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公務員の副業はどこまで可能?2026年の解禁範囲と許可の実際

お金・家族・将来

市役所にいたころ、私の給料月額は約23万円でした。残業が年間300時間を超えた年もありましたが、それで手取りが大きく変わったという記憶はありません。

支出が増えていく時期に、私は「本業以外で少し足せないだろうか」と考えて調べ始めました。そこで最初にぶつかったのが、検索結果に並ぶ「公務員は副業禁止」という一行です。

ところが、根拠とされている条文を実際に開いてみると、禁止とは書かれていませんでした。そこにあったのは「許可を受けなければ従事してはならない」という文です。

禁止なのか許可制なのかで、次にやることは正反対になります。禁止なら諦めるしかありませんが、許可制なら「どうすれば許可が下りるのか」を調べる話に変わるからです。

地方公務員法と国家公務員法の条文、人事院の運用通知、総務省が2025年に出した通知は、いずれも私が自分で開いて確かめました。調べていくうちに、よく引用されている数値のいくつかが現在の運用通知と食い違っていることも分かりました。

最後には、そこまで調べたうえで私が副業をせず、市役所を辞める側に振った理由も書いています。

公務員の副業は禁止ではなく許可制です

公務員の副業は、法律上「禁止」ではなく「許可がなければできない」という形で制限されています。地方公務員なら任命権者の許可、国家公務員なら所轄庁の長等の承認や許可が入口になります。

最初に確かめるべきなのは、その副業が許可の対象かどうかと、自分の職場に許可の基準があるかどうかの2点です。この2点の確認を飛ばしてしまうと、申請すれば通ったかもしれない働き方まで、自分の手で閉じることになります。

地方公務員法第38条が定めていること

地方公務員法第38条第1項は、職員は任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員などの地位を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事することができない、と定めています。制限されているのは、この3つの行為です。

ただし同じ項にはただし書があり、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員と、フルタイムの会計年度任用職員を除く)はこの制限の対象外とされています。自分がどの身分に当たるかで入口が変わるので、まずそこを確かめてください。

注目したいのは3つ目です。「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」と書かれているため、会社を作らなくても、単発の仕事で報酬を受け取る形でも対象になり得ます。

同じ条文の第2項には、人事委員会が規則で許可の基準を定めることができる、とあります。許可を出すのは任命権者で、その基準は自治体の側が決める仕組みです。

だから「公務員」でひとくくりにした答えは存在せず、最後は自分の勤め先の基準を見るしかありません。

国家公務員は第103条と第104条に分かれる

国家公務員の場合、条文は2つに分かれます。国家公務員法第103条が「私企業からの隔離」で、営利企業の役員などを兼ねることと、自ら営利企業を営むことを制限しています。

もう一方の第104条は、報酬を得て営利企業以外の事業の団体の役員を兼ねたり、その他の事業に従事したりする場合について、内閣総理大臣およびその職員の所轄庁の長の許可が必要だと定めています。

第103条の承認権者は条文上は人事院ですが、人事院規則14―8第2項で所轄庁の長等に委任されており、自ら営利企業を営むことの承認は各府省が出します。役員兼業については、職員の級によって人事院に承認が残ります。

基準を作るのが人事院、承認を出すのが所轄庁の長等、という役割分担だと考えると分かりやすいと思います。

なぜ許可が要るのか、4つの理由

制限の背景にあるものを条文から拾うと、次の4つに整理できます。

  • 職務に専念する義務があります(地方公務員法第35条)。勤務時間と職務上の注意力のすべてを職責の遂行に用いる、と定められています
  • 秘密を守る義務(守秘義務)があります(同第34条)。職務上知り得た秘密は、退職した後も漏らせません
  • 信用失墜行為が禁止されています(同第33条)。職の信用を傷つけ、職全体の不名誉となる行為をしてはならない、という規定です
  • 公務の公正性と中立性を守る必要があります。特定の相手から報酬を受け取ったために権限の行使が疑われる、という事態を避ける趣旨です

「なぜ公務員だけ制限されるのか」という疑問はよく見かけますし、私も納得しきれない時期がありました。民間では副業を認める会社が増えているのに、こちらは申請が要るという非対称は、正直なところ理不尽に感じます。

ただ、この4つが守ろうとしているのは公務そのものの信頼で、職員が働くこと自体を封じるためのものではありません。

だから、感情としての納得はいったん置いて、この4つに触れない形を作れるかどうかで考えたほうが前に進めます。

「原則禁止」という言葉が生む副作用

解説記事の多くは、この状態を「原則禁止・例外的に許可」と要約しています。要約として間違ってはいませんが、読み手には「禁止」の2文字だけが残りがちです。

私が問題だと思うのは、その2文字で確認そのものをやめてしまう人が多いことです。実際、国は後で見るように、自営兼業の枠を広げる方向で制度を動かしています。

出典:e-Gov法令検索「地方公務員法」e-Gov法令検索「国家公務員法」e-Gov法令検索「人事院規則一四―八(営利企業の役員等との兼業)」

2026年4月に変わったのは国家公務員の制度です

「公務員の副業が解禁された」という話を見かけたら、まず主語を確かめてください。2026年4月1日に施行されたのは国家公務員の自営兼業制度の見直しであって、地方公務員の制度が一斉に変わったわけではありません。

