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公務員から事務職に転職できる?元市役所15年以上が職種別に解説

転職先・業界選び

市役所を辞めて最初に入った会社で、私が任されたのは事務職兼カスタマーサポートの仕事でした。「公務員からなら事務だろう」と、ほとんど疑わずに応募先を決めた結果です。

その会社は6ヶ月で辞めました。仕事が難しすぎたからでも、人間関係がこじれたからでもありません。

事務職という言葉のなかに、性質のまったく違う仕事がいくつも入っていることを、私が知らないまま応募していたからです。公務員の転職先として事務職を思い浮かべる人は多く、私もその一人でした。

ただ、入口の時点で事務職を一つの塊として見るか、5つに分けて見るかで、その後の続けやすさがはっきり変わります。事務職の中身の違い、年収がどう動くか、選考で何を見られるか、そして私がどこでつまずいたのかを、当時を思い出しながら書いていきます。

この記事を書いた人

sawada|市役所に15年以上勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。

詳しい経歴は運営者情報をご覧ください。記事へのご感想やサイトに関するお問い合わせはお問い合わせページから承ります(個別の税務・法律に関するご相談にはお答えできません)。

公務員から事務職への転職は可能だが競争は激しい

公務員から民間の事務職へは移れます。私自身、35歳・民間未経験でその道を選びました。

ただ、難しさがどこにあるかを間違えると準備を誤ります。採用そのものも簡単ではありませんが、より高い壁は正社員で条件の合う枠に入れるかどうかのほうにありました。

事務職は公務員が最初の候補にしやすい職種で、求人1件あたりの応募者も多くなりがちです。なぜ公務員が真っ先に事務職を思い浮かべるのか、求人の構造がどうなっているのか、私が応募して何を見たのかを順に書きます。

事務職が公務員からの転職先に選ばれる理由

市役所で私が担当してきたのは、窓口対応、庶務、文書管理、備品の発注といった仕事でした。それらを並べたうえで求人を探すと、民間で近い名前がついているのは一般事務やバックオフィスでした。

だから公務員は事務職を選びます。特別な発想ではなく、自分の職歴を素直に読めばそこに行き着きます。

「公務員は潰しが利かない」と言われるのも、この延長にあります。専門職として名乗れる肩書きが手元にないので、職種名で探すと事務にたどり着くわけです。

私の場合、市役所での15年以上はほぼ数年ごとの異動で成り立っていました。保険年金課、総務部総務課、教育委員会総務課と移り、どの部署でも一から覚え直しています。

幅は広がりましたが、一つの分野を深く掘った時間はありません。ジェネラリストとして育った人間が、職種名で自分を説明しようとすると事務になるという構図です。

正社員の事務職求人が少ないという構造

求人サイトで「事務」と検索すると、件数だけは大量に出てきます。それを見て「けっこうあるじゃないか」と安心したのが、当時の私でした。

ですが、条件を「正社員」に絞った瞬間に数は落ちます。事務職は契約社員や派遣、パートでの募集も多く、正社員だけに絞ると候補が一気に減るからです。

公的な統計でも、事務的職業の有効求人倍率は職業別で見ると低い水準にとどまる状態が続いています。求人1件を複数の求職者が取り合っている計算になり、これが「事務職は倍率が高い」と言われる根拠です。

(出典)厚生労働省:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

数値は時期によって動くので、応募先を検討する段階で最新の公表値を確認してください。傾向として押さえておきたいのは、バックオフィスの正社員求人はもともと母数が小さいことです。

企業から見れば、事務は増やすほど利益が増える部署ではありません。売上を作る部署を先に埋めて、事務の採用枠は絞るという会社も多いのだと思います。

なお、正社員以外の枠まで広げれば入口はもっと広がります。契約社員や派遣から入り、社内で正社員登用を目指すルートもあるからです。

ただし登用の実績があるかどうかは会社によって大きく違うので、その枠を選ぶなら過去に登用された人が実際にいるかを面接で確認してください。

私が事務職に応募したときに見えた現実

私が転職活動を始めたのは10月でした。内定が出たのは翌年の3月で、市役所を辞めたのは5月末です。

この間に応募した会社のうち、書類選考の通過率は2割程度でした。そして最終的に内定をもらえたのは1社だけです。

数字だけ見れば、決して余裕のある活動ではありませんでした。通過率が2割にとどまったのは、公務員経験を民間の言葉に置き換える作業がまだ足りていなかったからだと思っています。

