市役所にいたころ、私のExcelは前任者が作った様式に数字を入れるだけでした。関数はSUMしか使わず、グラフは年に一度、決算資料のために作るくらいです。
その状態で転職活動を始めたので、求人票の「基本的なPCスキル」という一行を見るたびに、自分は当てはまらないと思っていました。
先に結論を書きます。照会の集計を毎年やっているような公務員なら、求人票が言う基本的なPCスキルにはすでに届いています。
私が本当に苦労したのは、関数でもショートカットでもありませんでした。処理の速さと、他人が触る前提でファイルを作れていなかったことです。
求人票の表記の読み分けと、公務員のパソコン環境の違いから整理します。そのうえでExcelのレベルの目安、書類への書き方、資格の要否まで、当時の自分に説明するつもりで書いていきます。
求人票の「基本的なPCスキル」はどこまでを指すのか
私が見てきた求人票の「基本的なPCスキル」は、文字入力とメールのやり取り、Wordでの文書作成、Excelでの入力と簡単な集計あたりまでを指していました。
照会の取りまとめを毎年やっている公務員なら、入力と集計については経験があるはずです。私も応募前は届いていないと思い込んでいましたが、書き出してみたら足りていました。
応募前に立ちはだかる壁は、スキルの水準そのものではなく、求人票の表記を読み分けられていないことです。
同じ「PCスキル」でも、書き方によって要求水準はまったく違います。以下では実際の水準、公務員がすでに満たしている部分、表記の読み分け方を順に整理します。
応募条件に書かれるPCスキルの実際の水準
求人票の「基本的なPCスキル」は、次のあたりを想定していることが多いと感じています。
- パソコンを起動して、フォルダやファイルを整理できる
- ある程度の速さで文字入力ができる(画面を見ずに打てる必要まではない)
- ビジネスメールの送受信と、添付ファイルのやり取りができる
- Wordで文書を作り、体裁を整えられる
- Excelにデータを入力し、合計や平均を出せる
ブラインドタッチができないと事務職は無理か、とよく聞かれます。私の実感では、必須ではありませんが、遅すぎると入社後に自分が苦しくなります。
職種ごとに求められるスキルを客観的に確かめたい場合は、厚生労働省が運営する職業情報のサイトを見ておくと、自分の思い込みと実際の要件のズレに気づけます。
公務員がすでに満たしている部分はどこか
市役所で私がやっていたことを、そのまま並べてみます。
庁内の各課から集まった照会の回答をExcelに落として集計し、間違いがないかを確認して起案に添付します。年度末には、その年の件数を前年と比べた表を作ります。
この作業ができている時点で、入力・集計・確認という基本の3つは経験済みです。使っている機能がSUMだけだったとしても、業務としてのExcelは使えています。
同じように、庁内メールでの依頼や照会のやり取りは、そのままビジネスメールの経験に置き換えられます。文書の体裁については、私のいた職場では細かい基準が決まっていて、そこで鍛えられました。
自分の経験のうち何が使えるのかを部署別に洗い出したい方向けに、(関連記事)あなたの公務員経験に隠れているスキルを部署・業務別に確認するで手順をまとめています。
求人票のPCスキル表記は3種類に読み分ける
ここが応募の可否を分ける部分です。求人票のPCスキルの書き方は、大きく3つに分かれます。
| 求人票の表記 | 求められている水準 | 公務員が応募していいか |
|---|---|---|
| 基本的なPCスキル/PC操作ができる方 | 入力、メール、Wordでの文書作成、Excelでの集計まで | 入力と集計に加え、メールとWordでの作成経験があれば応募できる |
| Excel(VLOOKUP・ピボットテーブルなど)が使える方 | 別の表からデータを引っ張る、大量のデータを集計し直す作業 | 未経験なら、応募までに触っておきたい |
| Excelでの資料作成経験/データ分析経験 | 自分で表を設計し、数字から示唆を出して資料化する | 経験がないなら優先度を下げてよい |
1つ目は、公務員の実務でほぼ足ります。2つ目は関数名が具体的に書かれているので、指名されている機能を先に練習しておくと近づきます(ほかの応募条件も併せて確認してください)。