人事院が2025年12月19日に公表したもので、これまで認められにくかった分野の自営兼業が、要件を満たせば承認され得るようになりました。

ここから3つの章は国の基準の話が続きますが、地方公務員が実際に見るべきなのは自分の自治体の基準です。国の中身は、その基準を読むための土台として使ってください。

急ぐ方は「先に確認するのは自分の自治体の許可基準です」の章から読んでも構いません。

新しく承認の対象になった2つの区分

見直しで加わったのは、「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」の2つです。前者は、職員が持つ知識や技能を活用した著作物の創作および販売、物品の製造および販売、技芸の教授などを指します。

後者は、地域振興に係る催しの主催、生活支援その他の公益に資する活動を伴う事業とされています。

書くこと、作ること、教えること、地域の催しを回すことが対象になります。これまでは趣味の延長として扱われるか、規模が大きくなると身動きが取れなくなるかのどちらかだった領域が、正面から承認の枠に入りました。

承認に必要な5つの基準

とはいえ、届け出れば通るという性質のものではありません。運用通知は、次の基準すべてに適合すると認められる場合を「人事院が定める場合」として、承認できる枠を定めています。

人事院も、基準に当てはまる事業なら必ず承認されるわけではなく、府省の所掌事務や個々の職務をとりまく状況も踏まえて判断されると説明しています。

  • その事業が、所得税法第229条に規定する届出書(開業届)を提出して行うものであること
  • 目的や業務内容、営業日および営業時間、収入の予定年額等を含む事業計画書等を作成して行うものであること
  • 職員の官職と当該事業との間に、特別な利害関係またはその発生のおそれがないこと
  • 事業計画書等において週休日にのみ事業を行うこととされていること等により、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
  • 公務の公正性および信頼性の確保に支障が生じないこと

開業届と事業計画書が要件に入っている点は見落とされがちです。「まず小さく始めてみる」という民間の副業の作法とは順番が逆で、事業として説明できる状態にしてから承認を求める形になります。

承認の期間にも制限があります。この2区分の自営の承認は、2年を超えない期間について与えるとされています。

加えて、昇任や配置換えで官職が変わったときは、異動後1か月以内に改めて承認を受けることになっています。ただし、異動の前後で承認権者が同じで、その承認権者が新しい官職との間にも特別な利害関係やそのおそれがないと認めた場合は除かれます。

事業の内容を変えるときも、通知の建て付けは同じで、変更後1か月以内に改めて承認を受けることになっています。ただし人事院は、内容を変える場合は変更前に改めて承認を得る必要があるとし、承認を得るまで自己判断で事業内容を変更しないよう求めています。

地方公務員がこの制度をどう読むか

国と地方の違いを表にすると、次のようになります。

項目 地方公務員 国家公務員
根拠となる条文 地方公務員法第38条 国家公務員法第103条・第104条
手続きの相手 任命権者 自営の承認は所轄庁の長等(人事院規則14―8第2項で人事院から委任)/第104条の許可は内閣総理大臣および所轄庁の長
基準を作る主体 人事委員会規則など、自治体の側 人事院規則および運用通知
2026年4月の見直し 直接は適用されない 自営兼業の承認区分が追加された

自治体が国の運用に準じて基準を作っている例は多いものの、同じである保証はありません。国の資料は「うちでも認められるはずだ」という根拠にはならず、話をするときの共通言語として使うものだと考えたほうが安全です。

出典:人事院「自営兼業制度の見直しについて」

よく見る「年500万円・10キロワット」は今と違います

よく引用される「賃貸料収入は年500万円未満」「太陽光発電は10キロワット未満」は、現在の運用通知の数値ではありません。この章で基準として扱うのは、国家公務員に適用される人事院の運用通知に実際に書かれている数値です。

実際に運用通知を開くと、賃貸料収入の基準は年額1,000万円以上、太陽光発電は定格出力50キロワット以上と書かれています。古い数値のまま線を引くと、許可が要るかどうかの判断を根本から間違えます。

自営に当たるかどうかの規模基準

運用通知は、次のような場合にその事業の経営を「自営」に当たるものとして取り扱う、としています。

事業 自営として扱われる場合
農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等 大規模に経営され、客観的に営利を主目的とすると判断される場合
独立家屋の賃貸 独立家屋の数が5棟以上であること
独立家屋以外の建物の賃貸 貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること
土地の賃貸 賃貸契約の件数が10件以上であること
駐車場の賃貸 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること、若しくは駐車台数が10台以上であること
不動産・駐車場の賃貸料収入 合計で年額1,000万円以上である場合(建物の賃貸のみを行う場合は、床面積の合計が600平方メートル未満である場合を除く)
太陽光電気の販売 販売に係る太陽光発電設備の定格出力が50キロワット以上である場合

