「公務員は雇用保険に入っていないから、ハローワークは使えないのでは」。市役所にいたころ、私もそう思い込んでいました。
先に結論を書きます。公務員でもハローワークは使えます。雇用保険に入っていなくても、求人検索や職業相談といった職業紹介のサービスを利用できます。
失業給付とハローワークの職業紹介は、そもそも別の制度だからです。在職中でも求職申込みができ、費用もかかりません。
ここから、ハローワークでできること、在職中の線引き、転職エージェントとの違い、求職申込みの手順までを整理します。私自身は使わずに民間サービスで転職したので、体験談ではなく公式情報を軸に書きます。
公務員の転職でもハローワークは問題なく使えます
結論から言うと、公務員でもハローワークは使えます。雇用保険に入っていなくても、求人を探したり職業相談を受けたりすることに制限はありません。
理由は単純で、失業給付とハローワークの職業紹介は別の制度だからです。給付を受け取れるかどうかと、求人を紹介してもらえるかどうかは、そもそも切り離されています。
さらに在職中でも求職申込みができ、利用料もかかりません。この章では、その3点を順番に確認します。
「使えるかどうか」で止まっている方は、ここだけ読めば前に進めます。制度の理屈が分かると、行くかどうかの判断も早くなります。
雇用保険に入っていなくても職業紹介は使える
常勤の一般職の公務員は、原則として雇用保険の適用対象外です。そのため「ハローワークは失業手当をもらう場所だから、自分には関係ない」と考えてしまいがちです。
ですが、これは制度の一部だけを見た思い込みです。ハローワークの中心的な役割は職業紹介にあります。
求人情報の提供、職業相談、職業訓練の案内といったサービスは、雇用保険の被保険者であるかどうかとは別枠で提供されています。
そもそもハローワークは、職業安定法に基づいて国が設置している公共職業安定所です。仕事を探している人が求職の申込みをする窓口として設けられています。
つまり、給付の対象にならない公務員でも、求人を探す場所としては普通に使えるわけです。「使えるかどうか」と「もらえるかどうか」を分けて考えてください。
なお、公務員が退職した場合の給付については、別記事で制度の違いを整理しています。本記事では給付の話には踏み込みません。
(関連記事)結論/公務員は退職しても失業保険がもらえない理由
在職中でも求職申込みだけは先にしておける
「辞めてからでないと登録できないのでは」と思う方もいると思います。ですが、在職中の登録を受け付けている旨は各ハローワークで案内されており、辞めてからでなければ使えないというものではありません。
制度の細かい取り扱いは窓口によって説明が異なることもあるため、心配なら管轄のハローワークに確認してから動いてください。
求職申込みをすると、求人検索だけでなく職業相談や書類の相談も受けられるようになります。辞める前の情報収集の段階から使えるというのが、この制度の使いどころです。
在職中であることは、申込みの際に正直に伝えて構いません。むしろ伝えておいたほうが、担当者が状況に合った案内をしてくれます。
伝えるときは、退職の予定時期も添えると話が具体的になります。「まだ決めていない」でも問題はなく、その前提で相談に乗ってもらえます。
公務員の場合、年度末や人事異動の時期が判断に絡みます。その事情も含めて伝えておくと、無理のない進め方を提案してもらいやすくなります。
費用がかからない公的なサービスだから使える
ハローワークは国が運営する公的な機関で、求職者は無料で利用できます。窓口での相談も、求人検索も、セミナーへの参加も費用はかかりません。
オンラインのハローワークインターネットサービスも同じで、運営は厚生労働省職業安定局です。全国のハローワークで受け付けた求人情報を、自宅から検索できます。
民間のサービスに登録する前に、まず無料で相場を見たい。そういう段階の人にとって、費用ゼロという条件は判断を軽くしてくれます。
金銭的な負担がないぶん、「合わなければ使わない」と気軽に決められるのも利点です。登録したら最後まで使い切らなければいけない、という性質のものではありません。
(出典)ハローワークインターネットサービス(厚生労働省職業安定局)(サービス概要)
ハローワークでできること5つを一覧で整理する
ハローワークでできることは、大きく5つです。求人検索、求職者マイページからの応募、職業相談、書類や面接についての相談、職業訓練の情報収集です。