面接では「事務ならできると思って」という言い方を一度もしませんでした。窓口で制度を説明してきた経験が、問い合わせ対応にそのまま使えるという説明の仕方をしています。

30代・未経験でも事務職に入れるのか

入れます。少なくとも私の場合は、35歳・民間未経験で内定を得られました。

ただし条件つきです。内定は1社だけでしたし、書類の通過率も2割でした。

入れるけれど、20代に比べて選べる枠が狭いというのが、正確な言い方だと思います。

転職の解説記事を読むと、30代から未経験職種を目指すのはかなり厳しくなる、という書かれ方をよく見かけます。私の実感としても、そこは大きく外していません。

ですが「厳しい=無理」ではありません。厳しさの中身は「応募すれば受かる状態ではなくなる」ことであって、通る道がなくなるわけではないからです。

経験を職務経歴書の言葉に翻訳する作業をどこまでやったかで、結果は変わってくると私は感じています。年齢の壁そのものへの向き合い方は、(関連記事)30代未経験で書類通過率を上げる「経験翻訳」の型に手順としてまとめてあるので、そちらも読んでみてください。

公務員の事務と民間の事務は何が違うのか

同じ「事務」という言葉でも、評価される軸が入れ替わります

公務員の事務は、公平さと正確さ、そして前例をきちんと踏まえていることで評価されました。民間の事務で見られたのは、速さと、周りの人の仕事をどれだけ減らせたかです。

この入れ替わりを知らずに入ると、丁寧に仕事をしているのに評価されないという状態が起こります。私が最初の3ヶ月で味わったのが、その状態でした。

以下では、評価の目的がどう変わるのか、進め方がどう変わるのか、私が具体的に何につまずいたのかを書きます。

目的が公平な処理から利益への貢献に変わる

市役所での判断基準は、いつでも公益性でした。誰に対しても同じ結果になることと、根拠となる条例や要綱を示せることが求められます。

この2つを満たしていれば、時間がかかっても間違いにはなりませんでした。

民間に移ると、判断基準に効率性とコスト意識が加わります。同じ結果になるなら、手数が少ないほうが正しいという考え方です。

私は最初、この違いを「雑になれと言われている」と受け取ってしまいました。実際には雑にしろという話ではなく、確認の回数を減らしても結果が変わらない部分を見つけろという要求でした。

キャリアの積み方も変わります。公務員は数年ごとの異動で幅を広げますが、民間の事務は同じ職種にとどまって深さを作るのが基本です。

ジョブローテーションで幅を広げるジェネラリストか、一つの領域を掘るスペシャリストか、という違いになります。どちらが上という話ではなく、評価されるキャリアパスの形そのものが違います

前例と決裁がなく、手順を自分で作る場面が増える

市役所では、迷ったら過去の起案を探しました。前例踏襲は悪く言われがちですが、担当者にとっては強力なマニュアルです。

民間に入って驚いたのは、その過去の起案にあたるものが存在しない場面が多いことでした。「去年はどうしましたか」と聞いて、「去年はその仕事自体がなかった」と返ってくる状況です。

決裁のかたちも違いました。市役所では合議を回して押印を集めましたが、転職先では上長に口頭で確認して、その場で進めることが普通でした。

だから、手順を自分で作る必要があります。ルーティンは与えられるものではなく、自分で組んで定着させるものという考え方に切り替えるまで、私はしばらく戸惑いました。

慣れてしまえば、この自由さは楽です。効率化の提案が翌週から反映されることもあり、そこは市役所では味わえなかった感覚でした。

私が最初につまずいた仕事のスピード基準

一番きつかったのは、時間の単位が違うことでした。

市役所での照会文書は、期限が2週間後というのが珍しくありません。決裁も、回覧が一巡するのに数日かかるのが当たり前でした。

転職先では、朝に受けた問い合わせはその日のうち、早ければ30分以内に返すのが標準でした。「明日の午前中までに」と言われて、私が「かしこまりました」と答えたあとで、周囲がすでに1時間で片づけていたと知ったこともあります。

