公務員から転職を考え始めたとき、ふと頭をよぎるのが「退職したら失業保険で当面は食べていけるのか」という金銭面の不安ではないでしょうか。結論から言いますと、公務員は雇用保険の適用除外に位置づけられているため、いわゆる失業保険(基本手当)は原則として受け取れません。その代わりに「失業者の退職手当」という独自の制度が用意されていますが、支給要件や申請期限に細かい条件があり、知らないままだともらいそこねる恐れがあるとされています。
私は大阪府の市役所に15年勤務したのち、1社目の民間企業を6ヶ月で退職し、現在は2社目で在宅勤務のWebマーケターとして働いています。つまり、公務員として退職金を受け取った経験、民間で雇用保険の受給要件を満たせずに次の職場へ移った経験、そして現在は雇用保険加入者として働いている経験の3段階を当事者として通ってきました。
この立場から、制度の差や、家族を持つ公務員の方が転職時に金銭面で困らないための備え方まで、自分の経験を交えてお伝えします。
結論/公務員は退職しても失業保険がもらえない理由
最初に結論を申し上げます。公務員は雇用保険法の適用除外対象に位置づけられており、退職しても失業保険を受け取ることはできません。
これは制度設計上の構造であって、公務員が損をしているわけではないと私は思っています。
| 区分 | 公務員 | 民間(雇用保険加入者) |
|---|---|---|
| 雇用保険 | 適用除外 | 被保険者として加入 |
| 給与からの雇用保険料控除 | なし | あり |
| 失業時の給付 | 失業保険(基本手当)は原則受け取れない | 失業給付を受けられる |
| 代わりの離職後の保障 | 退職手当制度(失業者の退職手当) | 雇用保険の基本手当 |
雇用保険法の適用除外規定
雇用保険法第6条では、国や地方公共団体の職員のうち、離職した場合に雇用保険の給付内容を上回る手当が支給される者は、雇用保険の適用から除外されるという枠組みが取られているとされています。国家公務員と地方公務員は、それぞれの退職手当制度によって離職後の経済的保障が別枠で用意されており、雇用保険と二重に加入する必要がないという考え方です。
私が市役所に入庁したとき、総務課から「雇用保険料は給与から控除されません」と説明を受けました。当時は深く考えませんでしたが、のちに民間へ転職して給与明細を見たとき、雇用保険料の欄が新たに加わっているのを見て、公務員時代には保険料を払っていなかった代わりに失業給付も受けられない構造だったのだと実感しました。
国家公務員と地方公務員でほぼ同じ扱い
国家公務員は国家公務員退職手当法、地方公務員は各自治体の条例に基づく退職手当条例によって、退職手当の算定と支給が行われています。どちらの場合も雇用保険法の適用除外という扱いは同様で、退職後に失業状態にある場合の救済制度も、ほぼ同様の枠組みで整備されているとされています。
私は市役所時代、地方公務員共済組合に加入していました。共済組合は健康保険・年金に相当する機能を担っており、雇用保険に相当する失業時の給付制度は、後述する失業者の退職手当という形で退職手当制度の一部として設計されています。
独立行政法人・国立大学法人等の例外
ただし、すべての「公的な職場」で雇用保険が適用されないわけではありません。独立行政法人や国立大学法人の職員、日本郵政グループの職員などは、法改正や民営化の経緯から雇用保険の適用対象になっているケースが多いとされています。
また、地方公務員でも非常勤職員や臨時的任用職員については、勤務形態によって雇用保険の適用を受ける場合があります。
ご自身の勤務形態が雇用保険の適用対象かどうかは、給与明細の控除欄に「雇用保険料」が記載されているかで簡易に確認できます。記載がなければ適用除外、記載があれば雇用保険の被保険者という区分になります。
制度設計の歴史的な経緯
公務員が雇用保険の適用対象から除外されている背景には、戦後の制度設計の経緯があるとされています。失業保険制度が1947年に創設された当初から、公務員は身分保障が相対的に手厚く、整理解雇によって突発的に失業する可能性が低いという前提が置かれ、独自の退職手当制度で離職後の経済的保障を担う形で棲み分けが整理されてきた経緯があると理解しています。