このうち求人検索とマイページの操作はオンラインで完結します。相談系は窓口が中心になるため、行ける時間を確保する必要があります。
在職中なら、まずオンラインでできることから始めるのが現実的です。
まず全体像を押さえておけば、自分に必要なものだけを選んで使えるようになります。順番に見ていきます。
- 全国の求人情報を検索する
- 求職者マイページから求人に応募する
- 職業相談を受ける
- 応募書類や面接について相談する
- 職業訓練やセミナーの情報を集める
求人検索と求職者マイページでできることの範囲
ハローワークインターネットサービスでは、全国のハローワークが受け付けた求人を検索できます。求職者マイページを開設すると、できることがさらに増えます。
公式サイトの案内を整理すると、次のとおりです。
| 区分 | できること(公式案内の範囲) |
|---|---|
| マイページの全利用者 | 求人情報検索(検索条件の保存)/求人への直接応募(オンライン自主応募)/求職活動状況の確認/登録した求職者情報の確認・変更/メッセージ管理 |
| ハローワークで求職申込みをした人 | 上記に加えて、ハローワークからのおすすめ求人の受信/オンラインで紹介される求人への応募 |
(出典)求職者マイページでできること(ハローワークインターネットサービス)
表のとおり、窓口で求職申込みをしているかどうかで使える機能が変わります。ここは後の章でもう一度詳しく扱います。
職業相談で書類や面接についても相談できる
窓口では、職業相談を受けられます。求人の探し方だけでなく、応募書類の書き方や面接についても相談できます。
公務員の職務経歴をどう書けばいいか分からない、という相談もできる内容に含まれます。無料で第三者の目が入る機会として使えます。
ただし担当が固定でつく前提ではないため、相談のたびに経歴を説明し直すことになります。
対策としては、職務経歴の下書きを1枚持っていくのが有効です。口頭で説明し直す手間が減り、限られた時間を中身の相談に使えます。
公務員の業務は役所の言葉のままだと伝わりにくいので、その場で読んでもらって表現を直してもらうのも一つの使い方です。
職業訓練とセミナーの情報を無料で集められる
ハローワークでは、ハロートレーニングと呼ばれる職業訓練の情報も扱っています。未経験の分野へ移りたい場合、訓練の選択肢を知っておくと進路の幅が広がります。
セミナーや説明会の情報も検索できます。応募の前に業界の話を聞いておきたい段階では、こうした場が役に立つはずです。
在職中でも訓練の相談自体はできます。受講の可否や条件は制度や時期によって変わるため、詳しくは窓口で確認してください。
訓練を受けるかどうかは別として、「どんなコースがあるか」を知っておくだけでも価値があります。未経験の分野に移る場合、必要なスキルの相場感がつかめるからです。
在職中の可否の線引きと職場に知られない使い方
前章で挙げた5つは、在職中でもほぼそのまま使えます。求人検索も職業相談も、辞めてからでないと使えないということはありません。
在職中にできないのは、失業給付の申請です。あわせて、退職済みであることや入社できる時期を条件にしている求人には、応募が進まない場合があります。
この線引きさえ押さえておけば、在職中でも問題なく使えます。あわせて、職場に知られないための注意点も見ておきます。
在職中の公務員がつまずくのは制度そのものより、時間の確保と周囲の目です。そこも含めて整理します。
在職中にできることは前章の5つとほぼ同じ
前章の5つのうち、在職中でも使えないものは基本的にありません。求人検索、マイページの利用、職業相談、書類の相談、訓練やセミナーの情報収集はすべて可能です。
つまり在職中の使い方で意識すべきは「何ができるか」より「何ができないか」の2点だけです。次で確認します。
在職中は時間の制約が大きいので、優先順位をつけて使うことになります。まずオンラインで求人を眺め、必要になったら窓口へ行く。
この順番が現実的です。
在職中に気をつけたい2つの制約を押さえておく
1つ目は、失業給付の申請です。これは失業している状態の人が対象の手続きで、在職中には行えません。職業訓練もコースごとに受講の条件があるため、利用したい場合は窓口で確認してください。
公務員の場合はそもそも制度が異なるため、詳しくは前掲の別記事を参照してください。