劇場やゴルフ練習場のような娯楽集会等のための設備を設けた不動産、旅館やホテルなど特定の業務に使われる建物も、規模にかかわらず自営として扱われます。「何棟までなら大丈夫」という覚え方ではなく、複数ある入口のどれかに当たれば自営になる、という構造で理解するほうが実態に合っています。

規模を超えても承認され得る条件

自営に当たるとしても、そこで終わりではありません。運用通知は承認できる場合として、職員の官職と当該不動産などとの間に特別な利害関係またはその発生のおそれがないこと、そして入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の管理業務を事業者に委ねること等により職務の遂行に支障が生じないことが明らかであることを挙げています。

これに加えて、その他公務の公正性および信頼性の確保に支障が生じないことも基準に入っており、この3つすべてに適合する必要があります。太陽光電気の販売についても同じ3つの基準が置かれています。

管理を自分でやらないことが、職務に専念する義務との折り合いをつける手段として運用通知に書き込まれているわけです。ここでいう特別な利害関係とは、補助金等の割当や交付、許認可、検査や監査、国税の査定や徴収といった監督関係や権限行使の関係、あるいは工事契約や物品購入契約などの契約関係を指すと定義されています。

この数値は国家公務員の基準である点に注意

繰り返しになりますが、ここまでの数値は国家公務員に適用される運用通知の中身です。地方公務員が自分の状況を判断する材料としては、自治体の許可基準のほうが優先します。

それでも読む価値があるのは、多くの自治体がこの考え方を下敷きにしているからです。相談に行く前に国の基準を読んでおくと、担当者と同じ土俵で話ができます。

なお、この運用通知は2025年(令和7年)12月19日に改正されています。解説記事に500万円や10キロワットという数値が並ぶのは、改正前の基準を引いているからです。

出典:人事院「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」

許可が通りやすい副業と、まず通らない副業

通るかどうかは、担当業務と利害が接しないか、職務の遂行に支障が出ない形か、公務の公正性と信頼性を損なわないかという3点で決まります。「公務員でもできる副業は何か」を業種名で並べても答えにならないのは、同じ仕事でも規模と相手で結論が変わるからです。

また、2点目の見られ方は事業の類型で変わります。国家公務員の運用通知は、知識・技能をいかした事業と社会貢献に資する事業については「週休日にのみ事業を行うこととされていること等」を、不動産や駐車場の賃貸については「管理業務を事業者に委ねること等」を、支障が生じないことの根拠として挙げています。

3点目については、人事院が「専ら職務上得た知識を用いて行う自営である場合」などを、公務の公正性や信頼性の確保に支障が生じ得る例として示しています。職名や職務で知ったことに寄りかからない形かどうかが、ここでの分かれ目です。

なお、この3点は人事院が国家公務員の承認基準として示している判断要素で、地方公務員は自分の自治体の基準によります。

ここでは、条文と運用から見て説明の筋が立てやすい類型と、まず通らない類型を整理します。

そもそも許可が要らない範囲

先に、申請しなくてよい線を引いておきます。地方公務員法第38条第1項が制限しているのは、営利企業の役員などの地位を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業や事務に従事することの3つでした。

この3つのどれにも当たらない活動は、そもそも許可の対象になりません。収益化していないブログやSNS、家庭の不用品を売ること、株式や投資信託などの資産運用、報酬を受け取らない地域活動が、ここに入ります。

ただし線は思ったより手前にあります。無報酬でも役員などの地位を兼ねる場合と自ら営利企業を営む場合は許可が要りますし、勤務時間中に行えば職務に専念する義務の問題が残ります。

不動産や太陽光のように、報酬の有無ではなく規模で線が引かれるものもあります。それでも、収益を受け取らない形なら動ける余地があるという事実は、知っておく価値があります。

知識や技能をいかした型

執筆、技芸の教授、物品の製造および販売が、この型に当たります。具体的には、本や記事を書いて売ること、資格や実務の知識をもとにした講座、楽器や書道などの教室、ハンドメイド品や写真の販売あたりが読者の関心の中心だと思います。

国家公務員については2026年4月から「職員の有する知識・技能をいかした事業」として承認の枠ができました。趣味の延長のつもりでも、報酬を受け取った時点で許可や承認の対象になり得る点は変わりません。

講演や講師も、報酬を受け取る以上は許可の対象です。ただし、依頼元が自分の担当業務と関係する団体である場合は、特別な利害関係に触れる可能性が高くなります。

発信して収益が出る型

ブログ、動画配信、アフィリエイトのように、続けているうちに収益が発生する形はここに入ります。広告収入が入り始めた時点で、報酬を得て事業に従事している状態に近づきます。

国家公務員については、著作物の創作および販売が新しい承認の枠に入りました。人事院は、承認を得られる場合でも組織の肩書きを用いてはいけないといった制限が付くことがある、とも説明しています。

