公務員から転職して幸せになれた?市役所15年・2回転職した私の答え

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転職を考えているあなたは、今こんな気持ちではないでしょうか。

「公務員を辞めたら、本当に幸せになれるんだろうか」

「転職した人たちは後悔していないのか」

「自分には民間で通用するスキルなんてない気がする」

この問いに対する答えは、「なれます」でも「なれません」でもありません。「何を幸せと定義するか」によって、結論はまったく変わるのです。

私は市役所に15年勤めた後、35歳でIT企業へ転職しました。最初の転職で年収は約200万円ダウン。住宅ローンと3歳の子どもを抱えながらの決断でした。その後、1社目を6ヶ月で退職し、2社目に転職。現在は在宅勤務のWebマーケターとして働いています。

この記事では、その経緯をすべてお話しした上で、「転職して幸せになれるかどうか」をあなた自身が判断するための材料を、できる限り正直にお渡しします。

転職を煽るつもりも、引き止めるつもりもありません。ただ、同じ悩みを抱えていたかつての自分に伝えたかったことを、すべて書きます。

  1. この記事を書いている私のこと【市役所15年→2回の転職→在宅Webマーケター】
    1. 35歳・住宅ローン・3歳の子ども。それでも転職を決めた、たった1つの理由
    2. 1社目で年収200万ダウン。6ヶ月で辞めた。2社目でようやく「辞めてよかった」と思えた
  2. 「転職して幸せになれますか?」という問い自体が、ズレているかもしれない
    1. 「年収・安定・社会的信用」が幸せの軸の人|転職は本当に必要か?
    2. 「自由・成長・自分の名前での評価」が幸せの軸の人|転職しないリスクがある
    3. 私が15年間気づかなかった「自分の幸せの軸」を言語化できた瞬間の話
    4. ①保育園の送り迎えを自分でできるようになった。「父親としての時間」の変化
    5. ②「組織の看板」から「個人のスキル」へ。積み上がる安心感の種類が変わった
    6. ③副業OKで収入の選択肢が生まれた|公務員時代には考えられなかった感覚
    7. ④市民対応のストレスが消えた。「怒られること」が仕事でなくなった日
  3. 転職して失ったもの・後悔したこと
    1. 「公務員の肩書」が消えた瞬間、親戚の目も・ローン審査への不安も変わった
    2. 年収200万ダウンの1年目|毎月の家計簿を見るたびに胃が痛かった話
    3. 1社目で6ヶ月で辞めた。「失敗」と呼ぶか「授業料」と呼ぶかで、その後が変わる
  4. 1社目を6ヶ月で辞めた私が、2社目の転職先を選ぶ際に変えた3つの基準
    1. 「未経験歓迎」の求人を信じすぎた1社目。入社してから気づいた落とし穴
    2. 2社目の会社選びで私が面接中に必ず確認した3つの質問
    3. 「副業OK・在宅勤務可」を条件に加えただけで、選択肢の質がまるで変わった
  5. 転職して「幸せになった人」と「後悔した人」の分かれ目
    1. 幸せになった人の共通点——「逃げ場を求めた転職」ではなく「向かう先が見えていた転職」
    2. 後悔した人の共通点|1社目の私自身を含む「感情が先行した転職」の末路
    3. 「幸せかどうか」は転職後1年たってから初めて判断できる、という話
    4. 転職を真剣に検討してよいサイン5つ|不満の「原因の在り処」で見極める
    5. 今は転職より現職で動いた方がいいサイン5つ|「逃げ転職」になっていないか
    6. 「辞めるか・残るか」の前に、まず「転職活動だけ」を始めてみる
  6. 家族への説得と「お金の現実」——妻が嫌な顔ひとつせず背中を押してくれた理由
    1. 妻に転職を切り出した夜の話|「数字で話した」から、感情論にならなかった
    2. 「年収550万の公務員」と「年収350万の民間」|手取りで比較すると現実が変わる
    3. 副業が解禁されたことで生まれた「もう一本の収入軸」の現実的な試算
  7. 公務員から転職するための実践ステップ
    1. ステップ①:「なぜ辞めたいか」より先に「何があれば転職しなくていいか」を書く
    2. ステップ②:公務員経験を「業務の説明」ではなく「成果の記述」で書く職務経歴書
    3. ステップ③:転職エージェントは2〜3社に登録して「相性」で選ぶ
    4. ステップ④:「なぜ安定した公務員を辞めるのか」|面接で必ず来る質問への答え方
  8. よくある質問——元市役所職員が経験者として答える
    1. 公務員は失業保険がもらえない|退職金は?
    2. 30代後半・未経験での転職は現実的か?「ギリギリだった」と感じた理由
    3. 転職活動は在職中にバレない?私が実践した3つの注意点
    4. 公務員からの転職先でリアルに感じた「向いている職種」と「向かなかった職種」
    5. 資格取得を転職の条件にすると、「また先延ばし」になる理由