2つ目は、応募者を限定している求人への応募です。企業によっては、退職済みの人や退職時期が明確な人に限って募集していることがあります。
すぐに働ける人を求めている求人では、こうした条件がつきやすくなります。
たとえば欠員補充の求人や、繁忙期に合わせた採用では、入社できる時期が採否を左右します。在職中の応募が一律に断られるわけではありませんが、退職の見通しを聞かれることは多いと考えておいてください。
逆に言えば、退職時期を自分の中で決めておくと応募できる求人の幅が広がります。年度末など区切りの候補があるなら、それを伝えられる状態にしておくと話が進みやすくなります。
退職時期を伝えられない場合は、条件に合わず応募が進まないことがあります。求人票の条件をよく読み、判断がつかなければ窓口で確認するのが確実です。
なお、退職後は利用できる手続きが増える場合がありますが、給付や求人への応募の可否は個別の条件によります。公務員の給付の扱いは民間と異なるため、前掲の別記事で確認してください。
職場に知られないために気をつけたい3つの点
在職中の公務員が最も気にするのは、活動が職場に知られることだと思います。気をつけたいのは3点です。
- 職場のパソコンや庁内のネットワークからマイページにログインしない
- 連絡先は私用のメールアドレスと携帯電話にする
- 窓口へ行く時間帯は勤務時間を避け、場所は庁舎の近くを避けて選ぶ
3つ目は見落としやすいところです。庁舎に近いハローワークだと、顔見知りに会う可能性はゼロではありません。
気になるなら、隣接する自治体の窓口を選ぶ手もあります。
在職中の転職活動そのものが問題ないのかという疑問は、別記事で詳しく整理しています。
(関連記事)転職活動が職場にバレるリスクと、バレないための具体策
ハローワークと転職エージェントの違いを比べる
ハローワークと民間の転職エージェントは、扱う求人の性質とサポートの厚さが違います。ハローワークは地元の中小企業の求人が中心で、担当者が固定でつく前提ではありません。
エージェントは非公開求人と選考支援に強みがあります。どちらが上ということではなく、段階と目的で使い分けるものです。
両方とも求職者側は無料なので、片方だけに絞る理由もありません。違いを具体的に見ていきます。
「どちらが良いか」で比べると答えが出ませんが、「いま自分が何を必要としているか」で比べると判断できます。情報が欲しいのか、選考の伴走が欲しいのかです。
掲載されている求人の性質と規模が大きく違う
ハローワークには、地元の中小企業や、地域に根ざした事業所の求人が多く集まります。事業所側が無料で求人を出せるため、採用予算の限られた企業も掲載しやすい仕組みです。
一方で、ハイクラス求人や大手企業の案件は少ない傾向があります。年収を大きく上げたい場合や、都市部の有名企業を狙う場合には、求人の母数が物足りなく感じるかもしれません。
求人の質は玉石混交だと言われますが、地元で長く働きたい人にとっては、他では見つからない求人が出てくる場所でもあります。目的次第で評価が変わります。
住み慣れた地域を離れたくない公務員は少なくありません。家族の生活や持ち家の事情がある場合、通える範囲の求人を面で見られることは大きな利点です。
サポートの厚さと担当者がつくかどうかの違い
エージェントは担当者がつき、書類添削や面接対策、日程調整まで一括で支援します。企業側から紹介手数料を受け取る仕組みのため、選考を通すための伴走が手厚くなります。
在職中で時間が取りにくい人にとって、日程調整を代わりにやってもらえる価値は小さくありません。
ハローワークにも職業相談はありますが、専任の担当者が最後までついて選考を管理する形ではありません。相談は自分から取りに行く必要があります。
一方でエージェントにも弱点はあります。求人が都市部に偏りやすく、担当者との相性次第で体験が大きく変わる点です。
どちらか一方が万能ということはありません。
整理すると次のとおりです。
| 項目 | ハローワーク | 転職エージェント |
|---|---|---|
| 求人 | 地元・中小企業が中心 | 非公開求人・都市部の求人が多い |
| 費用 | 求職者は無料 | 求職者は無料(企業が手数料を負担) |
| サポート | 職業相談・書類の相談(自分から取りに行く) | 担当者による書類添削・面接対策・日程調整 |
| 向く段階 | 情報収集・地元志向 | 応募や選考を本格的に進める段階 |
