転職を決めた夜、私はダウンロードした職務経歴書の様式を開いたまま、30分近く固まっていました。書けたのは氏名と「○○市役所に勤務」の1行だけです。
ハンコを押し、起案を回し、窓口に立っていた15年を、どんな言葉で書けばいいのか。あのときの私には、本当に見当がつきませんでした。
ここに載せるのは、当時の私が欲しかった「コピーして埋められる見本」です。職務要約から自己PRまで、穴埋めの○○つきの記入例を項目別に並べました。
見本といっても、そのまま写して終わりの答えではありません。○○を差し替えながら、ご自身の職務経験に引き寄せて使ってください。
なお、公務員の職務経歴書がなぜ落ちるのかという分析は理論編として別記事に譲り、この記事は「実際に何をどう書くか」の実物側を受け持ちます。
この記事を書いた人
市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。
当ブログでは、公務員からの転職に関する体験談や実践的な情報を発信しています。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。
まず押さえたい公務員の職務経歴書の基本構成
職務経歴書は「職務要約・職務経歴・活かせる知識やスキル・保有資格・自己PR」の5ブロックを中心に、A4用紙2枚前後にまとめるのが一般的です。 型さえ決まれば、白紙とにらめっこする時間は大きく減ります。
構成は5ブロックで分量はA4で2枚前後が目安
職務経歴書に、法律で決まった形式はありません。ですが、読み手に馴染みのある型はあります。
次の5ブロックを、上から順に並べる構成です。
- 職務要約:経歴の全体像を150〜250字に凝縮して伝える欄です。
- 職務経歴:所属と業務内容を時系列の表で示す本体です。
- 活かせる知識・スキル:応募先で使える能力を箇条書きで示す欄です。
- 保有資格:運転免許や簿記など、持っている資格を並べる欄です。
- 自己PR:強みと貢献のイメージを文章で伝える締めの欄です。
とくに文章をじっくり練りたいのは、最初の職務要約と最後の自己PRの2か所です。間の3つは表と箇条書きなので、見た目ほど書く量は多くありません。
分量はA4用紙で2枚前後が目安です。私は経歴を絞り込んで、2枚台にまとめました。
長い勤務歴を2枚前後と聞くと少なく感じますが、後半で紹介する「絞り込み」を使えば収まります。経歴が浅めの方は1枚でも成立する一方、長い経歴を無理に1枚へ圧縮すると経験の深さが伝わりにくくなります。
手書きにする必要はなく、パソコンで作って問題ありません。フォントを1種類にそろえ、余白を残して詰め込みすぎないことも読みやすさに響きます。
公務員からの転職は、民間経験者と同じ土俵で書類を並べられる場です。読み手が想像しにくい役所の仕事だからこそ、型どおりで読みやすいことが最初の関門になります。
2枚に収める配分は、1枚目に要約と経歴の表、2枚目にスキル・資格・自己PRが目安です。この割り振りなら、どの項目も窮屈になりません。
経歴が15年より短い方も、この配分のまま量を減らせば使えます。無理に2枚へ引き延ばす必要はありません。
逆に経歴が20年を超える方は、すべてを均等に書くと2枚に収まりません。直近10〜15年を中心に厚く書き、それより前は後半で紹介する「1行への集約」でまとめてください。
編年体と逆編年体はどちらを選べばいいのか
並べ方には、古い順に書く「編年体」と、新しい順に書く「逆編年体」があります。どちらを選んでも間違いではありません。
公務員は勤務先が1つで、異動の積み重ねがキャリアそのものです。時間の流れに沿って成長を見せられる編年体は、最初の下書きとして書きやすい形です。
一方で、直近の部署の経験が応募職種にそのまま重なる方には、逆編年体が向いています。最初に一番強い札を見せられるからです。
たとえば直近で情報システム部門を担当し、IT系の職種に応募するなら逆編年体が生きます。窓口から管理部門へと流れのある経歴なら、編年体で線を見せるほうが伝わるはずです。
私も最初は時系列で素直に並べ、最終的には応募先に関わる部署を厚くする形に調整しました。迷ったら、応募先に近い経験がキャリアのどの時期にあるかで決めるのがおすすめです。
どちらの並べ方でも、直近の経験ほど詳しく書くと読みやすくなります。10年以上前の所属は、業務名だけの簡潔な記載で釣り合いが取れるはずです。