私自身も、市役所に入庁する前は「公務員は雇用保険の対象外」という事実を知らず、民間と同じように保険料を払って退職後は給付を受け取るものだと漠然と思い込んでいました。制度を正しく知っておくことは、転職の意思決定だけでなく、在職中のライフプランを考えるうえでも土台になると感じています。
代わりに受け取れる「失業者の退職手当」とは
公務員が退職後に失業状態にある場合、雇用保険の基本手当に相当する給付として「失業者の退職手当」が受け取れる制度が用意されています。国家公務員退職手当法第10条、および地方公務員の退職手当条例にそれぞれ定められている制度で、通常の退職手当とは別枠で支給されるのが特徴だとされています。
関連するお金の話として、退職手当そのものの計算方法は(関連記事)公務員の退職金はいくら?元市役所15年の私が算定方法を解説でも詳しく整理しています。
国家公務員退職手当法第10条の概要
失業者の退職手当は、ざっくり言えば「通常の退職手当の額が、雇用保険の基本手当相当額を下回る場合に、その差額を補填する」という仕組みです。勤続年数が短く退職手当額が少ない場合ほど、差額としての失業者の退職手当が発生しやすい構造になっているとされています。
私自身は15年勤務して退職金を受給しているため、失業者の退職手当の対象にはなりませんでした。しかし、退職の際に人事課の担当者から「短期間で退職する方向けに失業者の退職手当という制度がある」と説明を受け、公務員にもセーフティネットが用意されていることを改めて知りました。
地方公務員の失業者の退職手当制度
地方公務員の場合も、各自治体の退職手当条例に基づき、同様の失業者の退職手当制度が用意されています。多くの自治体では、国家公務員退職手当法第10条の規定をほぼそのまま準用しており、支給要件や算定方法は大きく変わらないとされています。
ただし、細部の運用や申請窓口は自治体によって異なる場合があるため、退職予定の自治体の条例を事前に確認しておくと安心です。
支給要件のポイント
失業者の退職手当を受け取るには、主に次の3つの要件を満たす必要があるとされています。
- 退職時点で勤続12月以上であること
- 通常の退職手当の額が、雇用保険の基本手当相当額を下回っていること
- 退職日の翌日から1年以内に失業状態にあり、求職活動を行っていること
このうち、とくに注意したいのが3つ目の「1年以内」という期限です。退職後すぐに次の職場が決まっている場合は申請の機会自体が発生しませんが、転職活動が難航して半年以上空白期間が続くようなケースでは、申請期限を把握していないと制度自体を見落とす恐れがあります。
支給額のイメージ
失業者の退職手当の支給額は、雇用保険の基本手当日額を基準にして算定される設計になっているとされています。基本手当日額は、離職直前の賃金と年齢区分によって決まる仕組みで、所定給付日数は自己都合退職か会社都合退職か、勤続年数の長さ、年齢などによって変動する構造です。
通常の退職手当の額が、この基本手当日額×所定給付日数を下回る場合に、その差額を補填する形で支給されるという整理になっていると理解しています。
具体的な金額は個々のケースで大きく異なるため、退職前に人事課の担当者または退職後に管轄のハローワークへ相談して試算を依頼するのが確実です。自治体によっては、退職前の相談窓口として職員課や福利厚生担当が対応してくれる場合があるため、まずは庁内で情報を集めてみるのがおすすめです。
(出典)内閣人事局:失業者の退職手当の支給要件及び支給額算定基準
失業者の退職手当の申請手続き
失業者の退職手当を受給するには、ハローワーク(公共職業安定所)で求職申込みを行い、退職時に職場から発行された退職票と本人確認書類を提示して、失業認定を受ける流れになります。民間の雇用保険とは書類の名称が一部異なる点が、公務員特有の注意点だと感じています。
退職票の発行依頼
公務員の場合、雇用保険の離職票ではなく「退職票」(正式名称は官公署によって「退職証明書」等と呼ばれる場合もあります)が発行されます。退職時に人事課へ発行を依頼しておくのが確実です。
自動的に発行される自治体もあれば、本人の申請によって発行する運用の自治体もあると聞きますので、退職前の面談時に確認しておくと安心です。
ハローワークでの求職申込み
退職票を持ってお住まいの地域を管轄するハローワークへ行き、求職申込書を記入します。私は公務員時代ではなく1社目の民間退職時にハローワークへ行った経験がありますが、窓口は平日の午前中でも一定の混雑があり、初回手続きだけで1〜2時間を見ておいたほうがよいと感じました。