両方を目的に応じて使い分ける現実的な進め方
現実的なのは、両方を目的に応じて使い分けることです。地元の相場を見るならハローワーク、選考支援を受けたいならエージェント、という切り分けになります。
面談や電話のやり取りをまだ持ちたくない段階でも、求人相場だけは無料で見られる。これがハローワークの一番の使いどころだと思います。
エージェントを使う段階に進んだとき、どの社を候補にするかは公務員向けに5社を比較した記事にまとめています。
(関連記事)公務員の転職エージェントを対象条件で比較する
窓口へ行く一日を作れない週でも、求人の側から届く形はあります
ハローワークの職業相談は、窓口へ行く時間を自分で確保しないと進みません。在職中の公務員にとっては、その半日か一日をどこに置くかが最初の関門になります。
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公務員に向く場面と、弱点になる場面の見極め方
ハローワークが向いているのは、地元で働き続けたい人、費用をかけずに情報から始めたい人、職業訓練に関心がある人です。
弱点になるのは、未経験から都市部の求人を狙う場合や、選考支援を厚く受けたい場合です。求人の母数とサポートの厚さで、民間サービスに分があります。
私はブランクなしで転職したため、そもそも検討しないまま民間サービスで進めました。その前提で、向き不向きを整理します。
体験がない立場だからこそ、良し悪しを盛らずに条件だけで判断材料を並べます。
向いているのは地元志向と情報収集の段階の人
地元で働き続けたい人には、ハローワークは有力な選択肢です。地域の事業所の求人が集まる場所なので、通える範囲の仕事を面で見渡せます。
公務員には固有の事情もあります。異動でしか職場が変わってこなかった人が、初めて自分で勤務地と職種を選ぶという場面です。
選択肢の全体像を無料で眺められる場所は、その最初の一歩に向いています。
なお、この記事で扱うのは「公的な窓口を使うかどうか」の判断までです。民間サービス同士をどう組み合わせるかは、始め方をまとめた別記事に譲ります。
(関連記事)目的別:あなたに合う始め方の組み合わせ
弱点になるのは手厚い選考支援を求める場合
一方で、書類添削や面接対策を継続的に受けたい場合は、ハローワークだけでは物足りなくなります。担当者がついて選考を管理してくれる仕組みではないからです。
未経験の職種へ都市部で挑戦したい場合も、求人の母数で不利になります。母数が少なければ、条件に合う求人に出会う確率も下がります。
こうした場合は、ハローワークを情報源として残しつつ、選考の主軸はエージェントに置くのが現実的です。
公務員の職務経歴を民間向けに翻訳する作業は、一人で完璧にやろうとすると時間がかかります。第三者の目が継続的に入る環境のほうが、書類の精度は早く上がります。
私が使わなかった理由と、今なら使いたい場面
正直に書きます。私はハローワークを使っていません。
退職の翌日から次の職場だったため給付の対象にならず、在職中の活動も民間の転職サービスで進めたからです。
利用体験がないので、窓口の様子や求人の中身について語ることはできません。書けるのは「使わなかった」という事実だけです。
体験していないことを、体験したように書くつもりはありません。このテーマで私が提供できるのは、公式情報の整理と、使わなかった側から見た判断材料です。
そのうえで、今の私が使うとしたら「地元求人の相場を見る」場面です。当時は都市部の求人ばかり見ていましたが、通える範囲にどんな仕事があるのかを知っていれば、選択肢の比較はもう少し立体的になったはずです。
働き方の軸が決まっている方なら、勤務地に縛られない探し方もあります。私は現在、在宅勤務のWebマーケターとして働いていて、通勤がない働き方のありがたさを日々感じています。
通える範囲で選ぶか、勤務地という条件を外すかは別の話です
私がハローワークを使うとしたら、通える範囲の求人を面で見る場面だと本文に書きました。今は在宅で働いているので、勤務地から絞り込む発想を持たずに済んでいます。
Remofulは、リモートワーク×ビジネス職に特化した転職エージェントとして案内されています。相談は無料で、勤務地の条件を外したときにどんな求人が並ぶのかを聞けます。
条件によっては面談を受けられないことがあります。話を聞いたうえで、地元での転職に戻しても構いません。
