私は2022年5月末に市役所を辞めました。3月31日ではなく、年度途中の退職です。
辞めると決めてから退職日までのあいだ、次の仕事の準備と並行して共済組合の手続きを進めることになりました。
組合員としての資格は、退職日の翌日に失われます。貸付、貯金、団体保険、証の返還が、それぞれ別の期限で動き出します。
やっかいなのは、期限がいちばん短いものが、いちばん見落とされやすい点です。保険をどうするかは、退職から2週間のうちに決めることになります。
この記事では、貸付と貯金の扱い、任意継続で共済側に必要な手続き、団体保険と保険証、そして年度途中に辞める場合のずれを順に整理します。
この記事を書いた人
sawada|市役所に15年以上勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。
公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。
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公務員が退職するとき共済組合で何が起きるか
組合員としての資格は退職日の翌日に失われますが、事業ごとに行き先が違います。 医療給付を担う短期給付と、貸付や貯金といった福祉事業は、任意継続組合員になれば一定期間つなげる余地があります。年金にあたる長期給付で残るのは、これまでの加入記録です。将来の年金額や受給要件の判定に引き継がれます。つまり退職で使えなくなるものと、期限内の手続きで続けられるものが混ざっています。しかも共済組合は自治体や団体ごとに独立した組織で、書類の名前も運用も一律ではありません。まずはどれが終わってどれを続けられるのかを分けてから、期限の短い順に手をつける流れになります。
事業ごとに切れるものと残せるものが分かれる
神奈川県市町村職員共済組合:組合員は、資格の喪失を「組合員が退職または死亡したときは、その翌日から組合員の資格を失います」と説明しています。退職日そのものはまだ組合員です。
共済組合が担っている事業は、大きく3つに分かれます。健康保険にあたる短期給付、厚生年金と退職等年金給付にあたる長期給付、そして貸付や貯金や保険といった福祉事業です。
退職するとこの3つが同時に動きますが、動く方向は同じではありません。混ぜて考えると、残せたものを取りこぼします。
| 事業の区分 | 在職中の内容 | 退職したときの行き先 |
|---|---|---|
| 短期給付 | 組合員証で医療を受ける | 資格は失うが、任意継続組合員になればつなげる余地がある |
| 長期給付 | 厚生年金と退職等年金給付 | 加入記録は消えず、将来の年金額や受給要件の判定に引き継がれる |
| 福祉事業(貸付) | 住宅・普通・教育などの貸付 | 多くの組合で全額償還。退職手当から控除される |
| 福祉事業(貯金) | 給与から共済貯金へ積立 | 払戻の手続きが必要。任意継続なら残せる組合もある |
| 福祉事業(保険) | 団体扱いの生命保険や医療保険 | 団体としての加入資格を失う。個人契約への移行手続きが必要 |
| 財形貯蓄・財形融資 | 給与からの積立と持家融資 | 積立は止まる。解約か継続かを確認する。融資は一括返済か控除になる場合がある |
このうち加入記録を移すための手続きが原則として要らないのは長期給付です。ただし退職後すぐに厚生年金へ入らない場合は、国民年金への切替が必要になります。
年金の切り替えについては公務員の転職で年金はどう変わる?にまとめているので、そちらをご覧ください。
共済組合と職員互助会は別の組織になる
共済組合と職員互助会は、名前が似ていても別の組織です。共済組合は法律に基づいて医療給付や年金を担い、互助会は自治体ごとに設けられた任意の団体です。
給与から両方の掛金が引かれている場合、退職のときの手続きも別々に必要になります。互助会の脱退や積立金の精算は、共済組合の窓口では扱っていません。
給与明細を見て、共済組合の掛金と互助会の会費を分けて把握してください。 どちらも退職で扱いが変わるものの、担当する窓口も出す書類も違います。
手続きの窓口は所属庁の共済担当になる