3つ目まで求める求人は、私が見た範囲では経理や企画寄りの募集に多いと感じました。ここに無理に応募するより、1つ目と2つ目の求人に数を出したほうが、私の場合は結果につながりました。
求人票の書き方そのものに慣れておきたい場合は、公的な求人情報で表記を見比べるのが早いと思います。
それでも私が届かないと思い込んでいた理由
理由は単純で、比べる相手を間違えていたからです。
私が思い浮かべていたのは、Excelでマクロを組んで作業を自動化している人でした。その人と自分を比べれば、当然足りていません。
ですが私が応募した求人が求めていたのは、その水準ではありませんでした。募集の背景にあったのは「今いる人の手が回らないから、日々の処理を任せられる人がほしい」という事情だったと、入社後に知りました。
私が入った会社で見られていたのは、突出した操作力ではなく、渡した仕事が滞りなく戻ってくるかどうかでした。この視点を持てたのは、実際に働き始めてからです。
公務員のパソコン環境が民間と違う3つの点
差が生まれるのは能力ではなく、環境のほうです。
様式が固定されたExcel、紙の決裁とデータの二重管理、そして外部サービスが使えない制限があります。この3つが、公務員のパソコンの使い方を民間と別物にしています。
だから民間に移った直後は、操作以前のところで戸惑います。私も最初の1ヶ月は、何が違うのかを言葉にできませんでした。
そのまま持ち込むと苦労しますが、環境の違いだと分かっていれば、埋めるべき部分も具体的に見えてきます。以下では、私がどこで環境差を感じたのかを3つに分けて書きます。
様式が固定されたExcelと共有ドライブ
私がいた市役所では、前任者が作った様式が共有ドライブに置いてありました。担当者の仕事は、その様式に数字を入れて、決められた場所に保存することです。
これは効率がいい仕組みですが、自分で表を設計する機会がほとんどありません。私も15年以上のあいだに、ゼロから集計表を組み立てたことは数えるほどでした。
民間に移ると、まず表の形から相談されます。「この数字を毎週見たいから、集計しやすい形にしておいて」と頼まれて、何から手を付けるか迷いました。
操作を知らなかったわけではありません。設計を任された経験がなかったので、判断の基準を持っていなかったのです。
紙の決裁とデータの二重管理という運用
もう一つの違いが、紙とデータが並走していることでした。
集計はExcelでやるのに、決裁は紙の起案で回します。回覧が終われば紙を保存し、データは共有ドライブに置くという運用です。
この二重管理に慣れていた私は、データそのものが記録として扱われるという感覚を持てていませんでした。転職先では、ファイルの更新履歴やコメントがそのまま経緯の記録になっていました。
私が最初に注意されたのも、ファイルを更新するたびに新しい名前で保存し直していたことでした。庁内では当たり前の作法が、共同で編集する環境では邪魔になります。
クラウドや外部サービスが使えない制限
私がいた庁内のネットワークには接続の制限があり、クラウドサービスや外部のチャットに触れる機会はほとんどありませんでした。
そのため、Googleスプレッドシートで複数人が同時に編集する感覚も、SlackやTeamsでのやり取りも、転職して初めて経験しました。ITリテラシーが低いのではなく、単に触ったことがなかっただけです。
なお、自治体のデジタル化はここ数年で進んでおり、クラウドやオンライン会議を日常的に使っている職場も増えています。ご自身の環境がどちらに近いかで、準備の必要量は変わります。
ここは実際に触ってみると早く慣れます。私の場合は1週間ほどで抵抗がなくなりました。
ただ、慣れるまでの数日を入社後に持ち越すと、周囲の速さについていけない時期が長引きます。時間感覚の落差そのものについては、(関連記事)【ギャップ2】意思決定のスピード:週単位から時間単位へで、私が感じたギャップの一つとして詳しく書きました。
私が1社目でつまずいたのは操作ではなく速さだった
関数を知らないことは、1社目で一度も問題になりませんでした。
指摘されたのは別の2点です。処理が遅いことと、他人が触る前提でファイルを作れていないことでした。