私は正確さを落とさずに速くする方法を知りませんでした。だから最初の数ヶ月は、正確さを守るために遅くなり、遅いことで評価が下がるという状態に入っていました。

この時間感覚の落差は、事務職に限らず民間全般で起こります。意思決定のスピードの違いは(関連記事)【ギャップ2】意思決定のスピード:週単位から時間単位へで、私が感じた7つのギャップの一つとして詳しく書きました。

事務職は5種類に分けて考えると選び方が変わる

事務職は一つの職種ではなく、5つの別々の仕事が同じ棚に置かれているだけです。

一般事務、営業事務、経理、人事、総務の5つは、求人の多さも年収の伸び方も、求められる力も別物です。

自分の公務員経験がそのまま翻訳される職種を選べば、未経験でも通る確率は上がります。逆に翻訳を考えずに応募すると、受かっても中身が合いません。

私は「事務ならどれでも」と考えて応募したので、入ってから合わないことに気づきました。以下では5職種の違いと、公務員のどの経験がどこへ翻訳されるのかを表にして示します。

一般事務・営業事務・経理・人事・総務の違い

次の表は、私が求人を見てきた範囲での一般的な目安です。会社によって呼び方も担当範囲も前後します。

職種 主な仕事 求められる力 求人の多さ 年収の傾向 公務員経験の活きやすさ 未経験での入りやすさ
一般事務 データ入力、書類作成、電話や来客の対応、備品管理 正確さと段取り、基本のPC操作 件数は多いが正社員枠は少なめ 低めで上がりにくい 高い(窓口と庶務がほぼ地続き) 入口は広いが競争が最も激しい
営業事務 見積と受注の処理、請求書の発行、営業資料の作成、顧客対応 優先順位づけと催促の調整 比較的多い 中位で、支援範囲によって差が出る 高い(窓口対応と照会処理が近い) 未経験可の求人が見つけやすい
経理 仕訳、月次と年次の決算、支払処理、税理士や監査への対応 数字の正確さと簿記の知識 中程度だが常に一定数ある 経験年数と資格で伸びやすい 中(予算や出納の経験があれば接続できる) 簿記なしだと補助業務からの入社が多い
人事 採用、給与計算、社会保険の手続き、労務相談 制度の理解と守秘、人と話す力 少なめ 中位からやや高めで、労務の専門性で伸びる 高い(人事給与や社会保険の担当経験があると強い) 給与計算や社保の実務経験を問われやすい
総務 契約と文書の管理、施設や備品の管理、規程の整備 調整力と文書作成、幅広い雑務への耐性 少なめ 中位で、企業規模による差が大きい 最も高い(総務部総務課の仕事とほぼ同じ) 中小企業なら未経験からも狙える

年収の欄をあえて金額で書いていないのは、同じ職種でも地域・企業規模・雇用形態で大きく変わるからです。目安を知りたい場合は、厚生労働省の(出典)賃金構造基本統計調査で職種別の数値を確認するのが確実だと思います。

この5分類も、どの会社でも同じように分かれているわけではありません。小さな会社では一般事務と営業事務の境目が曖昧で、総務が経理を兼ねていることもあります。

だからこそ、求人票の職種名だけで判断せず、実際の仕事の内訳を面接で聞く必要があります。

求人数と年収レンジの傾向をどう読むか

この表を見て私が今なら選ぶのは、総務か経理です。総務は市役所の担当業務がほぼそのまま実績になりますし、経理も予算の要求資料づくりや執行管理の経験を言い換えられるからです。

一般事務は求人票の件数が多く、未経験可の表記も目立ちます。ですが件数の多さは、そのまま入りやすさを意味しません。

そのぶん応募者も集まりやすく、書類の段階で落ちることが増えます。しかも仕事の内容が「誰でもできる形」に整理されているほど、年収は上がりにくくなります。

一方で人事や総務は求人の母数が小さく、そもそも見つけにくい職種です。転職サイトを流し見しているだけでは出会えないので、条件を登録して通知を待つほうが現実的でした。