在宅勤務の希望に合う求人を相談勤務地を外した求人を聞いてみる(相談は無料)
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求職申込みの手順とオンライン利用の注意点
求職申込みには、窓口で行う方法とオンラインで行う方法の2通りがあります。どちらでも申込みはできますが、使える機能に差が出ます。
とくに重要なのが、オンラインでの自主応募の扱いです。オンライン自主応募は「ハローワークの紹介ではありません」と公式に案内されています。
この違いを知らずに進めると、後から「話が違う」となりかねません。
窓口へ行く時間が取れない人ほど、オンラインだけで完結させたくなります。だからこそ、その範囲を先に知っておく価値があります。
手順と注意点を順に見ていきます。
求職申込みは窓口とオンラインの2通りある
オンラインで申し込む場合は、ハローワークインターネットサービスから求職者マイページを開設します。窓口で申し込む場合は、管轄のハローワークで求職申込書を提出し、受付票(ハローワークカード)を受け取ります。
在職中で日中に窓口へ行けないなら、まずオンラインで登録して求人検索から始める方法もあります。そのうえで、相談や紹介が必要になった段階で窓口を使えば無駄がありません。
窓口へ行く日は、年休を1日まるごと使う必要があるとは限りません。所要時間は相談内容や窓口の状況によって変わるため、余裕をもって予定を組んでください。
なお、開庁時間は施設によって異なります。夜間や土曜に職業相談ができる窓口もあるため、所在地情報のページから管轄のハローワークを開いて確認してください。
(出典)ハローワーク等所在地情報(ハローワークインターネットサービス)
オンライン自主応募は職業紹介にはならない
ここが最も重要な注意点です。公式サイトのオンライン自主応募のページには、「ハローワークの紹介ではありません」と明記されています。
具体的には、ハローワークインターネットサービスから求職申込みをしただけの人は、職員がオンラインで紹介する求人への応募の対象になりません。ハローワークからのおすすめ求人の受信も、窓口で求職申込みをした人向けの機能です。
紹介状は職業紹介の際に発行される書類なので、自主応募では発行されないことになります。
つまり、紹介という形で職員に関わってもらいたいなら、窓口での求職申込みが必要になります。自主応募だけで進めるか、紹介まで使うかで、最初の一歩が変わります。
(出典)オンライン自主応募について(ハローワークインターネットサービス)
紹介状と受付票はどう位置づけられているのか
紹介状は、ハローワークが職業紹介として応募先へ取り次ぐときに発行される書類です。
受付票は、求職申込みを済ませたことを示すもので、ハローワークカードとも呼ばれます。窓口での相談時に提示するものだと考えてください。
相談のたびに使うものなので、手元に置いておくと便利です。再発行の可否は管轄のハローワークに確認してください。
手順を整理すると、次の流れになります。
- 窓口またはオンラインで求職申込みをする
- 受付票(ハローワークカード)を受け取る、またはマイページを開設する
- 求人を検索する
- 応募したい求人が決まったら、窓口で相談して紹介状を受け取る
- 応募書類を送付し、選考へ進む
自主応募の場合は4を経由しないため、紹介状は発行されません。この違いだけ押さえておけば、手続きで迷うことはないはずです。
求人票に応募方法の指定がある場合は、それに従ってください。
ハローワークの職員は公務員か、身分と採用ルートを整理
ハローワークで正規職員として働く人は国家公務員で、市役所から見ると「公務員から公務員へ」の転職先にあたります。ただし窓口に立つ人が全員正規職員とは限らず、相談員などの非常勤の職で働く人もいます。
正規職員は厚生労働事務官として、国家公務員採用一般職試験と官庁訪問を経て採用されます。非常勤の職は募集ごとに条件が決まるため、同じ窓口でも雇われ方は別物です。
市役所で窓口業務を担当した私の考えでは、辞めたい理由が公務員という働き方そのものにあるなら、ハローワーク職員への転職は答えになりにくいです。
正規職員は国家公務員の厚生労働事務官です
ハローワークは、厚生労働省の地方組織である都道府県労働局の下に置かれた国の機関です。厚生労働省の採用情報では、事務官(共通)は主にハローワークで職業相談・職業紹介業務や雇用保険業務に就くと案内されています。