順番として安全なのは、収益化を止めた状態で相談し、承認や許可が下りてから収益を受け取り始める形です。先に収益が出てしまった場合は、その時点で早めに申し出るほかありません。

地域活動や社会貢献の型

地域振興の催しの主催、生活支援、子どもへのスポーツ指導のような活動が、この型に入ります。報酬を受け取らない活動は、地方公務員法第38条第1項のうち「報酬を得て事業や事務に従事する」類型には当たりません。

ただし、その団体が営利企業に当たる場合の役員就任は、先に書いたとおり報酬の有無を問わず許可の対象です。非営利の団体でも、自治体の規則で許可の要る地位に指定されていることがあるので、就任の前に規則を確かめてください。

家業の手伝いや小規模な農業は、扱いに迷いやすい領域です。運用通知は農業などについて「大規模に経営され客観的に営利を主目的とすると判断される場合」を自営として扱うとしており、家族の手伝いの範囲か、事業として営んでいるのかが分かれ目になります。

資産をもとにする型

不動産や駐車場の賃貸、太陽光電気の販売がこの型です。先に見たとおり規模の基準があり、それを超えると自営として扱われます。

相続で物件を引き継いだ場合など、自分の意思とは関係なく規模が大きくなることもあります。運用通知には、相続や遺贈等により家業を継承した場合の承認基準も置かれていますが、それは不動産や駐車場の賃貸と太陽光電気の販売以外の事業についてのものです。

相続した賃貸物件そのものは、規模の基準と、先に挙げた3つの承認基準(利害関係、管理業務の委託等による職務遂行への支障のなさ、その他公務の公正性と信頼性)で判断されます。

まず通らない類型

逆に、説明の筋が立ちにくいものを表にまとめます。

類型 引っかかる点 考えられる代替
勤務時間中や休憩時間に稼働が必要な仕事 職務に専念する義務に反する 週休日に完結する形へ組み替える
自分の担当業務と利害が接する相手からの報酬 特別な利害関係またはその発生のおそれ 相手を変えるか、担当が外れてから検討する
雇用契約を結んで働くアルバイト(国家公務員は原則として認められていない) 勤務時間と拘束の管理を相手に委ねることになり、支障がないと説明しにくい 地方公務員は自治体の判断次第。時間数を先に固めるか、成果物の納品で完結する形を検討する
職務上得た知識に専ら依拠する仕事 公務の公正性と信頼性。秘密を守る義務や信用失墜行為の禁止にも触れ得る 職名を出さずに成立する題材へ変える
収益化しているのに無許可で続けている活動 手続き違反そのもの いったん収益を止めて許可を申請する

この表を眺めると、通る通らないの分かれ目が業種ではないことがはっきりします。やりたいことがどれかに当たっているなら、形を組み替えられないかを先に考えたほうが早道です。

なお、職務で得た知識を使うこと自体が一律に不可というわけではありません。人事院は、職務を通じて得た知識や技能を活用する兼業が必ず承認できないわけではないとしたうえで、公務の公正性や信頼性の確保の観点から承認権者が厳格に判断する可能性がある、と説明しています。

厳しく見られるのは「専ら職務上得た知識を用いて行う」形なので、肩書きを伏せれば済むという話ではありません。承認にあたって肩書きを使わないなどの条件が付く場合はありますが、それは承認後の留保であって、知識への依拠の仕方そのものの評価とは別です。

雇用されて働く形についても、国と地方で扱いが分かれます。総務省は2025年の通知で、営利企業の従業員との兼業は国家公務員では原則として認められていないとしたうえで、地方公務員については「一律にこれを禁止するのではなく」、基本的原則を満たす場合は各任命権者の判断で認めることが可能だと示しました。

ただし同じ通知は、兼業先の勤務時間数の上限を定めて確認する運用を求めています。申請するつもりなら、働く時間数を先に固めておくほうが早道です。

出典:総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」人事院「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」

無許可で続けたときに起きること

無許可の兼業で問われるのは、稼いだ金額の大小ではなく、手続きを踏んだかどうかです。地方公務員法第29条は、この法律に違反した場合、職務上の義務に違反した場合、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合に、戒告、減給、停職、免職の懲戒処分ができると定めています。

処分の重さは事案ごとに判断されるため一律には言えませんが、少額だから対象外という規定はありません。金額の線引きを探す前に、許可の対象かどうかを確かめるほうが順番として正しいと思います。

懲戒処分の根拠になる条文

第29条第1項が挙げる事由のうち、無許可の兼業は第1号(法律に違反した場合)と第2号(職務上の義務に違反した場合)に関わります。許可を取らずに始めた時点で、事業の中身が健全かどうかとは別に、手続き違反という事実が残ります。

多くの自治体は懲戒処分の指針を公表していて、兼業に関する処分例が載っていることもあります。自分の職場の指針を一度読んでおくと、リスクの大きさが具体的に見えてきます。