共済組合に直接連絡すればよいと思われがちですが、実際の窓口は所属している自治体の共済事務を担当する係です。人事課や総務課の中に置かれていることが多いはずです。
私は総務部総務課と教育委員会総務課にいたので、庁内の事務がどう回っているかは想像がつきました。それでも自分の手続きになると、どの書類をいつ出すのかは担当に聞かないと分かりませんでした。
退職の意思を伝えたら、早い段階で共済の担当に「私の場合は何をいつまでに出すのか」を確認してください。 組合ごとに書類名も締切も違うため、調べた情報がそのまま当てはまるとは限りません。
私は年度途中の5月末に市役所を辞めた
私が辞めたのは2022年の5月末です。10月に転職活動を始めて翌年3月に内定をもらい、3月上旬に退職の意思を伝えました。
年度途中の退職なので、3月31日退職を前提に組まれた庁内の事務の流れとは日程がずれます。年度途中に辞めることそのものの判断は最後のほうの章で触れるので、ここでは手続きの話に絞ります。
退職手続きの全体像は公務員の退職手続きの全体像と時系列チェックリストに一覧を置きました。本記事はその一覧のうち、共済組合の部分だけを深く掘ったものです。
共済貸付の残高は退職手当から差し引かれる
共済組合から借りているお金は、退職すると全額を返すのが原則です。 返し方は、自分で振り込むのではなく退職手当からの控除になります。ここを知らないまま退職金の額を計算していると、実際に振り込まれる金額とのずれに驚くことがあります。しかも引かれるのは元金だけではありません。退職手当が支給されるまでの利息も乗ってきます。控除しても足りなければ、あとから振込で返す流れになります。まずは残高がいくらなのかを確認するところから始めてください。
退職したときは全額償還が原則とされる
宮城県市町村職員共済組合は、退職したときの貸付の扱いをこう説明しています。
「借受人が退職したときは、全額償還となります。償還方法は、退職手当からの控除により、償還していただくことになります」
同じ組合の案内は、この項目を「貸付金・物資立替金の未償還金の償還」という見出しで扱っています。物品を立替で購入していた分も対象に入るということです。
つまり退職金は、これらの残高を引いたあとの金額が手元に入ります。詳しい根拠は[宮城県市町村職員共済組合:退職したとき](https://www.kyosai-miyagi.or.jp/konnatoki/taishoku.html)で確認できます。
退職手当で足りない分は振込で返すことになる
残高が退職手当を上回る場合や、そもそも退職手当が支給されない場合はどうなるのかという疑問が残ります。
宮城県市町村職員共済組合は、この場合の扱いをこう説明しています。
「退職手当から控除しても、なお未償還金が残る方や退職手当が支給されない方の場合は、共済組合から振込依頼書を送付いたします」
自己資金から振り込んで返す場面が出てくるということです。
勤続年数が短い時期に大きな貸付を受けていると、退職手当だけでは返しきれないことがあります。 退職を決めた段階で残高と退職手当の見込みを並べて、差額が出ないかを確認しておくと安心です。
残高の確認方法は3つあります。給与明細の控除欄で毎月の償還額を見る方法、共済組合から届く償還予定の通知を見る方法、共済担当に残高証明を出してもらう方法です。
毎月の償還額と残りの回数が分かれば、退職日時点の残高はおおよそ計算できます。正確な数字が必要なときは、担当に出してもらうほうが確実です。
元金だけでなく利息と一括弁済も関わる
元金のほかに利息も加算される点に注意してください。裁判所共済組合は「残額及び退職手当支給時までの利息を退職手当から控除します」と案内しています。
退職日から退職手当が支給されるまでには日数があります。その間の利息も加算されるため、退職日時点の残高がそのまま控除額になるわけではありません。
自分から先に返す道もあります。裁判所共済組合は「退職手当受給前に一括弁済を希望する場合は臨時弁済明細書を作成して共済組合係まで提出してください」としています。
手元に資金があって利息を抑えたいなら、一括弁済を選べるかを担当に聞いてみてください。 書類の名前や受け付けの可否は組合によって異なります。