予約枠が利用できる自治体もあるとされていますので、事前に公式サイトで調べてから出向くのがおすすめです。
待期日数と失業認定日
求職申込み後、一般に7日間の待期日数を経て、その後は原則として4週に1度の失業認定日が設定されます。認定日にハローワークで求職活動の実績を報告することで、該当期間分の失業者の退職手当が支給される仕組みです。
もらいそこねを防ぐ申請期限
繰り返しになりますが、失業者の退職手当の申請期限は退職翌日から1年以内とされています。この期間を過ぎてしまうと、要件を満たしていても受給できなくなる恐れがあるため、転職活動が長引きそうな見通しが立った段階で、早めに一度ハローワークへ相談しておくのが無難だと考えています。
持参したい書類のチェック
ハローワークでの初回手続きに必要になる書類は、職場から発行される退職票、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)、個人番号確認書類、預金通帳(受給金の振込先)、印鑑、写真(縦3cm×横2.4cm程度)の6点が一般的だとされています。地域によっては写真が不要になっているケースもあるようですが、念のため準備しておくと二度手間になりにくいと感じています。
退職票は退職直後にすぐ発行されるとは限らず、自治体の事務処理の都合で2〜3週間ほどかかる場合もあるとされています。転職先が決まらないまま退職するケースでは、退職票の到着時期を見越してハローワーク訪問のスケジュールを組むのがおすすめです。
公務員が転職するときの生活費設計
失業保険に頼れない以上、公務員が転職する際には、手元資金で一定期間を乗り切れる設計が欠かせません。私の経験と一般的な家計の考え方から、生活費6ヶ月分を手元に残しておくのが一つの目安だと感じています。
住宅ローン・教育費を含む固定費の把握
まず取り掛かりたいのが、月々の固定費の棚卸しです。住宅ローンの返済額、管理費・修繕積立金、保育料または学費、通信費、保険料、車関係費、水道光熱費などを洗い出し、生活の最低ラインの月額を算出します。
私も持ち家を抱えた状態で転職活動を行ったため、妻と一緒にExcelで固定費を項目別に書き出し、どこまで圧縮できるかを議論した記憶があります。
退職金と失業者の退職手当の入金タイミング
公務員の退職金は、退職日から概ね1〜2ヶ月以内に振り込まれるケースが一般的だとされています。ただし、年度末退職の集中期などはやや時間がかかる場合もあるようです。
失業者の退職手当を受給する場合も、初回の支給までには待期日数を経たうえで認定日を迎える必要があるため、退職直後に現金が不足する期間が発生することを前提に、当面の生活費は普通預金で確保しておくことをおすすめします。
在職中に転職先を決めるメリット
家計への影響を抑える観点では、在職中に転職先を決めてから退職日を迎える流れが合理的です。退職と同時に次の職場に入社できれば、失業期間そのものが発生せず、退職手当や失業者の退職手当の申請手続きに煩わされることなく、生活費の空白も生じにくくなります。
在職中の転職活動のコツについては(関連記事)公務員が在職中に転職活動を進める方法で整理しています。
私自身、市役所を退職してから1社目の民間企業に入社するまでの空白はほぼゼロで、月末退職・翌月1日入社のスケジュールを組んで乗り切りました。妻と家計相談をする際にも「空白期間をつくらない前提」で話を進めたことが、お互いの納得感につながったと感じています。
固定費を削るときの優先順位
6ヶ月分の生活費を貯めるとなると、現在の支出水準ではハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。私が妻と話し合ったなかで効果が大きかった固定費の見直しは、通信費(格安SIMへの切替)、保険料(重複保障の整理)、車関係費(駐車場と任意保険の見直し)の3つでした。
これらは一度見直すと効果が長期にわたって継続するため、転職準備期間の家計改善として取り組む価値が高いと感じています。
| 見直し対象の固定費 | 具体的な見直し方法 |
|---|---|
| 通信費 | 格安SIMへの切替 |
| 保険料 | 重複保障の整理 |
| 車関係費 | 駐車場と任意保険の見直し |