目安になるのは国の指針です。人事院の「懲戒処分の指針について」は、承認や許可を得る手続きを怠って兼業を行った職員を「減給又は戒告とする」と定めています。

免職ではないと知って安心する人もいるかもしれません。ただ、減給も戒告も記録に残る処分で、事案の中身によっては別の非違行為として重く扱われる余地もあります。

もう1つ見落とされがちなのが公表です。人事院は懲戒処分の公表指針を作り、各府省がこれを踏まえて公表するよう求めています。

自治体も同じように公表の基準を持っていることが多く、処分は職場の中だけの話では終わりません。

国家公務員の場合は、さらに重い扱いが用意されています。人事院は、国家公務員法第103条第2項の承認を得ずに自営兼業を行った場合について、懲戒処分の対象となり得るだけでなく、同法第109条第13号に該当し1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑に処せられる場合がある、と説明しています。

第109条第13号が対象にしているのは「第百三条の規定に違反して営利企業の地位に就いた者」です。承認を得て始めた後でも、勤務日に常態的に事業を行うなど承認の前提を無断で変えた場合は同じ扱いになり得る、と人事院は注意を促しています。

税の手続きは許可とは別に必要になる

許可を得たとしても、税の手続きが自動的に済むわけではありません。国税庁は、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告をしなければならない、と案内しています。

この20万円はもともと税の手続きの基準です。国家公務員については人事院が自営に当たるかどうかの目安にも使っていますが、地方公務員の許可の基準とは別のものです。

所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別に必要になることがあります。横浜市は、1か所から給与を受けている人で給与所得以外の所得の合計が20万円以下の場合について、原則として確定申告は不要だが市民税・県民税の申告は必要になる、と案内しています。

退職や転職で住民税の払い方がどう変わるかは公務員の転職で住民税がどう変わるかを整理した記事に、退職の年の申告については公務員の退職で確定申告は必要かをまとめた記事に書いています。

無許可のままだと、どこかで表に出ます

無許可のままでも、所得や活動の痕跡はどこかに残ります。金額の線を探しても、手続きを踏んでいないという事実自体は消えません。

所得が動けば税の手続きが必要になり、住民税には給与から差し引いて勤め先が納める特別徴収という仕組みがあります。取引先や知人から話が伝わることもありますし、活動を公開していれば見つかる余地も出てきます。

つまり、露見する経路を1つずつ塞いでいくのは現実的ではありません。塞ぐ側の努力より、許可を取る側の手間のほうが確実に軽くて済みます。

この記事に「バレない方法」を書かない理由

検索するとき、多くの人が本当に気にしているのは「どうすれば知られずに済むか」だと思います。私も調べていたころ、その種の情報を読みました。

それでもここに書かないのは、手続きを飛ばす方法を紹介することが、読んでくれた人の職を危うくするからです。私が書けるのは、許可を取りにいく道筋と、取れなかったときにどうするかの2つだけだと考えています。

出典:人事院「懲戒処分の指針について」人事院「懲戒処分の公表指針について」国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」横浜市「市民税・県民税の申告について」人事院「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」

先に確認するのは自分の自治体の許可基準です

副業の候補を探すより先にやるべきなのは、自分の自治体の許可基準を読むことです。総務省は2025年6月11日に「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について」という通知を各地方公共団体へ出しており、分科会の報告書、許可の実態調査、許可基準を設定する際のポイントが添えられています。

国が自治体に対して基準の整理を促している状況なので、以前より基準が明文化されている職場は増えているはずです。まずは自分の職場に何が用意されているかを確かめてください。

総務省が2025年に出した技術的助言

この通知は、総務省が2024年9月に設置した「地方公務員の働き方に関する分科会」の報告書を踏まえたものです。兼業を取り巻く環境の変化や自治体からの意見を検討したうえで取りまとめられました。

押さえておきたいのは、国が地方に「兼業を認めなさい」と命じたのではなく、各自治体に詳細で具体的な許可基準を自前で作って公表するよう求めた、という位置づけです。通知は、職員が許可申請を躊躇なく行えるようにすることと、基準が明確でないまま無許可で始めて懲戒処分に至る事案を防ぐことを、公表の理由に挙げています。

基準の中身は地域の実情に応じて各団体が決めるものとされています。通知に添えられた調査では、許可基準を設定している自治体は64パーセントで、前回調査から25ポイント増えたと報告されました。

それでも、通知が出たことをもって自分の職場の運用が変わったと考えるのは、少し早すぎます。

許可基準を公表している自治体の例

基準を公表している自治体は実際にあります。奈良県の生駒市は、職員の地域活動への参加を促すため、職務外に報酬を得て地域活動に従事する際の基準を定め、2017年(平成29年)8月1日から運用を始めたと公表しています。

運用の文書を開くと、対象になる活動が「公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であって、報酬を伴うもの」であること、報酬は地域貢献活動として許容できる範囲であることなどが、要件に挙がっています。

申請は「営利企業等従事許可申請書」という様式で行い、要件と内容の審査を経る形です。公務員という職業柄、報酬の受け取りに抵抗があり、それが地域活動への参加を妨げる一因になっていた、と市自身が説明している点が印象的です。