採用の入口は、人事院が実施する国家公務員採用一般職試験です。同じページには、試験に合格しただけでは採用にならず、志望する労働局を訪問して面接を受け、内定を得て採用に至ると書かれています。
社会人向けには、労働局が独自に実施する係長級の社会人選考採用試験等での採用実績もあると記載されています。募集の有無や時期は労働局ごとに違うため、志望する労働局の採用ページで確認してください。
相談員など非常勤の職で働く人も窓口にいます
窓口で相談に乗ってくれる人が、全員正規職員とは限りません。ハローワークでは職業相談員などの非常勤の職も募集されていて、ハローワーク自身の求人として求人検索に載っていることがあります。
非常勤の職は、任期や勤務時間、仕事の範囲が募集ごとに決まります。正規職員と同じ条件で長く働ける職と思い込まず、応募前に求人票の任期欄と更新の有無を確かめるのが安全です。
| 区分 | 正規職員(厚生労働事務官) | 非常勤の職(相談員など) |
|---|---|---|
| 採用の入口 | 国家公務員採用一般職試験と官庁訪問(労働局独自の係長級の社会人選考による採用実績もあり) | 募集ごとの選考 |
| 主な仕事 | 職業相談・職業紹介、雇用保険業務など | 募集要項に書かれた範囲 |
| 任期 | 定めなし | 募集ごとに示される |
利用者の立場で見れば、担当者の身分で相談の中身が決まるわけではありません。ただ、働く側で考えるなら、相談員などの非常勤の職も、国の非常勤官職に期間業務職員などとして任用される非常勤の国家公務員で、任期の定めのない正規職員とは雇われ方が違う点を押さえておく必要があります。
出典:e-Gov法令検索「人事院規則八―一二(職員の任免)」
市役所からハローワーク職員を目指す前の判断基準
私の判断基準は、辞めたい理由が「仕事の中身」にあるのか「公務員という働き方」にあるのかです。国の機関へ移っても異動や繁忙期はついて回るので、働き方そのものが合わない人の出口にはなりにくいです。
組織の動き方に疲れているなら、移っても同じ悩みが残りやすいはずです。
私は保険年金課で加入・喪失・給付の手続きを担当しました。制度を正確に説明して手続きを進める仕事の性質は、雇用保険の窓口にも通じるはずです。
反対に、窓口で人の暮らしを支える仕事は好きで、自治体の枠を出たいだけなら検討する価値はあります。公務員から公務員へ移る場合の考え方は、公務員から公務員へ転職するときの判断軸にまとめています。
ハローワークの公務員求人は任期と身分を先に確認
ハローワークで「公務員」と検索して出てくる求人には、会計年度任用職員や臨時的任用職員など、任期のある職が混ざっています。自治体の正規職員は職員採用試験を通して採用されるのが一般的なため、ハローワークの求人だけを見ていると選択肢を読み違えます。
会計年度任用職員の任期は、地方公務員法で採用日の属する会計年度の末日までが上限と決められています。市役所を辞めたあとのつなぎに使うかどうかは、任期の終わりと次の就職活動の時期が重なるかで私なら判断します。
公務員の求人には任期つきの職が混ざっています
ハローワークの求人検索で「市役所」「区役所」と入れると、事務補助や窓口業務の求人が見つかることがあります。求人票に会計年度任用職員、臨時的任用職員、任期付職員と書かれていれば、いずれも任期のある職です。
市役所に勤めていた私から見ると、名前に「職員」とあっても正規職員と同じ待遇とは限りません。給与や手当、休暇の扱いは自治体の条例や募集要項で決まるため、求人票で分からない点は窓口か募集元の自治体に確かめるのが確実です。
正規職員の中途採用は、社会人経験者を対象にした採用試験などで募集されることが多く、自治体の採用ページに載ります。両方を見比べておくと、求人の全体像を取り違えずに済みます。
会計年度任用職員の任期は年度末までが上限です
地方公務員法第22条の2第2項は、会計年度任用職員の任期を「採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内」で任命権者が定めると規定しています。たとえば10月に採用されれば、任期は最長でも翌年3月31日までです。
同じ条の第4項では、任期がこの期間に満たない場合、勤務実績を考慮して期間の範囲内で更新できるとしています。翌年度も働けるかは改めて採用されるかどうかの話になるので、扱いは募集元の自治体に確認してください。