順番そのものに唯一の正解はありませんが、読みやすくするための基本はあります。選んだ並べ方を最後まで通し、途中で時系列を行き来させないことだけ守ってください。
テンプレートはハローワーク公式で入手できる
様式はハローワークインターネットサービスから無料で入手できます。国が運営するサイトで、職務経歴書の作り方や様式の案内を確認できます(提供される形式や内容はサイト内の最新の案内で確かめてください)。
転職サイトのテンプレートも品質は高いのですが、ダウンロード時に会員登録を求められることが多くあります。まだどこにも登録したくない段階なら、公的な様式で十分です。
WordやExcelなど編集できる形式の様式なら、項目の追加や行の増減も自由にできます。この記事の見本も、そうした一般的な様式に流し込める形で作りました。
様式選びに時間をかけるより、中身の言葉に時間を使うほうが手応えにつながると感じます。入れ物は借り物で構いません。
ダウンロードした様式の項目名は、この記事の5ブロックに合わせて手直しできます。枠に縛られるより、伝わる順番を優先してください。
様式の名称や配布場所は変わることがあります。最新の様式は、サイト内の案内からご確認ください。
コピーして使える項目別の職務経歴書の見本
この章の見本は、市役所からの転職で書類選考を通過した私の書き方を、架空の経歴で再現した記入例です。 実物の丸写しではありませんが、骨組みと数字の入れ方はそのまま真似できるように作りました。
職務要約、職務経歴の表、スキル欄、自己PRの順に載せます。○○の部分をご自身の言葉に差し替えてください。
なお、この章の見本は事務職(行政職)の経歴を前提にしています。骨組みの5ブロック自体は、どの職種でも変わりません。
土木・建築などの技術職の方は担当した工事や案件を、警察・消防などの公安職の方は現場での役割や後輩の指導経験を、表の業務内容に置き換えてください。
職務要約の見本(150〜250字のサンプル文)
職務要約は、書類の冒頭に置く「経歴のあらすじ」です。ここで概要が伝わらないと、その先をじっくり読んでもらいにくいとされます。
以下は記入例です。数値・部署はご自身の経歴に置き換えてください。
> ○○市役所に事務職として12年間勤務し、市民課・介護保険課・総務課で行政事務を幅広く担当してまいりました。市民課では1日約80件の窓口対応と証明書交付を担い、介護保険課では要介護認定に関わる事務と関係機関との調整を経験しております。
>
> 総務課では文書管理と業務マニュアルの改訂を担当し、事務処理時間の短縮に取り組みました。正確な事務処理力と、部署をまたいで積み重ねた調整の経験を、貴社の○○業務でも発揮できると考えております。
書く順番は「在籍年数→担当部署→数字を1つ→締めの貢献」です。この4点さえ守れば、部署名と数字の差し替えだけで形になります。
差し替えの手順は3つです。最初に自治体名、次に部署名をご自身の異動歴に、最後に数字を1つ実際の値に置き換えます。
正確な件数が分からない場合は、根拠を説明できる範囲で「約」を付けます。事実より大きく書くことは避けてください。
面接で深掘りされたときに、具体的に答えられる範囲が上限の目安になります。
なお、職務要約を書くのは一番最後で構いません。私も経歴の表を全部埋めてから、要約だけを最後にまとめました。
要約で大事なのは、部署名の羅列ではなく「何をしてきた人か」が一息で伝わることです。窓口の人か、調整の人か、管理の人かを先に一言で決めると、書き出しで迷いません。
短すぎる方は部署ごとに1文ずつ足し、250字を超えた方は形容詞から削ってください。数字は1つ残すのが目安です。
職務経歴欄の見本(期間×所属×業務×実績の表)
職務経歴欄は、期間・所属・業務内容・実績の4列で表にすると読みやすくなります。実績の列に「工夫したこと」と「その変化」を書くのがコツです。
以下は記入例です。数値・部署はご自身の経歴に置き換えてください。
| 期間 | 所属 | 主な業務内容 | 実績・工夫 |
|---|---|---|---|
| 20XX年4月〜20XX年3月 | ○○市役所 市民課 | 窓口での証明書交付、転入・転出手続き(1日約80件) | 繁忙期の案内方法を見直し、窓口の待ち時間を短縮 |
| 20XX年4月〜20XX年3月 | ○○市役所 介護保険課 | 要介護認定事務、事業者・医療機関との調整(月約120件) | 申請書類の記載例を作成し、書類の差し戻しを削減 |
| 20XX年4月〜現在 | ○○市役所 総務課 | 文書管理、規程の整備、庁内の庶務全般 | 業務マニュアルを改訂し、引き継ぎ期間を約半分に短縮 |