この記事を書いている私のこと【市役所15年→2回の転職→在宅Webマーケター】

まず、この記事を書いている私がどんな経歴を持つ人間なのかをお伝えします。体験談の信頼性は、書いている人間の素性と切り離せません。

35歳・住宅ローン・3歳の子ども。それでも転職を決めた、たった1つの理由

転職を考え始めてから、実際に動き出すまでに時間がかかりました。35歳という年齢、2年前に組んだ35年の住宅ローン、3歳の子ども、パート勤務の妻。現実的なリスクを考えると、踏み出せない理由はいくらでも思い浮かびました。

それでも転職を決意したのは、「このまま40代を迎えたら、もう動けなくなる」という焦りが限界を超えたからです。定年まで働き続けることはできる。ですが、そのゴールにたどり着いた時、「よく頑張った」と思える自信はまったく持てませんでした。

決め手になったのは、3歳の子どもに「お父さんのお仕事って何してるの?」と聞かれた時に、誇らしげに答えられなかった自分に気づいた瞬間でした。家族のために辞められないと思っていたのに、家族がいるからこそ、胸を張れる働き方をしたいと思えた。この気づきが、背中を押してくれました。

1社目で年収200万ダウン。6ヶ月で辞めた。2社目でようやく「辞めてよかった」と思えた

転職した1社目はIT企業の事務職兼カスタマーサポートでした。年収は約200万円ダウン。ボーナスはほぼなく、各種手当も激減。手取りは月々で見ると目に見えて少なくなり、毎月の家計簿を見るたびに胃がキリキリしました。

仕事のスピード感にも苦しみました。市役所では「ミスなく、丁寧に」が正義でしたが、民間では「7割の完成度でいいから速く回せ」が求められます。このギャップに適応できず、6ヶ月で退職する決断をしました。

2社目でWebマーケターとして転職してから、ようやく「前の会社を辞めてよかった」と思えるようになりました。在宅勤務が可能になり、子どもの保育園の送り迎えをでき、家族との時間も格段に増えました。この記事は現在の自分を振り返りながら書いています。

「転職して幸せになれますか?」という問い自体が、ズレているかもしれない

「幸せになれますか?」という問いへの答えを探す前に、まず確認したいことがあります。あなたが「幸せ」と呼んでいるものの中身を、一度解体して考えてみてほしいのです。

「年収・安定・社会的信用」が幸せの軸の人|転職は本当に必要か?

「安定した収入があれば幸せ」「社会的に認められていれば満足」という価値観を持っている人にとって、公務員という環境はある意味で最適解に近いかもしれません。

年功序列で毎年昇給し、ボーナスは確実に出る。住宅ローンの審査は圧倒的に通りやすく、親戚の集まりで職業を聞かれても胸を張れる。これらは、公務員を続ける限り保障され続けるものです。

もしあなたが「今の不満は特定の上司や部署への不満であり、異動さえすれば解決する」と感じているなら、転職より先に異動を待つという選択肢も十分に合理的です。公務員という制度の外に出ることが、必ずしもあなたの幸せにつながるとは限りません。

「自由・成長・自分の名前での評価」が幸せの軸の人|転職しないリスクがある

一方、「自分の頑張りが正当に評価されたい」「組織の看板ではなく、個人の力で稼げる人間になりたい」「働く時間や場所を自分でコントロールしたい」という価値観を持っている人にとっては、公務員という環境が最大の足かせになっている可能性があります。