求人が多い職種ほど入りやすいわけではないというのが、実際に応募して分かったことです。

公務員のどの経験がどの職種に翻訳されるか

「自分にはスキルがない」と感じている人ほど、この作業をやってみてほしいと思います。私も転職活動を始めた時点では、書けることが何もないと思い込んでいました。

公務員での担当業務 翻訳しやすい職種 職務経歴書での言い換え例
窓口での資格得喪や給付の受付(保険年金課) 営業事務・一般事務 制度説明をともなう対面応対を1日◯件担当し、書類不備による差し戻しを◯割削減した
照会文書の取りまとめと期限管理(総務部総務課) 総務・営業事務 庁内◯課からの回答を集約し、期限内提出率を維持する進行管理を担当した
予算の要求資料の作成と執行管理(総務部総務課・教育委員会総務課) 経理・総務 年間◯千万円規模の予算について、要求資料の作成から執行状況の管理までを担当した
人事給与システムへの入力と手当の認定 人事 職員◯名分の給与データを扱い、諸手当の認定と支給誤りの防止を担当した
例規や要綱の改正、条文の整合確認 総務 規程改正の原案を作成し、関係部署との調整を経て施行まで担当した

◯の部分は、自分の実際の数字を入れて使ってください。数字を入れられる項目だけでも入れておくと、採用側が仕事の規模をつかみやすくなります

強みの見つけ方そのものに迷う場合は、(関連記事)自己PRの土台になる「強みの棚卸し」3ステップで、私が実際に使った手順を書いています。

事務職を6ヶ月で辞めた私の失敗と学び

私は事務職を「消耗しない仕事」だと思って選び、6ヶ月で辞めました。

つまずいた原因は職種選びそのものではなく、入る前に確認すべきことを確認しなかった私の側にあります。

求人票に書かれていた職種名と、実際に任された仕事の中身がずれていました。そのずれは、面接での質問の仕方を変えていれば入社前に見つけられたものです。

何を確認していれば違ったのかを、今の視点で具体的に挙げます。読みながら、自分が同じ選び方をしていないか点検してみてください。

「楽そう」という理由で選んだ結果に起きたこと

私が転職先に求めていたのは、残業が減ることとワークライフバランスでした。市役所の繁忙期は21時を過ぎることもあり、そこから逃れたい気持ちが強かったからです。

労働時間という点では、期待は裏切られませんでした。定時で帰れる日が増え、平日の夜に子どもと過ごす時間はたしかに増えています。

問題は、時間ではなく中身のほうでした。求人票の職種は事務職でしたが、実態は事務職兼カスタマーサポートで、日中の大半は問い合わせ対応に費やされます。

しかも問い合わせの多くは、こちらに決定権がない案件でした。謝って、社内に確認して、また謝るという繰り返しです。

市役所の窓口で苦情を受けていたときと、精神的な負荷は変わりませんでした。

「楽そう」という言葉を、私は労働時間の意味だけで使っていました。負荷には時間の量と、判断できないまま矢面に立つ苦しさの2種類があると分かっていれば、求人票の読み方は違っていたはずです。

6ヶ月で辞めるという判断は早すぎたのか

6ヶ月で辞めたことを、今でも早すぎたと思う瞬間はあります。1年続けていれば、業務の全体像が見えて評価も変わっていたかもしれません。

次の勤務先が決まってから辞めたので、収入が途切れることはありませんでした。ただ、6ヶ月で職場を変えた事実は職務経歴書に残り、次の選考では必ず説明を求められます。

それでも、辞めたこと自体は間違っていなかったと思っています。あのまま3年続けていたら、次に選べる職種の幅はもっと狭くなっていたと思います。

念のため書いておくと、私が続かなかったことと、事務職が悪い職種であることは別の話です。合わなかったのは私とあの職場の組み合わせであって、事務職そのものを否定するつもりはありません。

良かった点と後悔が同居している、というのが正直なところです。1社目を辞めるかどうかで迷っていたころの葛藤と、辞めたあと実際に何が起きたかは、(関連記事)私が1社目を6ヶ月で辞めて、実際どうなったかにそのまま書いています。