| 上記以外の期間 | ○○市役所 各課 | 税務・農政部門にて各種行政事務を担当(計6年) | 幅広い分野の事務経験として1行に集約 |
実績の列は、数字にできなければ「差し戻しが減った」のような変化の方向だけでも書けます。空欄にせず、工夫を1つずつ思い出して埋めてください。
期間の表記は、西暦か和暦のどちらかに統一します。応募書類の一式でそろっていれば、どちらでも構いません。
在籍が長い部署は、業務内容を2〜3行に分けて書けます。1つの枠に詰め込むより、行を分けたほうが表として読みやすいためです。
業務内容の欄には、役職がなくても担ってきた役割を添えられます。「新任職員の指導係」「課内システムの担当」のような一言が、任され方の証明になります。
表の形式そのものは自由です。ハローワークの様式に文章で書く場合でも、この4列の情報が入っていれば役割は果たせます。
表の最終行のように、応募先と関係の薄い部署は、1行に集約するのも1つの手です。この絞り込みの考え方は、後半の「壁2」で実例つきで説明します。
活かせる知識・スキル欄の見本(箇条書き)
スキル欄は、応募先の求人票の言葉と噛み合わせる場所です。持っているものを全部並べるより、求人票に応える形で選ぶほうが伝わります。
以下は記入例です。件数や年数はご自身の経歴に置き換えてください。
- ビジネス文書の作成(通知文・報告書・マニュアルの作成経験12年)
- 窓口・電話での顧客対応(苦情対応を含む1日約80件の応対)
- 部署間や外部機関との調整(委託事業者との折衝・スケジュール管理)
- 個人情報の取り扱い(住民情報を扱う部署での管理経験・研修受講歴)
- Word・Excelでの資料作成(関数を使った集計表、会議資料の作成)
項目は5つ前後に絞ると、1本ずつの説得力が上がります。私も「これは応募先で使うか」を基準に削りました。
書き方のコツは、能力名のあとに()で根拠を添えることです。「調整力があります」とだけ書くより、場面と量のある1行のほうが読み手に残ります。
パソコン操作は「使えます」と書くだけでは伝わりません。何を作ったか、ソフト名や関数名まで書くとレベル感が出ます。
保有資格の欄は、正式名称で取得年の順に並べるのが基本です。資格が少なくても、スキル欄の箇条書きを充実させれば補えます。
自己PR欄の見本(骨子と書き方のポイント)
自己PRの骨子は「結論となる強み→根拠になる場面→応募先への接続」の3段です。この順番さえ守れば、長さは200〜400字の間で調整できます。
以下は記入例です。強みとエピソードはご自身の経歴に置き換えてください。
> 私の強みは、立場の異なる相手の間に入って調整する力です。介護保険課では、制度に不安を持つご家族と事業者の間に立ち、双方の事情を聞き取りながら手続きを前に進めてきました。この経験で身につけた「相手の言葉で説明し直す姿勢」を、貴社の○○業務でも発揮したいと考えております。
履歴書にも自己PR欄がある場合は、職務経歴書側を長く書き、履歴書側はその要約にすると重複を避けられます。置き場所は書類の最後で、締めの一言の役割を持たせます。
強みは1つに絞るのが基本です。2つ書きたいときは主従をつけて、段落を分けると散らかりません。
公務員の方の下書きは、遠慮がちになりやすいと感じます。「微力ながら」のような枕詞は削り、やってきた事実を淡々と書くくらいでちょうど良い温度でした。
強みの選び方や文例のバリエーションは、公務員から転職する自己PRの例文と書き方に詳しくまとめました。職務経歴書の自己PR欄は、あの記事の例文を圧縮して作ることもできます。
自己PRだけは、見本の骨組みに頼りすぎず、ご自身の言葉の割合を増やしてください。書類の中で唯一、人柄がにじむ場所だからです。
公務員特有の3つの壁を越える書き方の実例
公務員が職務経歴書でつまずくのは、「成果が数字にならない」「異動で職歴が細切れ」「役所の言葉が通じない」という3つの壁です。 3つとも、才能ではなく書き方の工夫で越えられます。
私がぶつかった順番に、記入例つきで越え方を書いていきます。
壁1:成果が数字にならないときの数え方の実例
役所の仕事には売上がありません。ですが、数えられるものがないわけではありませんでした。
私が書類を作るときに数えたのは、次のようなものです。
- 件数:窓口対応や申請処理を、1日・月・年の単位で数える方法です。
- 頻度:繁忙期と通常期に分けて、対応量の波を示せます。