住宅貸付と財形持家融資は影響が大きい
共済の貸付にはいくつか種類がありますが、金額が大きくなりやすいのは住宅貸付です。低い利率で借りられるのが利点でしたが、退職するとその条件を手放すことになります。
財形持家融資を使っている場合も注意が必要です。裁判所共済組合の案内では残額と利息が退職手当から控除される対象になっていますが、融資元や契約によって一括返済になるか控除になるかは変わります。
退職手当から引かれる金額が大きくなるだけでなく、住宅費の組み立て自体を考え直すことになるはずです。民間の住宅ローンをどう扱うかは、転職で年収が下がった後の返済設計で整理しています。
なお貸付の種類や償還のルールは組合ごとに異なります。教育貸付や災害貸付など用途別に条件が分かれている組合もあるため、自分の借入がどれに当たるかを確認してください。
退職金の手取りは控除後の金額で考える
退職手当から引かれるものは、共済の貸付だけではありません。以下は差し引かれる可能性があるものです。
- 共済組合の貸付と物資立替金の未償還額、および支給時までの利息
- 財形持家融資の残額と利息(融資元や契約によって扱いが変わります)
- 所得税と住民税(退職所得控除を差し引いた後の課税分)
- 職員互助会や職員団体の未納分(組織によって扱いが異なります)
- 貸与品の未返還にともなう精算(自治体によって扱いが異なります)
退職手当そのものの計算式は公務員の退職金(退職手当)の計算式を3分で理解するで解説しています。計算式で出した金額はあくまで支給額で、口座に入るのは控除後の金額です。
家計の計画を立てるときは、控除後の金額で考えてください。
共済貯金は解約するか任意継続で残すかを選ぶ
共済貯金に残高があれば、退職にあわせて払戻の手続きが必要になります。 給与から自動で積み立てていた分は、放っておいても手元に戻ってきません。払戻の様式は組合ごとに名前が違うので、まず担当に確認するところからです。ただし任意継続組合員になる場合は、貯金を続けられる組合もあります。続ける場合は払戻はできても預け入れはできない、といった制限がつくのが一般的です。財形貯蓄を使っていれば、解約するか続けるかを別に確認することになります。まとまった額が動くので、いくらを生活費として残すかを先に決めてから手続きするほうが落ち着いて進みます。
貯金払戻請求書を出して解約の手続きをする
共済貯金は在職中の福祉事業として提供されているものです。退職すれば積み立てを続ける前提がなくなるため、残高を引き出す手続きに入ります。
宮城県市町村職員共済組合の案内では、提出書類は「貯金払戻請求書」です。書類の名称や提出先、振込までの日数は組合によって違うので、担当に確認してください。
注意したいのは、払戻の時期と退職手当の入金時期がそろわないことがある点です。 それぞれいつ入金されるのかを確認しておくと、退職直後の資金繰りが読めます。
任意継続組合員なら貯金を続けられる場合がある
任意継続組合員の資格を取った場合、共済貯金をそのまま継続できる組合があります。この場合、払戻は在職中と同じ回数までできる一方で、新たな預け入れはできないという運用が一般的です。
継続できるかどうかは組合次第です。利率が民間の預金より高い水準に設定されていることもあるため、継続できるなら選択肢として検討する価値があります。
ただし任意継続には掛金の負担がついてきます。判断の前に、月々いくら出ていくのかを出しておいてください。
貯金を残したいという理由だけで任意継続を選ぶと、掛金のほうが重くなることもあります。
判断するときは、貯金を続けて得られる利息の差と、任意継続の掛金を並べて比べてください。掛金は月単位で確実に出ていく支出で、利息は年単位で戻ってくる収入です。
医療給付を続けたいという理由が別にあるなら、貯金の継続はその副産物として考えるほうが順番として自然です。
財形貯蓄は解約か継続かを先に確認する
共済貯金とは別に、財形貯蓄を給与から積み立てている人もいます。名前が似ているので同じ手続きだと思われがちですが、別の制度です。
退職すると、給与からの天引きによる新たな積立はできなくなります。ただし必ず解約するとは限りません。