頑張っても頑張らなくても給与はほぼ変わらない。副業は原則禁止。異動のたびにリセットされるキャリア。これらが「自分の幸せの軸」と真逆の方向を向いているなら、転職しないことのリスクは、転職することのリスクと同じくらい大きいのです。

私が15年間気づかなかった「自分の幸せの軸」を言語化できた瞬間の話

私自身、在職中の15年間、「自分は何を幸せと思っているのか」を真剣に考えたことがありませんでした。「公務員は安定しているから幸せなはず」という前提を、疑うことすらしていなかったのです。

自分の幸せの軸を言語化できたのは、皮肉なことに、転職活動で「なぜ辞めたいのですか?」と問われ続けた時でした。答えを絞り出す中で、「評価されたい」「自分のスキルで稼ぎたい」「家族と過ごす時間を自分でコントロールしたい」という言葉が、初めて自分の口から出てきました。

「幸せになれますか?」という問いへの答えを探す前に、「自分にとっての幸せとは何か」を言語化する作業が先です。この順番を間違えると、転職しても、転職しなくても、どちらに転んでもモヤモヤが晴れないまま終わります。

市役所を辞めて「よかった」と今も思うこと4つ【実体験ベース】

幸せの軸の話を踏まえた上で、私が実際に「転職してよかった」と感じていることをお伝えします。美化するつもりはありません。あくまで、自分が経験した範囲での話です。

①保育園の送り迎えを自分でできるようになった。「父親としての時間」の変化

在宅勤務になって最初に気づいたのは、通勤時間がゼロになったことではなく、「子どもを保育園に送り出す時間ができた」という変化でした。

市役所時代の繁忙期は、子どもが起きる前に家を出て、子どもが寝た後に帰る日が続くことがありました。週に何日も、子どもの顔をまともに見られない。それが当たり前になっていた。

今は保育園への送り迎えができるようになりました。子どもと手をつないで歩いているこの時間が何よりも幸せで、「父親としての時間」を、自分でコントロールできるようになったことの価値は、年収という数字には換算できません。

②「組織の看板」から「個人のスキル」へ。積み上がる安心感の種類が変わった

市役所に在職中、常に頭の片隅にあった不安がありました。「この組織を出たら、自分には何も残らないのではないか」という感覚です。

転職してから数年が経った今、転職サイトに登録しているとスカウトメールが届くようになりました。「自分の名前と経験で、別の会社からも声がかかる」という事実が、組織への依存とは別の種類の安心感を生んでいます。

公務員時代の安定は「組織が守ってくれる安心感」でした。今感じているのは「自分のスキルが市場に評価される安心感」です。どちらが正しいということはありませんが、私にとっては後者の方が、腑に落ちる形の安定感でした。

③副業OKで収入の選択肢が生まれた|公務員時代には考えられなかった感覚

公務員は原則として副業が禁止されています。収入の柱は基本給とボーナスのみ。どれだけ頑張っても、収入の上限は制度的に決まっている。

転職後は副業が解禁され、空いた時間に別の収入源を作れるようになりました。「本業で学んだスキルを、副業で試してみる」という動き方は、公務員時代には構造的に不可能でした。

収入が増えたという面だけでなく、「自分のスキルで稼げる」という精神的な余裕は、想像以上に大きいものがあります。

④市民対応のストレスが消えた。「怒られること」が仕事でなくなった日

公務員として窓口業務を経験された方であれば、共感してもらえると思います。理不尽なクレームへの対応は、心身を確実に削っていきます。怒鳴られる。罵倒される。それでも笑顔で対応しなければならない。

2社目のWebマーケターになってからも、もちろん仕事上での摩擦はゼロではありません。ですが、「構造的に怒られることが組み込まれた仕事」から解放された時の感覚は、転職してよかったと思う場面の一つです。

転職して失ったもの・後悔したこと

よかったことばかり書いても誠実ではありません。転職によって失ったもの、正直に後悔している部分もお伝えします。

「公務員の肩書」が消えた瞬間、親戚の目も・ローン審査への不安も変わった

転職後しばらくして、親戚の集まりに参加する機会がありました。「今は何をしているの?」と聞かれて「IT企業で…」と答えた時の空気の変化を、今でも覚えています。「市役所の職員」だった頃とは、明らかに反応が違いました。