- 時間:業務の見直し前後で、どれだけ短くなったかを比べます。
- 人数や機関数:やり取りした課・事業者・住民の規模も材料です。
- 予算規模:担当した事業の規模も、守秘義務に触れない範囲で示せる材料になります。
数字の材料は、業務統計や月報、引き継ぎ書に残っていることが多いはずです。役所は記録が積み上がる職場なので、探せば案外出てきます。
完璧な数字である必要はなく、「約」をつけられる精度で足ります。細かすぎる数字は、かえって作った印象を与えかねません。
以下は記入例です。数値はご自身の経歴に置き換えてください。
- before:窓口業務を担当し、市民サービスの向上に努めました。
- after:通常は1日約80件、繁忙期は約120件の窓口対応・申請処理を担当。案内表示の見直しを提案し、窓口での説明時間の短縮につなげました。
beforeの文には、仕事の量も工夫も写っていません。afterのように数字を1つ入れるだけで、読み手は仕事の景色を思い浮かべられます。
期間も立派な数字です。「前任者から2週間で引き継いだ」「年度末の繁忙期を3年連続で担当した」のような書き方なら、成果の出にくい部署でも量を示せます。
それでも見つからない日は、昨日の自分の動きを書き出してみてください。朝の窓口対応から夕方の書類処理まで並べると、数えられる単位が見えてきます。
壁2:異動で細切れの職歴をまとめ直す実例
異動の多さは、全部を均等に書くから弱点に見えるだけです。応募職種に関わる部署を2〜3つ選んで厚く書き、残りを1行にまとめれば、幅広さの証明に変わります。
以下は記入例です。部署名はご自身の経歴に置き換えてください。
- before:市民課2年、税務課3年、農政課2年、介護保険課4年、総務課4年を、すべて同じ分量で5段に分けて記載。
- after:応募先が管理部門なら、総務課と介護保険課の2つを表で厚く記載。残りは「そのほか市民課・税務課・農政課にて窓口対応および各種行政事務を担当(計7年)」と1行に圧縮。
1行にまとめるときは、合計年数を必ず添えます。年数が消えると、経歴に空白があるように見えてしまうためです。
私も最初の下書きでは、全部署を律儀に同じ分量で並べていました。思い切って削ってから、書類の「主役」がどの経験なのかがはっきりしたと感じています。
どの部署を厚くするかは、応募先の職種名からの逆算が早いです。事務職なら管理部門の経験、営業職なら窓口や調整の経験が候補になります。
異動の多さ自体は、マイナスとは限りません。環境が変わっても仕事を回してきた記録として語れば、適応力の裏づけに変わります。
壁3:役所の言葉を民間の言葉に置き換える
庁舎の中の言葉は、外では通じないものが多くあります。私の最初の下書きも役所の言葉だらけで、読み直しながら一つずつ言い換えました。
以下の対訳はあくまで記入例です。応募先の業界で使われている言葉に合わせて置き換えてください。
| 役所の言葉 | 民間に伝わる言い換えの例 |
|---|---|
| 起案・決裁 | 社内承認文書の作成・稟議手続き |
| 例規・要綱の整備 | 社内規程やマニュアルの整備 |
| 住民対応 | 顧客対応(問い合わせ・苦情対応) |
| 予算要求・執行管理 | 予算案の作成・予算の進行管理 |
| 議会対応 | 経営層向けの説明資料作成・質疑準備 |
| 電算システムの運用 | 業務システムの運用 |
| 委託業者の指導・監督 | 外部パートナーの進行管理 |
| 補助金・給付金の交付事務 | 申請受付から支払いまでの事務管理 |
| 庶務・服務 | 総務事務・労務管理の補助 |
置き換えの基準は「役所に勤めたことのない友人に通じるか」です。1つでも怪しければ、表の右側のような言葉に開いてください。
逆に、無理に横文字へ寄せる必要はありません。背伸びしたカタカナ語は、私が自分の下書きを読み返したときも浮いて見えました。
部署の正式名称そのものは、そのまま書いて問題ありません。言い換えるのは、業務内容を説明する部分です。
置き換えた言葉が、事実より大きくなっていないかも見てください。「経営層向けの説明資料」は言い換えの範囲ですが、やっていない役割まで盛れば経歴の水増しに近づきます。
職務経歴書を書き上げたあとの見直しと仕上げ
書き上げた職務経歴書は、そのまま提出せず、応募先ごとに書き換えることをおすすめします。 私は使い回しをやめてから、書類の手応えが変わりました。