転職先に財形制度があれば、所定の手続きで続けられる場合があります。裁判所共済組合の案内では、解約する場合は解約と払出の請求書、そして退職等の申告書を提出する扱いです。
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄には非課税の扱いがあるため、一般財形とは分けて確認してください。
給与明細に財形の項目があるなら、共済貯金と分けて手続きの有無を確認してください。 手をつけないまま放置されやすい部分です。
生活防衛費として残す金額を先に決める
貯金が戻ってくると、まとまった額が一度に口座に入ります。使い道を決めないまま置いておくと、退職直後の支出で目減りしていきます。
私は年収が200万円下がりました。下がった収入で家計が回るかどうかは、貯金の総額ではなく何か月分あるかで見るほうが判断しやすいです。
必要な貯金額の出し方は必要な貯金額を自分の家計の数字で計算するで整理しています。共済貯金の払戻額をそこに当てはめて、月数で確認してください。
任意継続で共済側に必要な手続きと落とし穴
任意継続組合員になるかどうかは、退職の日から20日以内に決めることになります。 保険料が国民健康保険や家族の扶養と比べて安いかどうかは、私はなぜ任意継続を選ばなかったかで3択を比較しているので、金額の比べ方はそちらをご覧ください。この章では、共済組合の側で何を出しどこでつまずくかに絞ります。要件、掛金の算定と前納、払込みが遅れたときの資格喪失、そして再就職先に健康保険があった場合の遡及取消の4つです。最後の項目は知らないと医療費の返還まで発生するため、いちばん重い落とし穴になります。
要件は在職1年以上で書類は共済担当へ出す
任意継続組合員になれるのは、退職の日の前日まで引き続き1年以上在職して退職した人です。宮城県市町村職員共済組合の案内では、申出の期限は退職の日から20日以内とされています。
提出先は共済組合の本部ではなく、所属していた自治体の共済事務担当課になっている組合が多いはずです。退職して庁内を離れたあとに書類を出しに行く形になります。
提出する書類は、任意継続組合員資格取得届出書という名前になっている組合が多いはずです。
退職日より前に様式と提出先を受け取っておいてください。 20日という期間には、引っ越しや入社準備が重なりやすいからです。
掛金には上限があり前納で利息分が引かれる
在職中は掛金の半分を所属庁が負担していました。退職するとその負担がなくなるため、在職中と同じ医療の給付を受けるのに払う額は上がります。
もっとも給付の中身は同じではありません。傷病手当金や出産手当金といった休業給付は、任意継続組合員には支給されない扱いです。
ただし在職中から受給していた傷病手当金と出産手当金は、継続して支給される扱いになっています。
ただし無制限に上がるわけではありません。宮城県市町村職員共済組合の案内には、掛金の算定がこう書かれています。
「この額は、①任意継続組合員の退職時の標準報酬の月額と②前年(1月から3月までの標準報酬の月額にあっては、前々年)の9月30日における短期給付に関する規定の適用を受ける全ての組合員の標準報酬の月額の平均額とのいずれか低い額を基礎として計算されます」
1月から3月に辞める場合は、比べる相手が前々年の平均額になります。標準報酬の月額は給料月額とは別の区分ですが、私の給料月額は約23万円でした。
平均額のほうが低ければそちらが基礎になるため、給与が高かった人ほど負担が単純に倍増するとは限りません。
まとめて払う選択もあります。同組合は前納について、こう案内しています。
「この場合の前納すべき額は、前納しようとする期間の任意継続掛金の合計額から利息相当分を控除した額になります」
前納すると、その分だけ総額が下がる仕組みです。
算定の詳しい根拠は宮城県市町村職員共済組合:退職後の医療で確認できます。
掛金の期日を1回でも過ぎると資格を失う
任意継続の掛金は、毎月共済組合に払い込む必要があります。忘れると督促が来て終わりではありません。
宮城県市町村職員共済組合は、「任意継続掛金を、その払込みの期日までに払い込まなかったとき」に資格を喪失すると案内しています。1回の遅れで資格そのものがなくなる扱いです。