この2つは操作を覚えても直りません。手を動かす順番と、ファイルを誰のために作るのかという考え方を入れ替える必要があり、私はそこに時間がかかりました。
入社後に残る壁はここにあります。応募前に気にしていた水準の話とは、段階がまったく違いました。
以下では、何が問題にならなかったのか、何が本当に問題だったのかを分けて書きます。
関数を知らないことは問題にならなかった
1社目で任された仕事は、問い合わせ内容の記録と、月ごとの件数の集計でした。使ったのは入力と並べ替え、あとは合計を出す程度です。
VLOOKUPを使う場面が来たのは、入社してしばらく経ってからでした。そのときも「これ使える?」と聞かれ、使えないと答えたら、その場で教えてもらって終わりです。
関数は聞けば解決しますが、聞く前に固まってしまう時間のほうが評価に響きます。分からないと言い出せずに時間を使ってしまった日が、私にはありました。
VLOOKUPやピボットテーブルが使えないと転職できないのか、という不安には、はっきり違うと答えられます。求人票に名前が書かれていない限り、入社後で間に合いました。
他人が触る前提でファイルを作れなかった
一番はっきり指摘されたのが、ここです。
私の作るExcelは、計算結果を手入力で上書きしたり、色の意味をどこにも書かなかったり、シート名が「Sheet1」のままだったりしました。市役所では自分と後任だけが見るファイルだったので、それで困らなかったのです。
民間では、同じファイルを営業も上長も開きます。数式を消して数字を直接打ち込むと、翌月に誰かが更新したときに合わなくなります。
直すべきだったのは操作ではなく、自分だけが分かるファイルから、他人が引き継げるファイルへの作り替えでした。
具体的には、数式を残すこと、シートに中身が分かる名前を付けること、色分けの意味を凡例として書いておくことの3つです。これを意識してから、同じ指摘は減りました。
ショートカットと段取りで埋まった速さの差
速さのほうは、才能ではなく手数の問題でした。
私がやったのは、コピーと貼り付け、シートの移動、行の挿入といった毎日使う操作をショートカットに置き換えることです。マウスに手を伸ばす回数が減るだけで、体感の速さは変わりました。
もう一つは段取りです。先に完成形を紙に書いてから触ると、作り直しが減ります。
手を動かしながら考えるやり方は、私には向いていませんでした。
タイピングも、速いに越したことはありません。ただ、入力そのものより、迷っている時間のほうが圧倒的に長かったというのが実感です。
このころ私が周囲からどう見えていたかは、(関連記事)私が1社目で使えない側になった6ヶ月の実話に、当時の指摘の内容も含めて書きました。
Excelだけが段階的に問われる3ソフトの違い
3つのソフトで、求められる水準はまったく違います。
私が応募した事務職の求人で段階的に問われたのは、Excelだけでした。Wordはむしろ公務員のほうが強い場面があり、PowerPointは入社してから覚えても間に合っています。
全部を同時に埋めようとすると、どれも中途半端なまま応募時期が遅れます。優先順位を分けて、Excelから手を付けるのが近道です。
以下では、Excelのレベルの目安、WordとPowerPointの扱い、そしてソフト以外に必要だった作法を書きます。
Excelは初級・中級・上級で何が違うのか
次の表は、私が求人票と実務を照らし合わせて整理した目安です。会社によって呼び方も範囲も前後します。
| レベル | できること | 市役所の実務で言えば | 求人票での表記 |
|---|---|---|---|
| 初級 | 入力、書式設定、並べ替え、SUMやAVERAGEでの集計、簡単なグラフ | 照会の回答を集計し、前年比の表とグラフを作る | 基本的なPCスキル/PC操作ができる方 |
| 中級 | IF関数、VLOOKUPなどの参照、ピボットテーブル、複数シートの集約 | 名簿と実績表を突き合わせて、対象者だけを抜き出す | Excel(VLOOKUP・ピボットテーブル)が使える方 |
| 上級 | 自分で表を設計する、大量データの整形、マクロによる自動化 | 新しい調査の集計様式をゼロから作り、各課に配る | Excelでの資料作成経験/データ分析経験 |