入社前に確認しておけばよかった7つの項目

当時の私が求人票と面接で確認していれば、判断を変えられた項目を挙げます。

  • 職種名のあとに「兼」がついていないか。ついている場合、その比重は1日のうちどれくらいか
  • 1日の業務の内訳を、時間の割合で説明してもらえるか
  • 問い合わせ対応がある場合、自分の裁量で決められる範囲はどこまでか
  • その部署に事務職が何人いて、直近1年で何人辞めたか
  • 繁忙期がいつで、そのときの残業時間はどのくらいか
  • 入社後3ヶ月で任される予定の仕事と、1年後に任される予定の仕事の違い
  • 使うシステムやツールの名前(未経験の場合、入社前に触れるものかを確認する)

すべてを面接で聞けるわけではありません。ですが「1日の業務の内訳を時間の割合で」という聞き方は、どの会社でも角が立たずに実態を引き出せました

2社目の面接では実際にこれを使い、入社後のギャップはほとんどありませんでした。

公務員から事務職に移ると年収はどう変わるか

多くの場合は下がります。私は最初の転職で年収が200万円下がりました

ただ、下げ幅は職種によって違います。経理や人事のように資格と実務が積み上がる職種は戻しやすく、一般事務は戻しにくいというのが実際のところです。

そして下がること自体より、下がった状態で家計が回るかどうかのほうが重要になります。先に家計の下限を決めておくと、応募先を選ぶときに迷わなくなります。

なぜ下がるのか、どう戻すのか、その前に何を決めておくべきかを順に書きます。

事務職に移ると年収が下がりやすい理由

公務員の給与は、俸給だけで決まっていません。私の基本給は月額で約23万円でしたが、そこに地域手当や扶養手当が乗り、さらに年2回の期末勤勉手当が加わって年収が組み立てられていました。

民間の事務職に未経験で入ると、この積み上げが一度リセットされます。未経験採用では前職の年収ではなく、その会社の等級表の下のほうから提示されることが多いからです。

加えて、事務職は売上への貢献を数字で示しにくく、提示額が低めの求人も少なくありません。「事務職は年収が低い」と言われる背景には、この2つが重なっています。

ただし下げ幅は、自治体の給与水準・応募先の企業規模・地域によって大きく変わります。ここは一般化できないので、求人票の提示額を自分の現在の年収と手取りベースで比べてください

下がった年収を取り戻すための2つのルート

私が見てきた範囲で、現実的なルートは2つです。

1つ目は、職種の中で専門性を積んで戻すやり方です。経理なら簿記2級と決算の実務、人事なら給与計算と社会保険の実務が、そのまま次の転職での評価につながります。

2つ目は、事務から隣接する職種へ移って戻すやり方です。私が選んだのはこちらで、1社目で身につけた顧客対応の経験を足がかりに、2社目でWebマーケターになりました。

どちらが正しいという話ではありません。ただ、一般事務のまま年収を戻すのは時間がかかるので、入る前に「どちらのルートを想定しているか」を決めておいたほうがいいとは思います。

年収が200万円下がった直後、実際に生活がどう変わったかについては、(関連記事)年収200万ダウンの内訳と取り戻す考え方に、内訳と立て直し方を書きました。

働く場所を変えることで手取りの目減りを抑える方法もあります。在宅勤務なら通勤の負担が減り、私の場合は結果として使える時間が増えました。

収入は下がりましたが、在宅で働けるWebマーケターの求人に出会えたことで、使える時間はむしろ増えました。事務職のまま在宅で働ける会社を探すなら、リモート求人に絞ったエージェントのほうが選択肢を見つけやすいと思います。

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※リモートワーク×ビジネス職専門の転職エージェントです。対象となる経歴や希望条件は公式サイトでご確認ください。条件によっては面談を受けられないことがあります。私自身はこのサービスを利用したことはありません。

転職前の生活設計で先に決めておきたい数字

年収がいくらまでなら耐えられるかを、月の手取りで出しておいてください。年収ベースで考えると、賞与の有無で見誤ります。

住宅ローンがある場合は、返済額と管理費、固定資産税を先に固定費として並べます。ここを曖昧にしたまま応募を始めると、内定が出てから条件で迷うことになります。

そのうえで、下限を下回る求人には応募しないと決めてしまうほうが、迷いは減ります。応募してから条件で悩むより、最初から候補に入れないほうが精神的に楽でした。

家族への説明も、この数字があると進めやすくなります。私が妻に転職を切り出したときも、感情ではなく数字から話しました。

そのときに見せた資料の中身は、(関連記事)私が妻に見せた「4つの数字」と、反対されなかった理由にまとめてあります。

生活設計はご家庭ごとに前提が違うので、判断に迷う場合はファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみてください。