口座振替にできるかを確認し、できない場合は納付月をカレンダーに入れてください。 転職直後は生活の型が変わる時期で、月々の振込は抜けやすくなります。
再就職先の健康保険に入った日に資格を失う
いちばん重い落とし穴がここです。任意継続は、他の健康保険の被保険者になった日に資格を失います。
同組合の案内には、こう書かれています。
「もし、再就職先に健康保険制度があるのを知らずに、任意継続組合員となった場合は、任意継続組合員資格を遡及して取り消すこととなり、その間に受給した医療費等すべて返還していただくことになります」
あとから医療費を返す事態になります。
つまり再就職先の資格取得日を見落として任意継続に加入すると、その日まで遡って処理されます。転職先で社会保険に入るなら、任意継続と二重に持つ状態は成り立ちません。
入社日と保険の加入日を先に確認してから、任意継続を申し出るかどうかを決めてください。
なお私自身は任意継続を選びませんでした。理由と3択の比較は健康保険の記事に書いているので、金額から決めたい方はそちらを先に読んでください。
共済側で確認しておく項目を、まとめておきます。
| 確認する項目 | 共済側の扱い | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 申出の期限 | 退職の日から20日以内 | 引っ越しや入社準備と重なって期限を過ぎる |
| 要件 | 退職日の前日まで引き続き1年以上在職 | 在職1年未満だと選べない |
| 掛金の算定 | 退職時の標準報酬と全組合員の平均額の低い額が基礎 | 単純に倍になると思い込んで見積もりを誤る |
| 前納 | 前納する期間の合計額から利息相当分を控除 | まとめ払いで総額が下がることを知らない |
| 払込みの期日 | 期日までに払い込まないと資格を喪失 | 1回の遅れで資格そのものがなくなる |
| 他の健康保険 | 被保険者となった日に資格を喪失 | 見落として加入すると医療費の返還が発生する |
この表の内容も組合によって異なります。自分の組合の案内と突き合わせて使ってください。
団体保険と医療保険の資格は退職で扱いが変わる
団体扱いで入っていた生命保険や医療保険は、退職すると団体としての加入資格を失うことがあります。 掛金が給与から引かれていたぶん、自分が加入していること自体を忘れている人も少なくありません。裁判所共済組合は、退職する旨と退職日を保険会社の担当者へ連絡し、個人契約への移行手続きを行うよう案内しています。退職後も続けられる商品もあるため、続けられるかどうかを保険会社に確認するところからです。組合員証や資格確認書も返還の対象です。家族の分もまとめて返します。あとで交付される資格喪失証明書は、次の保険や扶養の手続きで使う書類です。
団体保険は個人契約への移行手続きをする
団体扱いの保険は、共済組合を通じて割安な掛金で入れる仕組みでした。退職すると、その前提が失われます。
裁判所共済組合は、退職するときの扱いをこう案内しています。
「団体月払保険の加入資格は、退職により喪失しますので、保険会社の担当者へ退職する旨及び退職日を連絡し、必ず個人契約への移行手続きを行ってください」
原文は裁判所共済組合:退職するときで確認できます。地方公務員でも団体扱いという前提は同じですが、退職後に続けられるかどうかと移行の条件は、保険会社と商品によって異なります。
移行するかどうかを決める前に、まず自分が何に入っているかを給与明細で確認してください。 引かれている項目の名前だけでは、どの保険なのか分からないこともあります。
証の返還は家族の分もまとめて済ませる
組合員証や資格確認書は、退職日の翌日から使えなくなります。返還の対象は本人の分だけではありません。
従来の紙の健康保険証は新規発行が終わり、いまはマイナ保険証か資格確認書が基本です。マイナンバーカード自体は共済組合へ返すものではありません。
裁判所共済組合の案内では「組合員証、組合員被扶養者証、その他の証を返還していただく必要があります」とされています。返すものは次のようなものです。
- 組合員証または資格確認書(本人の分)
- 組合員被扶養者証または家族の資格確認書