採用の方法も、同じ条の第1項で競争試験または選考によると定められています。年度末で一度区切れる職だと理解したうえで応募すれば、あとから慌てずに済みます。
辞めた後のつなぎに使うかを決める元職員の判断基準
私は空白0日で民間企業へ移ったため、会計年度任用職員として働いた経験はありません。そのうえで、市役所を辞めたあと民間への転職準備のつなぎに使うなら、次の3点で判断します。
- 任期の終わりが、次の入社予定日や民間の選考が進む時期と重なるか
- 勤務時間の外で、面接や書類づくりの時間を確保できるか
- 元の職場と同じ役所で、同じ仕事に戻る形になっていないか
3つ目を入れたのは、慣れた職場に戻ると居心地のよさで次の一歩が遅れやすいと考えているからです。つなぎは期限つきの準備期間と割り切り、任期の終わりから逆算して転職活動の予定を組むのが私の答えです。
公務員の転職とハローワークのよくある質問
最後によくある疑問を4つまとめます。職場に知られないか、平日の日中しか使えないのか、オンラインだけで完結するのか、求人の質はどう見るのかの4点です。
いずれも事前に知っておけば、当日に迷いません。とくに公務員は「職場に知られたらどうしよう」で足が止まりがちですが、仕組みを知れば過度に恐れる必要はないと分かります。
前の章までで制度と手順は押さえたので、ここでは実際に動く前の細かい不安を消していきます。順番に答えます。
利用が職場に知られてしまうことはありますか
利用したことが職場へ通知される仕組みは、公式に案内されていません。ただし、庁舎の近くの窓口で顔見知りに会う可能性まではゼロにできません。
気になる場合は、勤務地から離れた窓口を選ぶか、オンライン中心で進めるのが無難です。
求職者情報の公開範囲はマイページで設定できるため、気になる場合は登録時に設定を確認してください。
平日の日中しか利用できないのでしょうか?
窓口の開庁時間は施設によって異なります。夜間や土曜に職業相談ができる窓口もあるため、一律には言えません。
自分が使う予定のハローワークについて、前掲の所在地情報のページから該当の窓口を開いて確認してください。
手続きはオンラインだけで完結できるのですか
求人検索と自主応募はオンラインで完結します。ただし前章のとおり、職員による紹介やおすすめ求人の受信を使いたい場合は、窓口での求職申込みが必要です。
「どこまでオンラインで済ませたいか」で、最初に選ぶ手続きが変わると考えてください。
情報収集だけならオンラインで十分です。応募まで進めて職員に間に入ってほしいなら、一度は窓口へ行く必要があります。
求人の質はどうやって見極めればいいですか
求人票だけで判断せず、気になる点は窓口で確認するのが基本です。募集の背景、離職状況、実際の労働時間など、書面から読み取りにくい点を質問できます。
まず求人票の就業時間、時間外労働、年間休日数、選考方法あたりを確認します。実際の残業時間や離職の状況など求人票から読み取れない点は、窓口を通じて確認できるか相談してみてください。
企業の見極め方そのものは、9項目のチェックリストにまとめた別記事があります。
(関連記事)公務員が転職でホワイト企業を見抜く方法|9項目チェックリスト
まとめ:無料の選択肢として持っておきたい
公務員でもハローワークは使えますし、在職中でも求職申込みができます。要点を整理します。
- 雇用保険に入っていなくても職業紹介のサービスは利用できます
- 在職中にできないのは失業給付の申請と、退職者限定の求人への応募だけです
- できることは求人検索・マイページ・職業相談・書類の相談・訓練情報の5つです
- 求人は地元中小企業が中心で、ハイクラスや大手の案件は少ない傾向があります
- オンライン自主応募は職業紹介として扱われず、紹介状は発行されません
- 選考支援を厚く受けたいなら、エージェントとの併用が現実的です
今日できる一歩は、求人検索を眺めてみることか、所在地情報のページから自分の管轄のハローワークを調べて開庁時間を確認することです。
制度の運用や求人の状況は時期によって変わるため、迷うときは窓口や公式サイトで確認しながら進めてください。
疑問があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。実体験の範囲で、判断材料をお返しします。