一方、住宅ローンの繰上返済は、退職前ではなく退職金を受給したあと、新しい職場での収入が安定してから検討するほうが無難だと考えています。手元資金のクッションを厚く保っておくことが、転職直後のメンタルの安定にも寄与するからです。
公務員→民間転職→再離職時の扱い
公務員から民間に転職したあと、万が一早期に再離職する場合は、民間での勤続期間に応じて雇用保険の受給可否が判定されます。公務員時代の勤続年数は、民間の雇用保険の被保険者期間としては通算されないのが原則だとされていますので、この点は誤解を避けたいところです。
雇用保険の受給要件
雇用保険の基本手当を受け取るには、原則として「離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12月以上あること」が必要とされています。倒産や解雇などの特定受給資格者、特定理由離職者に該当する場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6月以上あれば対象になる扱いもあるとされていますので、離職理由によって要件が変わる点は覚えておきたいポイントです。
勤続6ヶ月で退職した場合の扱い
私が1社目を退職したのは入社から6ヶ月後でした。自己都合退職であり、被保険者期間が12月に満たなかったため、雇用保険の基本手当は受給できませんでした。
当時は貯蓄で生活費をつなぎながら、2社目の転職活動を進めることになりました。「公務員時代の15年は雇用保険の被保険者期間に通算されないのか」という疑問を持ってハローワークに確認しましたが、通算されない旨の回答だった記憶があります。
この経験から、民間に転職した直後の時期は、家計面でとくにリスクが高い期間だと痛感しました。入社後すぐに合わないと感じても、雇用保険のセーフティネットが使えない可能性があるため、1社目選びは慎重に行うべきだと考えています。
面接段階で社風や業務内容をしっかり確認し、入社後のミスマッチを減らす努力が、結果的に家計を守る動きにつながると実感しました。
再就職手当との違い
雇用保険には、基本手当を受給中に早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」という制度もあります。こちらは基本手当の受給資格があることが前提の制度なので、そもそも基本手当の受給要件を満たしていない場合は対象外です。
公務員から民間へ転職して早期離職する場合は、再就職手当ではなく失業者の退職手当の残期間があるかどうかを、ハローワークに確認するのが優先度の高い動き方だと感じています。
退職前に必ず確認すべき5つのチェックリスト
退職前の段階で確認しておきたい項目を、お金の観点から5つに絞って整理しました。私自身が退職時に作成したリストをベースにしています。
退職手当の算定額
まずは通常の退職手当の見込み額を確認します。俸給月額と退職事由別の支給率、勤続年数をもとに算定される仕組みで、人事課や共済組合で概算額の試算を依頼できる場合があります。
住宅ローンの繰上返済や教育費の原資として計算に入れるなら、早めに見込み額を押さえておきたいところです。
失業者の退職手当の該当可否
続いて確認したいのが、失業者の退職手当の対象になるかどうかです。勤続12月以上であっても、通常の退職手当額が雇用保険の基本手当相当額を上回る場合は対象外になるとされています。
勤続年数が比較的短い公務員ほど、該当の可能性が高まる傾向にあると理解しています。
健康保険の切替選択肢
公務員は共済組合に加入しているため、退職時には共済の任意継続、国民健康保険、次職場の健康保険のいずれかへの切替が必要になります。保険料の金額や扶養家族の扱いが選択肢ごとに異なるため、退職前に一度比較しておくのが無難です。
年金の切替
年金についても、共済年金は2015年10月に厚生年金へ一元化されたため、退職後は次職場の厚生年金に切り替えるか、無職期間は国民年金に切り替える必要があります。年金の切替論点は(関連記事)公務員の転職で年金はどうなる?制度切替の実務で詳しく整理しています。
住民税の納付方法
住民税は前年の所得をもとに当年度分を納める仕組みで、退職後も引き続き納税義務が残ります。退職月によっては一括徴収または普通徴収への切替が発生するため、給与天引きがなくなる時期以降の納付額を見込んでおくと資金計画が立てやすくなります。