これは実害というより、アイデンティティの揺らぎに近い感覚です。15年間、「市役所の〇〇さん」として存在していた自分が、その看板を外した途端に「何者でもない自分」に戻る。このじわじわとした喪失感は、転職前にはまったく予測できていませんでした。

また、住宅ローンを既に組んでいたので審査の問題は発生しませんでしたが、「転職後にローンを組む場合はどうなるのか」という不安は、正直、今もあります。

年収200万ダウンの1年目|毎月の家計簿を見るたびに胃が痛かった話

1社目の年収ダウンは約200万円。頭では分かっていたつもりでしたが、毎月の家計簿をつける現実は想像より遥かにキツかった。住宅ローンの支払いは変わらない。子どもの保育料も変わらない。入ってくるお金だけが確実に減っていく。

口座残高が月を追うごとに減っていく様子を見ながら、「本当にこれでよかったのか」と自問する夜が、何度もありました。「転職してよかった」とすら言える余裕がない時期が、確実に存在しました。

この1年目の苦しさは、転職を検討している方に対して正直に伝えなければならないと思っています。精神論では乗り越えられない現実があります。

1社目で6ヶ月で辞めた。「失敗」と呼ぶか「授業料」と呼ぶかで、その後が変わる

1社目を6ヶ月で辞めた時、「公務員を辞めたのに、自分は何をしているんだ」「またゼロからのスタートか」という敗北感がありました。市役所を辞めてまで来たのに、また転職活動をしなければならないその事実は、精神的にかなり重くのしかかりました。

ですが今振り返ると、1社目での6ヶ月間がなければ、2社目の転職先をうまく選べなかったと確信しています。「民間企業で働くとはどういうことか」を身をもって理解し、「自分が本当に求めている仕事の条件」を具体化できたのは、あの6ヶ月のおかげでした。

「失敗」と呼ぶか「授業料」と呼ぶかは、その後の行動次第です。ただ、その授業料は精神的にも金銭的にも、決して安くはありませんでした。

1社目を6ヶ月で辞めた私が、2社目の転職先を選ぶ際に変えた3つの基準

1社目のミスマッチを経験したからこそ、見えてきたことがあります。このパートは、2回転職した私にしか書けない内容です。

「未経験歓迎」の求人を信じすぎた1社目。入社してから気づいた落とし穴

1社目の求人票には「未経験歓迎」と書いてありました。

ですが入社してみると、実態は「未経験でも採用するが、即戦力として機能することを前提とした環境」でした。研修期間はほぼなく、試行錯誤しながら覚えることを良しとする文化。公務員の「ミスなく確実に」という思考回路のまま飛び込んだ私には、そのスピード感に全くついていけませんでした。

「未経験歓迎」という言葉は、「未経験でも採用する」という意味であり、「未経験者が働きやすい環境を整えている」という意味ではありません。この違いを、入社後に気づいても遅いのです。

2社目の会社選びで私が面接中に必ず確認した3つの質問

1社目の反省を踏まえ、2社目の面接では必ず3つの質問をするようにしました。

1つ目は「入社後の最初の3ヶ月間、どのような業務からスタートするのか」という質問です。具体的な答えが返ってくる会社は、受け入れ体制が整っている可能性が高いですが、「まずは現場で慣れてもらう」という曖昧な答えしか返ってこない場合は注意が必要です。

2つ目は「現在、リモートワークはどの程度活用されているか」という質問です。制度として存在しているかどうかではなく、実態として使われているかどうかを確認することが大切です。

3つ目は「この職種での副業は認められているか」という質問です。将来的な収入の多様化を考えると、副業の可否は転職先選びの重要な条件になります。

(関連記事)市役所→IT→Webマーケ、2回転職の年収変遷

「副業OK・在宅勤務可」を条件に加えただけで、選択肢の質がまるで変わった

1社目の転職活動では、「公務員経験者を採用してくれる会社」という消極的な軸で求人を探していました。2社目では「副業OK・在宅勤務可」を必須条件に加えました。

この条件で絞り込んだことで、母数はかなり減りました。ですが、残った選択肢の質は明らかに上がりました。副業と在宅勤務を制度として認めている会社は、働き方に対して柔軟な考えを持っていることが多く、入社後の環境適応もスムーズでした。