仕上げは「自分での見直し→落ちる形の確認→第三者の目」の3段階です。上から順に進めると、手戻りがありません。
私が書類選考を通すためにやった見直しの観点
提出前の私がやっていたのは、次の3つです。
- 求人票の言葉を拾い、職務要約とスキル欄に同じ言葉を入れ直しました。
- 職務経歴書の強みと、志望動機の理由が一本につながっているかを読み合わせました。
- 一晩置いてから声に出して読み、引っかかった文を直しました。
求人票の言葉を入れるのは、読み手が探している言葉で書くためです。同じ能力でも、相手の呼び方に合わせるだけで見つけてもらいやすくなります。
読み合わせをするのは、書類ごとに人物像がぶれるのを防ぐためでした。強みが調整力なのに志望動機が専門性の話では、ちぐはぐに見えてしまいます。
声に出して読むと、長すぎる文と残った役所語に自分で気づけます。目で読むだけでは、15年分の癖は素通りしていきました。
応募先ごとに変えるのは、主に3か所でした。職務要約の締めの一文、スキル欄の並び順、自己PRの最後の接続です。
全部を書き直すわけではないので、2通目からは短い時間で仕上がります。骨組みを固定して、接続部分だけ差し替えるイメージです。
見直しの時間は、書く時間と同じくらい確保する価値があります。私の書類が読めるものになったのは、書いた日ではなく直した日でした。
こうした見直しを重ねた書類が、書類選考の通過と、その先の内定につながりました。もちろん、同じ書き方が通過を保証するわけではありません。
書類選考は、募集人数や経験者の応募状況といった、応募する側からは見えない事情でも結果が割れます。1社の不通過で書き方ごと否定されたと受け取らず、次の応募先に向けて直しながら使ってください。
ですが、職務経歴書と志望動機を一続きの話としてつなげるという考え方は、どなたの経歴でも再現できます。そのときの志望動機をもとにした全文例文は、内定につながった志望動機の全文例文で公開しています。
提出直前には、体裁の確認も欠かせません。
- 誤字脱字や変換ミスがないか、固有名詞を中心に見直します。
- 西暦と和暦は、どちらか一方にそろっているかの確認が必要です。
- フォントの種類をそろえ、サイズにも一貫したルールを設けます。
- PDFにした状態で開くと、レイアウト崩れまで確かめられます。
- 提出ファイル名には、氏名と書類名を入れておくと親切です。
落ちる書き方をしていないか理論編で確認する
見本どおりに埋めても、中身が業務の羅列のままだと苦戦しやすくなります。私の見てきた範囲では、危ないのは「自分」が主語になっていない書類です。
組織の説明だけで終わる書類からは、担当者の顔が見えません。「課として何をしたか」ではなく「私が何をどう変えたか」まで書けているかを確かめてください。
私自身、理論編に書いた「落ちる理由」の多くは、最初の下書きで自分がやっていた失敗です。見本で形を作ったあとに読み返すと、直す場所が具体的に見えてきます。
なぜ公務員の職務経歴書が落ちるのか、その構造の分析は公務員の職務経歴書で落ちる理由を分析した理論編にまとめました。見本で形を整え、理論編で中身を点検する二段構えが安心です。
第三者に見てもらう方法(エージェント添削)
自分の書類の粗は、自分では見えにくいものです。役所の言葉が残っていないか、遠慮しすぎていないかは、他人の目のほうがよく気づきます。
無料で頼れる先は2つあります。ハローワークの窓口相談と、転職エージェントの添削です。
ハローワークの相談窓口では、応募書類の作り方の相談や添削を受け付けています。予約の要否は窓口ごとに違うため、最寄りの窓口でご確認ください。
エージェントは、実際の求人を知っている立場から直しを入れてくれます。どの会社に頼むかの考え方は、公務員向け転職エージェントの選び方に書きました。
添削を受けるときは、直された理由もあわせて聞いてください。理由ごと理解できれば、次の応募先向けの書き換えを自分で回せるようになります。
添削だけ受けて、合わなければ離れても構いません。書類は自分の名前で出すものなので、直しを取り込むかどうかの最終判断は手放さないでください。
職務経歴書づくりは、突き詰めれば15年分のキャリアの言語化です。1人で言葉にしきれないと感じたら、コーチとの対話で棚卸しを整理する方法もあります。
公務員の職務経歴書でよくある質問に答えます
細かい疑問への答えを、6問のQ&Aにまとめました。 見本を埋めながら、引っかかったところだけ拾い読みしてください。
Q1. 職務経歴書は何枚にまとめればいいですか?