事務職が向いている人と選ばない方がいい人

向いているのは、人の仕事を先回りして整えることに手応えを感じる人です。

逆に、成果が自分の名前で残らないと物足りなくなる人は、事務職で消耗します。

私は後者でした。だから続かなかったのだと、2社目に移ってからはっきり分かりました。

自分がどちらに寄っているかは、求人を探し始める前に見極めておきたい部分です。

ここでは向き不向きの条件に加えて、辞める前に今の職場でできる確認方法も挙げます。応募先を決める前に、一度立ち止まって読んでみてください。

事務職に向いている人に共通する3つの条件

まず、他人の仕事が滞っている状態が気になる人です。誰かの提出が遅れているとき、催促そのものを面倒だと思わずに動ける人は、営業事務でも総務でも重宝されます。

次に、決められた形式を守ることに苦痛を感じない人です。経理も人事も、様式や期限がきっちり決まっている仕事になります。

市役所の様式主義に馴染んでいた人ほど、この点は強みになります。

そして、評価されるまでの時間が長くても耐えられる人です。事務の仕事は、うまくいっているときほど誰にも気づかれません。

3つ目が一番大きいと私は思っています。営業のように結果が数字で見える仕事と違い、事務は「問題が起きなかったこと」が成果だからです。

事務職を選ばない方がいい人の4つの特徴

「事務職はやめとけ」という言葉をネットで見かけますが、あれは職種そのものが悪いという意味ではないと思っています。合わない人が選んでしまいやすい職種だ、という意味で受け取るのが正確です。

合わない可能性が高いのは、次のような人です。

  • 自分が動いた結果を、数字や名前で確認したい人
  • 仕事の裁量が小さいことをストレスに感じる人
  • 今の職場を「消去法で辞めたい」と思っていて、次にやりたいことが特にない人
  • 年収を数年以内に元の水準へ戻したい人

3つ目が、当時の私でした。市役所を辞めたいという気持ちが先にあり、次に何をしたいかを言葉にできていませんでした。

その状態で選んだ「事務職」は、志望ではなく消去法の結果です。消去法で選んだ職種は、入ったあとに自分を支えてくれません

自分がどちらなのか判断がつかないときは、一人で考え込まないほうが早いこともあります。私は当時、誰にも相談せずに決めてしまいました。

「辞めたい」は言語化できても、「何をやりたいか」は自分だけでは出てこないことがあります。第三者と話しながら整理したい方には、30代から40代向けのキャリアコーチングという選択肢もあります。

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迷ったときに今の職場でできる適性の確認

辞める前に試せることがあります。今の担当業務のなかで、締切を自分で前倒しに設定して動いてみるという方法です。

期限が2週間後の照会文書を、3日で回してみます。誰にも頼まれていない段取りを、自分の判断で組み替えてみます。

これを2週間続けて、面白いと感じるなら事務職の適性を考える材料になります。逆に「誰も気づかないのに、なぜやっているのか」と虚しくなるなら、事務職では同じことが毎日起こります。