- 高齢受給者証や限度額適用認定証など交付を受けている証
- そのほか共済組合から返還を求められた証や書類
家族が別居している場合は、返還の期限に間に合うよう早めに手元へ集めておいてください。手続きが止まる原因になりやすい部分です。
資格喪失証明書は退職後に送られてくる
証を返すと、入れ替わりに資格喪失証明書が交付されます。裁判所共済組合は、本部に所属している組合員について、資格喪失日以降にこの証明書を送付するとしています。
ただし自動で届くとは限りません。所属庁が交付する場合や、申請が必要な場合もあるので、退職前に確認しておいてください。
この書類は、国民健康保険に入るときや家族の扶養に入るときに提出を求められるものです。届く時期が退職後になるため、次の手続きの日程はこの書類の到着に左右されます。
待っても届かないなら、共済担当に発行を依頼してください。保険証が切れてから届くまでの受診の扱いは、切替先3択の全体像にまとめています。
年度途中に辞めると重なる手続きが増える
年度末に辞める前提で書かれた説明は、年度途中の退職には当てはまらない部分があります。 庁内の事務が回る基準は3月31日退職です。それ以外の月に辞めると、日程の組み方が変わります。共済の手続きに加えて、住民税の徴収方法の切り替えが同じ時期に重なります。最後の給与と退職手当が同じ月に入らないこともあり、収入が一時的に薄くなる月ができるかもしれません。子どもがいる場合は児童手当の窓口も移ります。私が辞めたのも年度途中の5月末でした。重なるものを先に並べておけば、慌てずに順番をつけられます。
住民税は残りを一括徴収されることがある
住民税は前年の所得に対してかかり、6月から翌年5月までの12回で給与から引かれています。年度途中で辞めると、まだ引かれていない分をどうするかが決まっていません。
退職した月によって、残りをまとめて最後の給与から引かれる場合と、自分で納める普通徴収に切り替わる場合があります。1月から5月に退職する場合は、残りを一括で徴収される取り扱いが基本です。
退職月ごとの違いは退職月別の徴収パターン:1-5月と6-12月で大きく違うで整理しています。私自身は特別徴収を継続しませんでした。
児童手当の窓口は職場から市区町村へ移る
公務員のあいだ、児童手当は勤務先を通じて支給されていました。退職するとこの扱いが終わるため、住んでいる市区町村へ申請し直すかたちです。
公務員でなくなった日の翌日から数えて15日以内に、住所地の市区町村で申請することになります。裁判所共済組合も、退職する月のうちに手続きするよう促しています。
申請が遅れると、遅れた月の分を受け取れなくなる取り扱いです。
期限の数え方や必要書類は自治体によって異なります。子どもがいる場合は、退職日が決まった時点で市区町村の窓口を確認しておいてください。
最後の給与と退職手当は同じ月に来ない
給与の締めと支払いのタイミングは自治体ごとに決まっています。退職手当の支給は、それとは別の事務で処理される仕組みです。
このため、最後の給与が入る月と退職手当が入る月はずれることがあります。共済貯金の払戻も、また別のタイミングになるでしょう。
年度途中の退職で重なりやすいものを並べておきます。
- 最後の給与(在職期間に応じた日割りになることがあります)
- 住民税の残額の一括徴収(1月から5月退職の場合)
- 退職手当の支給(貸付と、控除の対象になる融資の未償還額を引いた後の金額)
- 共済貯金の払戻と、財形貯蓄を解約する場合の払出
- 任意継続の初回掛金の払い込み
- 新しい健康保険の保険料
入るお金と出るお金が同じ月に集まらないため、月ごとに並べて見ておくと資金の谷が見えます。
年度途中退職そのものの判断は別記事で
年度途中に辞めてよいのかという迷いは、手続きの話とは別の問題です。引継ぎや周囲への影響を含めた判断は、私が2022年5月に市役所を辞めた実体験にまとめました。
本記事は、辞めると決めた後に何をいつまでにやるかという実務に絞っています。判断の部分で迷っているなら、先にそちらを読んでから戻ってきてください。
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退職の前後にやることを期限順に並べる