円満退職を目指す方は、退職の申し出のタイミングや引継ぎの進め方も併せて検討しておきたいところです。こちらは(関連記事)公務員が円満退職を実現する進め方で整理しています。
失業保険がないことを前提にした転職戦略
公務員に失業保険がないという前提は変えられませんので、転職戦略そのものを「辞めてから探す」ではなく「在職中に決めてから辞める」型に寄せるのが合理的だと私は考えています。
在職中転職活動のリスクが少ない理由
在職中の転職活動は、法的にも慣行的にも一般的な進め方とされています。公務員の場合、営利企業への再就職について一部制限が設けられている場合がありますが、通常の民間企業への転職活動自体を禁じる規定ではないと理解しています。
在職中であれば収入が途切れず、家族の生活設計への影響を抑えられる点が一番のメリットです。
スカウトサービスと転職エージェントの使い分け
在職中は可処分時間が限られるため、効率的な情報収集手段の組み合わせが鍵になります。私が実際に使ったのは、スカウト型の転職サイトで市場価値を把握する動きと、転職エージェントに希望条件を整理してもらう動きを並走させるやり方でした。
前者は比較的受動的に求人情報が流れてくるため、忙しい在職中でも情報の鮮度を保ちやすいと感じています。
退職日と入社日の逆算
入社予定日が決まった段階で、そこから逆算して退職日を設計します。公務員は後任への引継ぎに一定期間を要するため、入社日の2〜3ヶ月前には退職の申し出を行いたいところです。
有給休暇の残日数消化や、失業者の退職手当の対象にならないことを前提にした資金計画を含めて、総合的にスケジュールを組み立てる流れです。
私の場合、妻との生活費計算と照らし合わせながら、入社予定日→退職日→最終出勤日→有給消化→引継ぎ期間という形で逆算し、3ヶ月前に退職の意思表示を行いました。結果として家計への影響はほぼなく、空白期間なしで1社目に入社することができました。
私が「失業保険ゼロ」の不安を乗り越えた、たった一つの考え方
制度や生活費の設計は本文のとおりですが、ここでは私が「失業保険は一円も入らない」前提の不安をどう乗り越えたか、その考え方の核だけをお伝えします。最初の転職では年収が約200万円下がる見込みで、月の手取りは約17万円減る計算でした。
この「マイナス200万」という数字は、見るたびに足がすくむものです。
そこで私は、判断の物差しを金額から「あと何か月暮らせるか」という時間に置き換えました。妻と長男(退職当時3歳)を抱える身として、貯えを「いくらあるか」ではなく「何か月分あるか」と数え直しただけで、200万円減という数字に飲み込まれず、落ち着いて退職日を決められたのです。失業保険が無いからこそ、残高ではなく持ちこたえられる月数で安全度を測る。これが私の出した答えでした。お金まわりでは退職後の住民税も後から効いてくるので、公務員の転職で住民税はどう変わる?もあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
本記事の要点を整理します。
- 公務員は雇用保険の適用除外対象であり、退職しても失業保険は原則として受け取れません
- 代わりに、国家公務員退職手当法第10条または各自治体の条例に基づく「失業者の退職手当」が用意されています
- 失業者の退職手当は勤続12月以上、退職手当額が基本手当相当額を下回ること、退職翌日から1年以内の失業であることが要件になるとされています
- 家族を持つ公務員が転職する際は、生活費6ヶ月分を手元に残すのが一つの目安です
- 「辞めてから探す」より「在職中に決めてから辞める」戦略が、金銭面のリスクを最小化する合理的な選び方だと考えています
失業保険がないという一点だけを切り取ると不安を感じるかもしれませんが、退職手当と失業者の退職手当という仕組みが別枠で用意されている以上、知識として押さえておけば恐れる話ではありません。それよりも、転職後の年収設計や家計設計のほうが、長い目で見た満足度を左右する要素になってきます。
公務員からの転職で年収ダウンをどう吸収したかについては(関連記事)公務員から転職して年収がダウンした私の実体験で整理しています。また、公務員からの転職を成功させるための全体像は(関連記事)公務員の転職を成功させる戦略にまとめました。
公務員からの転職で、失業保険まわりの仕組みを知っておけば、金銭面の不安はだいぶ整理できるはずです。私の経験が、退職前に確認しておく材料の一つになればと思います。