多くの求人が求めているのは初級から中級までです。私が応募した会社も、中級の入り口までで足りました。
上級を目指してから応募しようとすると、応募を始める時期そのものが遅れかねません。中級の手前で応募を始めて、必要になった機能から覚えるほうが現実的でした。
WordとPowerPointは公務員が強い場面もある
意外に思われるかもしれませんが、Wordは公務員の経験がそのまま強みになります。
公文書は、余白も見出しも文体も決まりがあり、崩すと差し戻されます。その環境で15年以上やってきたので、体裁を整える作業は苦になりませんでした。
私が入った会社では、体裁が整った文書を短時間で作れることが役に立ちました。1社目では、案内文の作成を任されるようになっています。
なお、自治体によってはワープロソフトに一太郎を使っている職場もあります。その場合はWordへの持ち替えで戸惑うことがありますが、文書を整える力そのものは持ち越せます。
PowerPointは、使ったことがなくても困りませんでした。入った会社には過去の資料が残っていたので、それを真似るところから始められました。
ゼロから作る場面は、少なくとも入社直後にはありませんでした。
メール・チャット・オンライン会議の作法
ソフトの操作より戸惑ったのが、やり取りの作法のほうです。
庁内メールの感覚で「お世話になっております」から始まる長文を書いていたら、上長から「結論だけでいい」と言われました。私が入った会社のSlackでは、あいさつを省いて要件から入るのが当たり前でした。
オンライン会議も、画面共有をしながら話す前提で進みます。Zoomの操作そのものは簡単ですが、資料をすぐ出せる状態にしておく準備が要ります。
添付ファイルの扱いも変わります。PDFで固めて送るのか、編集できる形で共有するのかを、相手の目的で選ぶという発想は、市役所では持っていませんでした。
在宅で働く前提の職場ほど、こうした作法の比重が大きくなります。私が今の働き方にたどり着けたのも、この部分に慣れてからでした。
私は2社目で在宅勤務になり、チャットとオンライン会議が仕事の中心になりました。リモート前提の職場を探すなら、求人をリモートに絞ったエージェントのほうが条件を詰めやすいと思います。
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公務員の実務を求人票の言葉に翻訳する
やってきたことは書けるのに、公務員の言葉のままだと伝わりません。
照会の集計、予算の積算、様式の作成。このどれもが、求人票に載っている表記へ置き換えられます。
ですが、公務員の言葉のまま書くと「庁内の話」として読み飛ばされてしまいます。
翻訳してから書類に載せるだけで、同じ経験でも読み手の受け取り方が変わります。私が職務経歴書を書き直したときに、はっきり手応えが変わった部分です。
ここでは対応表と、書く順番、面接で聞かれたときの答え方を示します。
公務員の実務から求人票の要件への対応表
| 公務員での作業 | 使ったソフトと機能 | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|---|
| 各課からの照会回答の取りまとめ | Excel(入力・並べ替え・SUM) | 庁内◯課からの回答を集約し、期限内に集計・報告する進行管理を担当 |
| 窓口件数の月次集計と前年比較 | Excel(集計・グラフ) | 月次の実績データを集計し、前年比較のグラフを添えて資料化 |
| 予算の積算資料の作成 | Excel(計算式・複数シート) | 年間◯千万円規模の予算について積算資料を作成し、執行状況を管理 |
| 照会様式や依頼文の作成 | Word(書式設定・差し込み) | 全庁に配布する様式・依頼文を作成し、書式を統一 |
| 起案文書と説明資料の作成 | Word(体裁調整) | 決裁文書と補足資料を作成し、内容の整合を確認 |
◯の部分には、自分の実際の数字を入れてください。件数や課の数が入るだけで、規模が伝わりやすくなります。
職務経歴書のPCスキル欄に書く5つの順番
書く順番を変えるだけで、印象はかなり変わります。私が使った順番は次のとおりです。