「どこでもいいから採用してもらいたい」という姿勢で探すのと、「自分の条件に合う会社を探す」という姿勢で探すのとでは、結果が大きく変わります。

前者は1社目の失敗、後者は2社目の成功につながった体験と言えます。

転職して「幸せになった人」と「後悔した人」の分かれ目

私自身の経験だけでなく、転職活動中や現職での交流から感じてきたことも踏まえ、「幸せになった人」と「後悔した人」の分かれ目について考えてみます。

幸せになった人の共通点——「逃げ場を求めた転職」ではなく「向かう先が見えていた転職」

転職後に「よかった」と感じている人に共通しているのは、転職する前に「転職先で何をしたいのか」が、ある程度言語化できていたことです。

「今の職場から逃げ出したい」という感情は、転職のきっかけになります。ですが、それだけでは転職先でも同じ苦しさが形を変えて現れることが多いので、「逃げた先でまた逃げたくなる」というサイクルに陥る可能性があります。

「市民対応のストレスから解放されたい」だけでなく、「自分の成果が見える仕事がしたい」「子どもと過ごす時間を確保できる働き方がしたい」など、「向かう先」が見えていた人ほど、転職後に幸せを感じる確率が高いように思います。

(関連記事)転職してよかったと断言できる3つの理由

後悔した人の共通点|1社目の私自身を含む「感情が先行した転職」の末路

後悔した人の話を聞くと、「辞めたい気持ちが頂点に達した時に、最初に内定が出た会社に入った」というパターンが多いように思います。私の1社目も、まさにそうでした。

感情がピークに達した状態での判断は、冷静さを欠きます。「とにかく今の職場から離れたい」という一点に引っ張られて、転職先の条件を冷静に精査できなかった。その結果、6ヶ月でまた転職活動をすることになりました。

転職を決意してから、実際に入社するまでの期間に「この会社で本当に自分の求めていることが実現できるか」を何度も問い直す時間を持てるかどうかが、後悔するかどうかの分岐点になります。

「幸せかどうか」は転職後1年たってから初めて判断できる、という話

転職直後は、誰でも「本当によかったのか」と不安になります。逆に、転職直後の高揚感で「最高だ!」と感じることもあります。ですが、どちらの感情も一時的なものです。

私が「転職してよかった」と腹の底から思えるようになったのは、2社目に転職して1年以上が経ってからでした。1社目のミスマッチを経験し、2社目で軌道に乗り始め、副業の収入も少しずつ増えてきました。その地点に立って初めて、「あの時の決断は正しかった」と言える実感が生まれました。

転職した直後に「失敗だった」と感じても、それがそのまま最終的な評価にはなりません。反対に、転職直後に「大成功だ」と感じても、数年後に見え方が変わることもあります。1年という時間軸で判断する余裕を、最初から持っておくことが大切です。

あなたは転職すべき?今は残るべき?自己診断チェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、「自分の場合はどうなのか」を整理するためのチェックリストをお渡しします。

転職を真剣に検討してよいサイン5つ|不満の「原因の在り処」で見極める

以下に3つ以上当てはまるなら、まず転職活動だけでも始めてみる価値はあると思います。チェックの際は「特定の上司や部署への不満か」「公務員という働き方そのものへの不満か」を意識してみてください。後者であれば、異動では解決しません。

  • 不満の原因が「特定の人や部署」ではなく「公務員という構造そのもの」にある
  • キャリアの延長線上を想像した時に、希望よりも閉塞感の方が大きい
  • 「組織の看板ではなく、自分の名前で評価される環境」を強く求めている
  • 年収が1〜2年程度ダウンしても、家計的に耐えられる、または耐えられる見通しが立てられる
  • 転職活動そのもの(情報収集・エージェントへの登録)に、大きな心理的抵抗がない

今は転職より現職で動いた方がいいサイン5つ|「逃げ転職」になっていないか

逆に、以下に3つ以上当てはまるなら、今は無理に動かず「現在の環境の中でできることを探す」方が賢明かもしれません。

  • 今の不満が「次の異動」で解決する可能性が十分にある
  • 「なぜ辞めたいのか」を具体的に言語化しようとすると、「なんとなく嫌」止まりになる
  • 住宅ローンや教育費の支出が大きく、年収ダウンに1年も耐えられる自信がない
  • 安定した給与・福利厚生に対して、本音では満足している部分が大きい
  • 「公務員以外でやりたいこと」が、具体的なイメージとしてまだ見えていない