私はこの確認をせずに転職しました。辞める前に今の職場でできる検証を一つでもやっておけば、6ヶ月の遠回りは避けられたかもしれないと思っています。

ここまで読んで「自分は向いている」と感じた方は、次の選考対策に進んでください。

事務職の選考で見られる点と書類の直し方

事務職の選考で正確さが見られるのは当然として、そのうえで差がつくのは周りの仕事をどれだけ減らせるかです。

だから職務経歴書は、担当業務を並べるだけでは通りません。処理した件数、短くした時間、関わった人数といった数字に置き換える必要があります。

志望動機も同じです。「公平性を大切にしてきました」で止めると、なぜ事務職なのかが伝わりません。

書類、面接、資格の順に、私が実際にやったことと、やっておけばよかったことを書きます。

職務経歴書と自己PRで数字に置き換える箇所

手順は次のとおりです。

  1. 直近3年分の担当業務を、部署ごとにすべて書き出す(この時点では文章にしない)
  2. それぞれに「件数」「金額」「人数」「期間」のどれかを付けられないか検討する
  3. 応募先と関係の深い項目を先に並べ、数字を付けられたものを目立たせる
  4. 残った項目を「何をして、その結果どうなったか」の順に並べ替える
  5. 応募先の求人票に出てくる言葉(受発注、進行管理、決算補助など)に語彙を寄せる
  6. 最後に、公務員特有の言葉(起案、決裁、要綱、庁内)を民間の言葉に置き換える

5番と6番を飛ばす人がとても多いと感じています。私も最初の職務経歴書には「起案から決裁まで担当」と書いていて、後から読み返して恥ずかしくなりました。

自己PRも同じ考え方で作ります。強みを名詞で言い切るのではなく、その強みが相手の仕事をどう減らすかまで書くと、事務職の選考では通りやすくなります。

項目別の書き方や具体的な文例は、(関連記事)コピーして使える項目別の職務経歴書の見本にまとめてあるので、書き始める前に見てもらえればと思います。

面接で「なぜ事務職か」に答えるときの型

この質問には必ず答えを用意してください。私がいちばん準備しておくべきだったと感じるのが、この質問への答えでした。

「安定して長く働きたいからです」と答えると、採用側には「消去法で選んだ人」と伝わります。実際にそう思っていたとしても、それだけを言葉にしてはいけません。

私が使ったのは、次の3つを順につなぐ形でした。

まず、公務員時代に自分が手応えを感じた場面を1つ挙げます。次に、その手応えが応募先のどの業務で再現できるかを言います。

最後に、そのために自分が今準備していることを添えます。

たとえば「照会の取りまとめで、期限に間に合わない課へ先回りして声をかけていた」という場面を挙げます。そのうえで「営業の方が数字を追うことに集中できるよう、周辺の処理を巻き取りたい」とつなぎます。

過去、応募先、準備の3点セットにすると、消去法に聞こえなくなります。

簿記やMOSなど事務職で効く資格の優先順位

資格が必須かと聞かれれば、事務職の場合は必須ではありません。私自身、資格を武器にして内定をもらったわけではありませんでした。

ただし職種によって効き方が違います。優先順位をつけるなら、次のとおりです。

経理を狙うなら簿記2級から考えるのがいいと思います。求人票の応募条件に書かれていることがあり、資格そのものが書類通過の条件になっている場合もあるからです。

一般事務や営業事務を狙うならMOSが材料の一つになります。ExcelとWordの操作を客観的に示せるので、「PCスキルあり」と自己申告するより伝わりやすくなります。

人事や総務については、実務経験のほうが優先されます。資格を取る時間があるなら、今の職場で人事給与や規程改正に関われないかを探すほうが早いと感じます。

いずれの場合も、資格を取ってから動くのではなく、動きながら取るほうが現実的です。未経験採用では年齢が選考に影響する場合もあるので、応募と学習は並行させたほうが早いと思います。

資格ごとの費用対効果は(関連記事)取得コストと転職インパクトのマトリクスで比較しているので、迷ったら参考にしてください。

まとめ:事務職は逃げ道ではなく選択肢の一つ

事務職は、消去法で選ぶと続きません。私が6ヶ月で辞めたのが、その一つの証明だと思っています。

ただし5つの職種に分けて、自分の経験が翻訳される場所を選び直せば、事務職は現実的な選択肢になります。

年収が下がる可能性を見込んで家計の下限を先に決め、入社前に1日の業務の内訳を確かめてください。この2つだけでも、私が踏んだ地雷は避けられます。

回り道でしたが、1社目があったから2社目にたどり着けました。

求人の探し方で迷う方は(関連記事)公務員の転職におすすめのエージェント5選【2026年版】に相談先を整理しています。事務職で迷っている段階のご相談も、お問い合わせページから受け付けています。

何から始めればいいか分からない方へ

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▶ 公務員からの転職完全ガイドを読む

運営者情報
元公務員 Webマーケター
sawada

元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年以上勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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