自分の自治体に同じ制度があるとは限りません。それでも、こうした例があると分かっているだけで、人事担当課に何を聞けばよいかが具体的になります。

私が勧める確認の順番

調べる順番を間違えると、答えが出ないまま時間だけが過ぎます。私が今の立場で現役の公務員に聞かれたら、次の順で確認するように伝えます。

  1. 「自治体名+例規集」で検索し、服務の章を開く。「職員の営利企業等の従事制限に関する規則」「営利企業への従事等の制限に関する規程」といった名前で置かれていることが多い
  2. 許可基準が定められているか、公表されているかを確認する
  3. 申請の様式と提出先、決裁の経路を確認する
  4. そのうえで人事担当課に、事実関係だけを絞って質問する
  5. 許可が下りるまでは着手しない

基準が見つからないときの聞き方も決めておくと動きやすくなります。「営利企業への従事等の許可基準と、申請の様式・提出先を教えてください」が使いやすい尋ね方です。

制度の所在だけを聞く形にすれば、自分が何をしようとしているかを説明する前に、事実確認だけを済ませられます。

4番目に抵抗を感じる人は多いと思います。ただ、制度について尋ねる行為そのものは服務違反ではありません。

無許可のまま続けて後から発覚するほうが、はるかに重い扱いになります。

申請書には何を書くことになるか

様式は自治体ごとに違いますが、聞かれることは大きく変わりません。国家公務員については、承認した自営兼業について人事院へ報告することになっている項目が運用通知に並んでいるので、そこから輪郭がつかめます。

不動産や駐車場の賃貸なら、種類と件数と規模の内訳、種類ごとの賃貸料収入の予定年額、管理の方法です。太陽光電気の販売なら、設備の定格出力と収入の予定年額、管理の方法になります。

知識・技能をいかした事業では、事業計画書等に目的と業務内容、営業日と営業時間、収入の予定年額を書いたうえで、職員が持つ知識または技能と事業との関係を説明します。社会貢献に資する事業なら、そう判断した理由が必要です。

共通しているのは、いつ働くのか、いくら入る見込みか、誰と取引するのか、の3つを数字と固有名で書かされるという点です。頭の中で漠然と考えている段階では申請書が埋まらないので、先にここを詰めておくと話が早く進みます。

決裁の経路も、一般には所属を経由して人事担当課へ回り、最後に任命権者が判断する形になります。人が3段階を通るので、日単位で終わる手続きだとは考えないほうがいいと思います。

所要期間を定めた資料は見当たらず、自治体によって差もあります。私なら、始めたい時期の2、3か月前には相談を始めます。

生駒市の運用も、申請書を出して要件と内容の審査を受ける形になっていて、出せば通るという建て付けにはなっていません。実際にどれくらいかかるかは、人事担当課に確認するのが確実です。

許可が通りにくい申請に共通するもの

基準を読んでいくと、通りにくい申請の輪郭が見えてきます。整理すると次の3つに集約されます。

  • 勤務時間や職務上の注意力を割かなければ回らない仕事であること
  • 自分の担当業務と利害が接する相手から報酬を受け取る形になっていること
  • 職名や職務で知り得た情報が、その事業の価値の一部になっていること

逆にいえば、国の基準に沿って週休日に完結し、担当業務と接点がなく、公務の公正性や信頼性を疑わせない仕事であれば、説明の筋は立てやすくなります。不動産の賃貸のように管理の委託で支障のなさを示す類型もあるので、自分の事業がどの型かを先に見極めてください。

許可が下りなかったときにどうするか

申請が通らないことも、そもそも基準が用意されていないこともあります。そこで終わりにせず、次の手を持っておくと消耗しません。

まず、断られた理由を聞いて形を組み替えます。時間が問題なら稼働日を週休日に寄せ、相手が問題なら取引先を変え、規模が問題なら縮めるという具合に、引っかかった条件だけを外して再申請する余地があります。

次に、報酬を伴わない形に落として続ける道があります。報酬を受け取らない活動は、第38条第1項のうち「報酬を得て事業や事務に従事する」類型には当たりません。

ただし前に書いたとおり、営利企業の役員などの地位を兼ねる場合と自ら営利企業を営む場合は、報酬の有無を問わず許可が要ります。無報酬にすれば足りるのは、3つある類型のうち3つ目だけです。

担当や職場が変われば判断が変わることもあるので、異動の時期を待つのも現実的です。そして、どれも合わないと分かったときに初めて、働く場所を変えるという選択肢が出てきます。

出典:総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」生駒市「地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事(副業)の促進について」

副業で埋まる差と、埋まらない差

制度をひととおり調べたうえで、私が出した結論は「副業では自分の問題は解けない」でした。月に数万円の副収入は家計を軽くしますが、年収の階段そのものは動かないからです。