「辞めるか・残るか」の前に、まず「転職活動だけ」を始めてみる

ここで最も伝えたいのは、「転職活動」と「転職」はまったく別物だということです。

転職活動は在職中にできます。お金もかかりません。エージェントに登録して、自分の経歴でどんな求人が出てくるかを見てみる。面接を受けてみる。それだけです。

内定が出た後に「辞めるか残るか」を決めればいい。内定が一つも出なければ「今は公務員を続けることが最善の選択肢だった」と、納得した上で残ればいい。

「転職活動をした結果、公務員を続ける」という選択は、何も調べずに「やっぱり辞めない」と決めるのとは、まったく意味が違います。外を見た上で選んだ「残る」は、迷い続けた末の「残る」より、ずっと価値があります。

(関連記事)転職後に後悔した瞬間と後悔しない人の特徴

家族への説得と「お金の現実」——妻が嫌な顔ひとつせず背中を押してくれた理由

住宅ローンと小さな子どもを抱えた状態で転職を考える時、最大の壁はパートナーへの説得です。私は今でも、妻が背中を押してくれたことに感謝しています。なぜ妻は反対しなかったのか。その理由を正直にお話しします。

妻に転職を切り出した夜の話|「数字で話した」から、感情論にならなかった

妻に転職の意思を初めて伝えた夜のことは、今でもよく覚えています。「辞めたい」ではなく「辞めることを考えている。数字でまとめた」という入り方をしました。

感情論で「やりたいことがある」「このままでは息が詰まる」と話しても、住宅ローンを抱えたパートナーの不安は解消されません。パートナーが心配しているのは「生活がどうなるのか」という具体的な問題です。

私が用意したのは、転職後の想定手取り、生活費の見直し後の収支シミュレーション、緊急時に使える貯蓄額の確認、そして副業解禁後の収入見込みでした。「情熱」ではなく「計画」で話す。これが、感情論にならなかった理由だと思っています。

「年収550万の公務員」と「年収350万の民間」|手取りで比較すると現実が変わる

公務員の年収は、額面に表れない恩恵が多く含まれています。共済組合の保険料率は民間の社会保険よりも有利な場合があり、地域手当・扶養手当・住居手当といった各種手当も手厚い。退職手当の積み立ても、在職中は見えにくい「隠れた収入」です。

たとえば「年収550万円の公務員」と「年収350万円の民間企業」を額面だけで比較すると、200万円の差に見えます。ですが手取りベースで、社会保険料の違いや各種手当の有無を考慮すると、実際の差はもっとある可能性が十分あります。

転職先の年収を検討する際は、必ず「手取り換算」で比較することをおすすめします。額面の数字だけで判断すると、転職後の生活実態とのギャップに苦しむことになります。

副業が解禁されたことで生まれた「もう一本の収入軸」の現実的な試算

私が転職先を選ぶ際に「副業OK」を外せない条件とした最大の理由は、年収ダウンを副業でカバーできる可能性があるからでした。

公務員時代に培った文書作成力・事務処理能力・情報整理能力は、Webライティングや資料作成代行といった副業に活かしやすいスキルです。週末や業務時間外の数時間を使うだけで、月3〜5万円程度の副業収入を作ることは現実的な目標として設定できます。

月3万円の副業収入があれば、年間36万円。5万円なら年間60万円。年収ダウン分の一部を、このような形でカバーするという考え方は、転職前の家計シミュレーションに組み込む価値があります。ただし、副業収入はすぐに安定するものではないため、あくまで「軌道に乗るまでの余裕を作っておく」という位置づけが現実的です。

公務員から転職するための実践ステップ

「では、実際に何から始めればいいのか」を整理します。

ステップ①:「なぜ辞めたいか」より先に「何があれば転職しなくていいか」を書く

転職活動の最初の一歩は、エージェントへの登録でも求人検索でもありません。まず白い紙を1枚用意して、「何があれば今の職場を辞めずに済むか」を書き出してみてください。

