することも選択肢です。

私は転職先の入社時期に合わせて、年度途中に退職しました。年度末まで待つと転職先のポストが埋まってしまう可能性があったからです。

退職時期を検討する際は、ボーナス(期末・勤勉手当)の支給月も意識してください。 6月と12月に支給される自治体が多いため、支給日を過ぎてから退職届を出すスケジュールを組む方も少なくありません。

なお、年度途中の退職は周囲に負担をかける面があることも事実です。その負担を最小限に抑えるために、引き継ぎの質が一層求められます。

(関連記事)内閣官房 内閣人事局:国家公務員制度

引き継ぎを丁寧にやることが「円満退職」の鍵になる

引き継ぎの質が、退職後のあなたの評判を決めます。

私が実践したのは、退職を伝える前から、普段の業務を整理・文書化しておくことでした。 担当業務の手順書、頻出の問い合わせへの対応マニュアル、関係者の連絡先一覧。これらを退職の申し出と同時に上司に渡したことで、「しっかり準備してくれている」と受け止めてもらえました。

この文書化作業は、転職活動中の「スキルの棚卸し」にも役立ちます。自分がどんな業務を、どのように回していたかを言語化する作業は、職務経歴書の作成にそのまま活きました。

「立つ鳥跡を濁さず」は、公務員コミュニティでの評判を守る上でも大切です。 将来的に公務員に戻る可能性がある場合は、特に意識してください。

公務員の在職中の転職活動でよくある質問

ここからは、同じ悩みを持つ方からよく聞かれる疑問に、経験者としてお答えします。

Q. 転職活動を上司に報告する義務はありますか

法律上、転職活動を上司に報告する義務はありません。

転職活動は兼業(副業)ではないため、届出や許可も不要です。退職の意思が固まった段階で、服務規程に従って申し出れば問題ありません。

Q. 転職エージェントに登録したら勤務先にバレますか

通常の利用であれば、バレることはありません。

転職エージェントには「現在の勤務先には情報を開示しない」という設定があります。企業への個人情報の共有タイミングも、自分でコントロールできます。

ただし、職場のメールアドレスで登録しないこと、職場のWi-Fiからアクセスしないことは鉄則です。 閲覧履歴やメールの誤送信が原因でバレるケースは実際にあります。

Q. 在職中の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか

私の場合は、転職サイトへの登録から内定まで約3〜4ヶ月でした。

ただし、活動期間は応募する業界や職種、面接の進行状況によって異なります。在職中は活動に使える時間が限られるため、退職後に集中して活動するよりも長くかかる傾向があります。

ですが、焦って決めるよりも、在職中にじっくり選ぶ方がミスマッチを防げます。 「早く決めなければ」と焦る必要はありません。週に2〜3時間のペースでも、着実に前に進めます。

Q. 勤務時間中にスマホで求人を見るのは違反ですか

昼休み(休憩時間中)であれば、勤務時間には該当しないため問題ありません。

ただし、勤務時間中に求人サイトを閲覧する行為は、職務専念義務(地方公務員法第35条)に抵触する可能性があります。 求人チェックは、昼休みか退勤後に限定してください。

また、職場のWi-Fiを使って求人サイトにアクセスすることも避けた方が安全です。閲覧履歴がネットワーク管理者に記録されている場合があります。

まとめ|「転職」にはリスクがある。でも「転職活動」にはリスクがない

あらためて、この記事でお伝えしたことを整理します。

  • 公務員の在職中の転職活動は、法律で禁止されていない。 守るべきは「勤務時間中にやらない」「職場の端末を使わない」の2点。ただし管理職は自治体の退職管理条例を確認する
  • 辞めてからではなく在職中に動くべき理由は、失業保険がないこと、在職中の方が交渉で有利に働きやすいこと、内定後に判断できる安心感の3つ
  • 転職活動を始める前に、家族への相談・生活防衛資金の確認・自分ルールの設定を済ませておく
  • 転職サイト登録→エージェント登録→職務経歴書作成→面接→内定判断の5ステップで進める
  • 精神的にきつい時期は来る可能性がある。ペースを守り、完璧を求めず、マラソンのつもりで走る
  • 退職時は引き継ぎを丁寧に行い、円満退職を目指す

最後に、一つだけお伝えさせてください。

「転職」にはリスクがあります。ですが、「転職活動」にはリスクがありません。

まず転職サイトに登録して、自分の経歴でどんな求人が届くかを見てみてください。それだけで構いません。

外の世界を覗いてみて、「やっぱり公務員が一番いい」と思えたなら、それは立派な結論です。「もう少し先を見てみたい」と思えたなら、その時はもう一歩だけ前に進んでみてください。

判断するのは、あなた自身です。

運営者情報
元公務員 Webマーケター
sawada

元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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