- ソフト名を書く(Excel、Wordなど。使っていないソフトは書かない)
- そのソフトで何の業務をしたかを書く(集計、資料作成、様式の作成など)
- 使った機能を具体的に書く(SUM、並べ替え、グラフ、書式設定など)
- 規模を数字で添える(件数、対象課数、金額、頻度のいずれか)
- 使えない機能があれば、隠さずに書き、学習中であることを添える
3番だけを書いて終わる人がとても多いと感じます。機能の羅列は、業務の実績とセットにして初めて意味を持ちます。
項目ごとの具体的な書き方や文例は、(関連記事)コピーして使える項目別の職務経歴書の見本にまとめてあるので、書き始める前に見てもらえればと思います。
面接でExcelの習熟度を聞かれたときの答え方
この質問には、できることから先に答えてください。
私が使ったのは、次の3段構えです。まず日常的にやっていた業務を言い、次に使っていた機能を挙げ、最後に使ったことがない機能とその埋め方を添えます。
たとえば「照会の集計と前年比較の資料作成を毎年担当していました。使っていたのは並べ替えとSUM、グラフまでです。VLOOKUPは実務では使っていないので、今その部分を練習しています」という形になります。
できないことを先に言うと、できることまで小さく聞こえます。順番を変えるだけで、同じ内容でも受け取られ方が変わりました。
1社目の面接で、私は最初に「マクロは組めません」と話し始めてしまいました。そこから話が広がらず、できない機能の確認だけで終わってしまいます。
次の面接では順番を入れ替え、毎年やっていた集計業務から話しました。すると「その集計は何件くらいですか」と、業務の規模を聞かれるようになりました。
聞かれているのは操作の一覧ではなく、任せたときに仕事が回るかどうかです。だから、実際にやってきた業務を先に置くほうが伝わります。
MOSなどのパソコン資格は取るべきか
全員に勧めるつもりはありません。
実務で使った経験を言葉にできる人には要りませんし、示す材料が本当にない人には効きます。私は取らずに転職しましたが、それは照会の集計という業務経験を書けたからです。
つまり資格そのものに価値があるかどうかではなく、自分の手元に材料があるかどうかで決まります。取る前に、まず職務経歴書のPCスキル欄を埋めてみてください。
判断の分かれ目は、経験を書けるかどうかにあります。以下では、資格が効く人と効かない人、資格より先にやるべきこと、学び方の順番を書きます。
MOSなどの資格が効く人と効かない人
効くのは、パソコンを使う業務をほとんど担当してこなかった人です。窓口や現場が中心で、Excelを開く機会が少なかった場合、資格は不足を埋める材料になります。
効きにくいのは、私のように業務経験を書ける人です。資格を取っても、職務経歴書に書ける内容は増えません。
同じ時間を書類の書き直しに使ったほうが、効果は早く出ます。
「MOSは意味がない」という言い方をたまに見かけますが、私は意味がないとは思っていません。効く人と効かない人がはっきり分かれるだけです。
自分がどちらかは、職務経歴書のPCスキル欄を実際に書いてみると分かります。書けたなら資格は後回しでよく、書けないなら資格が最短の材料になります。
資格より先にやると効果が大きい棚卸し
先にやるべきなのは、経験の棚卸しです。
自分が触ってきたファイルを思い出し、どの業務でどの機能を使ったかを書き出してみてください。この作業なら短時間で終わりますが、資格の勉強はそれよりずっと長い時間が必要になります。
費用と効果を比べる視点は、パソコン資格に限りません。資格ごとの位置づけは(関連記事)取得コストと転職インパクトのマトリクスで整理しているので、迷ったら先にそちらを見てください。
在職中でも続く学び方の現実的な順番
在職中で、平日にまとまった時間が取れない前提で書きます。追加の勉強時間を大きく確保する前提にはしません。
- 今の業務で使っているファイルを1つ選び、自分で作り直してみる(新しい時間を作らずに済む)
- その過程で分からなかった機能だけを調べる(網羅的に学ばない)
- VLOOKUPとピボットテーブルは、求人票に書かれていたら優先して触る
- ショートカットは、毎日使う5つだけを覚えて体に入れる
- 資格を取るなら、ここまでやっても書くことがない場合に検討する