休みの日に収まる形で許可を取るなら、増える収入の原資は自分の休みそのものになります。休みを削って月3万円を作るのか、働く場所を変えて年収の前提ごと変えるのか。

ここは価値観の問題ではなく、何を減らして何を増やすかという配分の問題だと思います。

月数万円で変わることと、変わらないこと

月3万円が入れば、食費の不安は確かに減ります。子どもの習い事を1つ増やせるかもしれません。

ただ、住宅ローンや教育費のように十年単位で続く支出に対しては、月3万円は「ぎりぎり回る」を維持する額であって、余裕を作る額にはなりにくいのが実感です。しかもその3万円は、休みを使い続ける限りにおいて入り続ける、条件付きの収入です。

住宅ローンを抱えたまま動くとどうなるか

持ち家がある人が副業に望みを託したくなる気持ちは、私にも分かります。転職で収入が一時的に下がると、返済に直結するからです。

ただ、住宅ローンで効いてくるのは月々の副収入より、勤続年数や雇用形態といった審査の前提のほうです。借り換えや新規の借入を控えているなら順番の設計が要るので、公務員から転職すると住宅ローンはどうなるかを整理した記事を先に読んでおくと判断しやすくなります。

年収の階段は働く場所で決まる

私は市役所を2022年5月に辞め、IT企業へ移りました。最初の転職で年収は200万円下がっています。

数字だけ見れば失敗ですが、職種を変えて積み直すという道は、公務員のままでは選べませんでした。何が戻って何が戻らなかったかは公務員から転職して年収が200万円下がった話に詳しく書いています。

現在は在宅勤務のWebマーケティング職です。通勤時間がまるごと消えたことで、家にいる時間は市役所時代より確実に増えました。

副業で休みを売るより先に、通勤や勤務形態そのものを見直したほうが早い場合もあります。在宅で働ける求人を具体的に見てから考えたい方には、リモートワークに特化した Remoful のような相談先から情報を集める方法もあります。

リモート求人を相談する(無料面談)

※Remofulはリモートワーク求人に特化した転職支援サービスで、事前面談は無料と案内されています。求人の内容は時期によって変わるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。私自身はこのサービスを利用したことはありません。

私が副業を断念して、辞める側に振るまでに考えたこと

調べていて手が止まったのは、休みの日に収まる形しか説明できないと気づいたときでした。年間300時間を超える残業をしていた時期に、残った休みで許可の申請を通し、内容が変わるたびに説明し直す姿が想像できなかったからです。

今、国家公務員に適用されている開業届と事業計画書の要件も、2年を超えない期間ごとの再承認も、当時は存在しませんでした。そもそも地方公務員だった私には、今も直接は適用されません。

それでも、許可を取って続けるという手続きの重さは、当時も同じように壁でした。

そのうえ、当時の私が売れるものは庁内の手続きの知識くらいで、それは職務上知り得たことと切り分けにくい領域でした。結局、私は副業に使う時間を、辞めるための準備に振り替えました。

具体的には、生活費の何か月分を持って動くかを妻と決めて、そこから逆算して転職活動を始めています。その考え方は、公務員を辞める前の貯金はいくら必要かをまとめた記事に計算の仕方つきで書きました。

あのとき副業に手を出さなかったこと自体に後悔はありません。ただ、在職中に許可の要らない範囲で何か作っておけばよかった、という気持ちは今も残っています。

収入としてではなく、外で通用するかを試す機会として、動きようはあったと思います。

公務員の副業でよくある疑問

ここからは、調べているときに私自身が引っかかった点をまとめます。共通しているのは、金額や時間の線を探すより、許可の対象かどうかで考えたほうが早いということです。

金額や時間をそのまま許可の可否に置き換える基準は、条文にはありません。国家公務員については人事院が収入と時間の目安を示していますが、地方公務員の許可基準は自治体ごとに決まります。

数字で割り切れないぶん、自分の職場の基準に当てはめる作業が要ります。

いくらまでなら許可は要らないのですか

地方公務員法第38条にも国家公務員法第104条にも、金額の下限は書かれていません。報酬を得て事業や事務に従事する時点で、許可の対象になり得ます。

よく出てくる20万円は、もともと確定申告が必要になるかどうかの目安です。ただし国家公務員については、人事院がこの20万円を服務上の判断の目安にも用いています。

新しい2区分について、経費を差し引く前の事業による収入が年間で20万円を超える見込みなら規模の観点から「自営」と判断し得る、というのが人事院の説明です。事業開始後に見込みが変わって20万円を超えそうになった場合も、その日から1か月以内に承認されるよう申し出るように、とされています。

一方で、独立した実店舗を設けて屋号を掲げる場合のように営利企業としての外観が十分にあるときは、収入の確認を待たずに自営と判断される場合もあります。金額はあくまで目安の1つで、地方公務員の許可については各自治体の基準が優先します。

何時間までなら大丈夫なのですか

時間数の上限を定めた条文は見当たりません。ただし国家公務員については、人事院が数値の目安を示しています。

原則として週8時間または1か月30時間、勤務時間が割り振られた日については1日3時間の範囲内とすることが適当だ、という説明です。国家公務員法第104条の許可を受けて別の兼業もしている場合は、合算してこの範囲に収める形が適当だとされています。