A4用紙で2枚前後が目安です。15年分の経歴でも、応募先に関わる部署へ絞り込めば2枚ほどに収まります。
1枚に無理に圧縮すると、実績の欄が痩せてしまいます。2枚を上限ではなく「ちょうどいい器」と考えてください。
Q2. 異動が多くて職歴が細切れです。全部書くべきですか?
同じ分量で全部書く必要はありません。壁2の実例のとおり、関連部署を厚くして、残りを合計年数つきの1行にまとめる書き方が私には合っていました。
異動の理由を書く欄はないので、書類の上では「経験の幅」として見せれば足ります。細切れに見えるかどうかは、並べ方で決まります。
Q3. 数字で書ける成果がありません。どうすればいいですか?
売上の数字がなくても、件数・頻度・時間・人数は数えられます。「1日約○件の対応」「引き継ぎ期間を約○割短縮」のように、量と変化を拾うと書けます。
それでも見つからないときは、時間を数えてください。「毎週数時間かかっていた集計を半分にした」のような変化は、多くの部署で拾えます。
Q4. 部署名や専門用語はそのまま書いていいですか?
部署名は正式名称のままで問題ありません。ですが、業務内容の説明は対訳表のように民間の言葉へ開いたほうが伝わります。
迷ったら、求人票で使われている言葉に寄せるのが近道です。読み手の言葉で書かれた書類は、それだけで伝わり方が変わります。
Q5. 履歴書と職務経歴書は何が違うのですか?
履歴書は氏名や学歴・職歴の概要を伝えるプロフィールで、職務経歴書は仕事の中身を伝える書類です。同じ内容の繰り返しにならないよう、役割を分けます。
履歴書側の書き方は、市役所から転職する履歴書の書き方にまとめています。2つで一式と考えて仕上げてください。
Q6. 書き上げた書類は誰に見てもらえばいいですか?
無料なら、ハローワークの窓口相談か転職エージェントの添削です。役所勤めでない家族や友人に、意味の分からない言葉へ印をつけてもらう方法もあります。
誰にも見せずに出すのは、もったいない選び方だと思います。提出前に1人でも良いので、他人の目を挟んでください。
まとめ:見本はあなたの経験を翻訳する道具
職務経歴書の見本は答えの丸写し用ではなく、あなたの職務経験を民間の言葉へ翻訳するための道具です。 最後に、この記事の要点を並べます。
- 構成は5ブロックで、分量はA4用紙2枚前後が基本形です。
- 見本は○○を差し替えて、骨組みとしてそのまま使えます。
- 数字にならない成果は、件数・時間・人数で数え直せます。
- 細切れの職歴は、関連部署に絞って残りは1行で十分です。
- 役所の言葉は、対訳表を手がかりに民間の言葉へ開きます。
- 仕上げでは第三者の目を借りると、粗に気づきやすくなります。
私の場合、書けるようになった転機は「良い文章を書こう」とするのをやめ、「数えて、選んで、言い換える」の3動作に絞ったことでした。この記事の見本は、その3動作を型にしたものです。
白紙の前で固まっていたあの日の私に声をかけるなら、「書けないのではなく、まだ翻訳していないだけ」と言います。見本を埋めるところから始めれば、15年分の仕事は言葉にできます。
職務経歴書の書き方で迷ったところがあれば、お問い合わせページからお気軽にご相談ください。