1日に確保できる時間から逆算して、範囲を狭めるほうが続きます。何時間で習得できるという話は人によって差が大きいので、私からは断定しません。
入社までにやっておくと楽になる準備
在職中にできる練習は限られますが、効果が大きいものは3つに絞れます。
ショートカットを体に入れること、他人に渡す前提でファイルを作ること、クラウドとチャットに触れておくことの3つです。
ショートカットとファイルの作り方は、今の業務のなかで練習できます。クラウドとチャットだけは庁内で触れないので、個人のアカウントで少し触っておく形になります。
私は在職中にこれをやらなかったので、入社後しばらくは戸惑う時間が続きました。準備不足がその一因だったと思っています。
入社後1ヶ月の動き方まで含めて、追いつくための順番を書きます。
在職中の業務のなかでできる4つの練習
平日に長時間は取れないという前提で考えてください。私も当時、勉強の時間を別に作ろうとして続きませんでした。
現実的なのは、今の担当業務のなかに練習を埋め込むやり方です。たとえば次のようなことができます。
- 毎年使っている集計様式を、自分で一から作り直してみる
- 手入力で上書きしている箇所を、数式に置き換えてみる
- シート名と色分けの凡例を付けて、後任が分かる形に整える
- コピー、貼り付け、行の挿入をショートカットだけでやってみる
業務時間のなかで完結するので、家に持ち帰る必要がありません。私が在職中にやっておけばよかったと思うのは、この4つです。
クラウドとチャットは庁内では触れないので、個人のアカウントで無料の範囲を触っておく程度で十分でした。
入社後1ヶ月で追いつくための動き方と聞き方
入社してから覚えて間に合うか、という不安には、間に合うと答えます。ただし、聞き方を変える必要がありました。
私が1社目でやってしまったのは、分からないまま自分で調べ続けることです。半日かけて調べた結果が、聞けば3分で終わる内容だったこともあります。
2社目では最初に「分からないときは何分悩んだら聞けばいいですか」と確認しました。自分で悩む時間の上限を先に決めておくと、聞くことへの心理的な抵抗が減ります。
もう一つは、周りの人が作ったファイルをそのまま真似ることです。ゼロから考えるより速く、その職場での正解に近づけます。
それでも苦手なままなら選ぶべき職種の考え方
どうしてもパソコンが苦手で、練習しても手応えがない場合もあります。そのときは、職種の選び方で調整するほうが早いです。
同じ事務職でも、Excelの比重は職種によってかなり違います。傾向として、数字を扱う比重が高いのは経理で、人と話す比重が高いのは人事や総務です。
職種ごとの違いは(関連記事)事務職は5種類に分けて考えると選び方が変わるで、求められる力と公務員経験の活きやすさを表にまとめました。
苦手を克服してから動くより、苦手が響きにくい場所を選ぶほうが、私は現実的だと思っています。
ただ、パソコンが苦手だと思い込んでいるだけで、実際は業務経験が十分にあるという人も少なくありません。自分ひとりで判断がつかないときは、第三者に整理してもらうほうが早いこともあります。
「スキルが足りない」という思い込みが、実際には何を指しているのかは、自分だけでは切り分けにくい部分です。第三者と話しながら整理したい方には、30代から40代向けのキャリアコーチングという選択肢もあります。
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まとめ:足りないのは操作ではなく速さと渡し方
パソコンスキルを理由に応募をためらう必要はありません。求人票の基本的なPCスキルは、照会を集計している公務員ならすでに届いています。
私が埋めるのに時間がかかったのは操作ではなく、処理の速さと、他人に渡す前提でファイルを作る考え方でした。
応募前に必要なのは新しい機能を覚えることではなく、やってきた業務を求人票の言葉に翻訳することです。
求人の探し方や相談先で迷う方向けに、(関連記事)公務員の転職におすすめのエージェント5選【2026年版】で段階ごとの使い分けを整理しています。スキルへの不安で足が止まっている段階のご相談も、お問い合わせページから受け付けています。