運用通知の側が基準に挙げているのは「週休日にのみ事業を行うこととされていること等により、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること」という一文です。年次休暇を取ることを前提にした計画は承認が難しいとされています。

逆に週休日に行うことは原則の形で、その週休日にも疲労の回復にあてる時間が残ることが前提です。平日の夜に回さないと成り立たない設計は、厳しく見られると考えたほうが安全です。

YouTubeやハンドメイドの販売はどうなりますか

収益化しているかどうか、継続して行っているかどうかが判断の材料になります。広告収入が発生した時点で、許可や承認の対象になり得ます。

国家公務員については、2026年4月から著作物の創作および販売や物品の製造および販売が承認の対象に入りました。地方公務員の場合は自治体の基準によるため、同じ内容でも扱いが分かれます。

株式投資や投資信託は副業に当たりますか

一般には、資産運用は営利企業を営む行為とは区別して扱われています。一方で、不動産の賃貸や太陽光電気の販売には、先に見たとおり規模の基準が設けられています。

境界にある例も多いので、規模が大きくなりそうなときや相続で物件を引き継いだときは、所属の人事担当課に確認するのが確実です。

家族名義にすれば問題ないのでしょうか

運用通知は、自ら営利企業を営むこととは職員が自己の名義で経営する場合をいうとしたうえで、名義が他人であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する、と書いています。

名義を変えるだけでは対策になりません。実態として誰が経営しているのかが見られます。

みなし公務員や準公務員も同じ扱いですか

地方公務員法や国家公務員法が直接適用されるかどうかは、その団体の設置根拠によって変わります。適用がない場合でも、就業規則や服務規程で兼業を制限しているのが一般的です。

根拠が法律なのか就業規則なのかで手続きの相手が変わるので、まず自分に適用される規程を確認してください。

特別なスキルがなくても許可は取れますか

許可の基準に「高度なスキルがあること」は含まれていません。見られているのは、職務に支障が出ないか、利害関係がないか、公務の信頼を損なわないかです。

とはいえ、売れるものが手元にないと事業計画書は書けません。自分に何があるかを棚卸しする作業は公務員の転職はスキルなしでも進むという記事に手順をまとめてあるので、副業を考える段階でも使えます。

報酬を手渡しで受け取れば扱いは変わりますか

受け取り方は、許可が要るかどうかとは関係しません。条文が見ているのは、報酬を得て事業や事務に従事したという事実のほうです。

現金で受け取っても、家族の口座に入れても、許可の要否は変わりません。税の申告義務も同じで、受け取りの形では消えません。

副業ができないなら転職しかないのでしょうか

選択肢は3つあると思います。許可を取りにいくか、制度が変わるのを待つか、働く場所を変えるかです。

どれを選ぶにしても、先に整理しておきたいのは「お金が足りないのか、時間が足りないのか、この先が見えないのか」という点です。私は当時それを言葉にできないまま動いてしまい、1社目を6か月で辞めています。

相談先の選び方は公務員の転職は何から始めるかを整理した記事にまとめました。

何が足りないのかを自分ひとりで言語化するのは、思っている以上に難しい作業です。第三者と話しながら整理したい場合は、30〜40代向けのキャリアコーチング ZaPASS のように、無料の事前面談から始められるサービスもあります。

迷いをコーチと整理する(無料事前面談)

※ZaPASSは30〜40代のビジネスパーソン向けのキャリアコーチングで、事前面談は無料と案内されています。内容や料金は公式サイトでご確認ください。私自身はこのサービスを利用したことはありません。

出典:人事院「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」

まとめ|曖昧なまま続けるのが一番危ない

公務員の副業は、禁止されているのではありません。許可を受ければ道が残る制度で、地方公務員なら任命権者の許可、国家公務員なら所轄庁の長等の承認や許可が入口になります。

2026年4月に動いたのは国家公務員の自営兼業制度で、知識や技能をいかした事業と社会貢献に資する事業が、開業届と事業計画書を前提に承認され得るようになりました。よく引用される「年500万円・10キロワット」は現在の運用通知の数値と違い、実際には年額1,000万円以上、定格出力50キロワット以上と書かれています。

そして、地方公務員が本当に見るべきなのは国の資料ではなく、自分の自治体の許可基準です。今日から動くなら、次の3つで足ります。

  1. 例規集で服務と営利企業への従事等の規程を開く
  2. 許可基準と申請の様式が用意されているかを確認する
  3. 人事担当課に、事実関係だけを絞って聞く

私の結論は、許可を取りにいくか、働く場所を変えるかのどちらかを早めに決めたほうがいい、というものです。一番危ないのは、判断を先送りにしたまま、無許可のグレーな状態を続けることだと思います。

制度は年度によって変わり、運用も自治体ごとに違います。この記事は判断の材料であって、最終的な可否は所属の人事担当課と公式資料でご確認ください。

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元公務員 Webマーケター
sawada

元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年以上勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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