共済組合の側で日数が定められた期限のうち、いちばん短いのは退職の日から20日以内という任意継続の申出です。 ただし任意継続を選ばずに国民健康保険へ入るなら、届出はさらに短く資格喪失日から14日以内が目安になります。子どもがいれば、児童手当の申請も同じ時期です。つまり実際には、退職から2週間のあいだに保険と手当の判断を終える必要があります。貸付と貯金は書類を出せば事務が動くので、期限そのものは比較的緩やかです。全体を1枚の表にして、いつどこへ何を出すかを見えるようにしておきます。
退職の意思表示から退職日までにやること
退職の意思を伝えたら、共済の担当に自分の場合の手続きを聞くところから始めます。ここで残高と書類の締切が分かれば、あとの見通しが立ちます。
給与明細を1枚用意して、引かれている項目を洗い出してください。共済貯金、貸付の償還、財形、団体保険の掛金がそれぞれ何という名前で引かれているかを確認します。
この段階でやっておきたいのは、任意継続にするかどうかの当たりをつけておくことです。 退職してから考え始めると、20日の期限に間に合わなくなります。
退職の日から2週間で保険の判断を終える
期限が短い手続きがここに集まります。任意継続を選ぶなら、申出と初回掛金の払い込みは20日以内です。
任意継続を選ばない場合は、国民健康保険への加入か家族の扶養に入る手続きに動きます。こちらは資格喪失日から14日以内が目安です。
児童手当の申請は、公務員でなくなった日の翌日から数えて15日以内です。証の返還も、この時期にまとめて行うのが一般的です。
退職した翌月以降に効いてくる手続きもある
すぐには効かないものの、後から家計に響いてくるものがあります。住民税と、翌年の確定申告です。
住民税は前年の所得にかかるため、収入が下がった年でも前年の水準で請求が来ます。新年度分の徴収が始まる6月以降は、負担を重く感じることがあります。
確定申告が必要になるのは、年の途中で辞めて年末調整を受けていない場合です。退職手当については、退職所得の受給に関する申告書を出していれば源泉徴収で精算されているのが一般的です。
期限で整理すると次のようになります。
| 時期 | やること | 窓口 |
|---|---|---|
| 意思表示の直後 | 手続きと締切の確認。貸付・融資・貯金の残高を出す | 所属庁の共済担当 |
| 退職日まで | 団体保険の継続可否を相談する。貯金と財形の扱いを決める | 共済担当・保険会社 |
| 退職後14日以内が目安 | 国民健康保険と国民年金の届出(社会保険に入らない場合) | 住んでいる市区町村 |
| 公務員でなくなった日の翌日から15日以内 | 児童手当の申請(子どもがいる場合) | 住んでいる市区町村 |
| 退職の日から20日以内 | 任意継続の申出(任意継続組合員資格取得届出書)と初回掛金の払い込み | 所属していた自治体の共済事務担当課 |
| 退職日の翌日から早めに | 組合員証や資格確認書を家族の分も含めて返還する | 所属庁の共済担当 |
| 退職の翌月以降 | 退職手当の入金額を控除後で確認する。住民税の納付書に対応する | 所属庁・市区町村 |
| 翌年の2月から3月 | 必要な場合は確定申告をする | 税務署 |
任意継続の20日と児童手当の15日は制度で定められた期限です。それ以外は目安なので、組合や自治体の運用にあわせて自分の日付に置き換えてください。
まとめ:共済の手続きは期限から逆算する
私が5月末に辞めたときも、共済組合の手続きは自分で期限を確認しながら進めました。期限がばらばらで、窓口も分かれています。
保険の判断は、退職から2週間のうちに終わらせてください。ここを過ぎると選べない道が出てきます。
貸付の残高は退職手当から引かれます。退職金は控除後の金額で家計を組んでください。
今日やることは1つです。給与明細か共済組合の通知で、貸付と貯金の残高を書き出してください。
この2つが分かれば、退職手当の手取りと退職直後のお金が見通せます。運用は組合ごとに違うので、最後は共済組合に確認してください。
迷っている段階のご相談も歓迎しています。お問い合わせページからご連絡ください。