「残業がなければ続けられる」「市民対応から外れる部署に異動できれば続けられる」「副業が認められれば続けられる」——そのリストを見て、「これは異動や制度変更で実現できる可能性がある」ものと「公務員である限り構造的に変わらない」ものに分類します。

後者が多ければ多いほど、転職の必要性は高い。前者が多ければ、まず異動や制度の活用を試みる余地があります。「辞めたい理由」ではなく「辞めなくていい条件」から逆算することで、転職が本当に必要かどうかが見えてきます。

ステップ②:公務員経験を「業務の説明」ではなく「成果の記述」で書く職務経歴書

多くの公務員が書く職務経歴書は「〇〇課にて窓口業務を担当しました」「予算管理に従事しました」という業務の説明で終わっています。これでは民間企業の採用担当者には響きません。

民間企業が求めているのは「課題に対して何をし、どんな結果につなげたか」という記述です。たとえば「年間〇〇件のクレーム対応を通じて、対応フローのマニュアルを整備し、処理時間の短縮に貢献した」こう書くだけで印象は大きく変わります。嘘をつく必要はまったくありません。視点と言葉を変えるだけです。

ステップ③:転職エージェントは2〜3社に登録して「相性」で選ぶ

転職エージェントは1社に絞る必要はありません。2〜3社に同時登録して、担当者との相性を比較することをおすすめします。

大切なのは、「公務員の経験を正当に評価してくれるかどうか」です。「公務員からの転職はちょっと難しいですね」と最初から消極的な担当者に当たった場合は、遠慮なく担当者変更を申し出るか、別のエージェントに切り替えてください。あなたの経験を民間企業に向けて正しく伝えてくれる担当者を見つけることが、転職活動の成否に大きく影響します。

ステップ④:「なぜ安定した公務員を辞めるのか」|面接で必ず来る質問への答え方

面接では高い確率で「なぜ安定している公務員を辞めるのですか?」という質問が来ます。ここで「人間関係がつらかった」「閉塞感があった」とネガティブな理由をそのまま述べるのは得策ではありません。

嘘をつく必要はありませんが、ポジティブな表現に転換する準備は必要です。たとえば「公務員として培った情報整理力や住民への説明力を活かしつつ、成果が数字で見える環境で働きたいと考えました」という形です。「今の環境から逃げた」ではなく、「次の環境に向かった」という前向きな表現を意識しましょう。

よくある質問——元市役所職員が経験者として答える

実際によく聞かれる質問に、経験者としてお答えします。

公務員は失業保険がもらえない|退職金は?

公務員は雇用保険に加入していないため、退職後に失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取ることはできません。ただし、退職手当(いわゆる退職金)が、一定程度その代替的な役割を果たす仕組みになっています。

退職手当の金額は、勤続年数・退職理由(自己都合か否か)・給料月額などによって算出されます。一般的に自己都合退職は定年退職と比べて支給率が低くなります。具体的な金額は自治体ごとに条例で定められているため、在職中に人事課や共済組合に確認しておくことをおすすめします。また、在職中に転職先を決めてしまえば、失業状態が生じないため、この問題は実質的に発生しません。

30代後半・未経験での転職は現実的か?「ギリギリだった」と感じた理由

可能ですが、選べる職種と採用してくれる企業の幅は、20代や30代前半に比べて確実に狭まります。私自身は35歳での転職でしたが、体感としては「ギリギリのタイミングだった」と感じています。

30代半ばまでは「ポテンシャル採用」として未経験者を受け入れる枠がある企業も見つかりますが、30代後半になるとそのハードルは上がります。動くなら早い方がいいという判断は、私の経験から見ても正直なところです。

ただし、何歳であれ「何もしないまま悩み続けること」より、まず転職活動だけでも始めてみることの方が、現状を変えるきっかけになります。

転職活動は在職中にバレない?私が実践した3つの注意点

注意すれば、基本的にバレません。私が意識していたのは次の3点です。

  1. 面接の日程調整に有給休暇を活用し、まとめて取りすぎないよう分散させること。
  2. SNSへ転職活動に関する投稿を一切しないようにすること
  3. 転職エージェント経由で応募することで、現在の勤務先が企業側に伝わるタイミングを自分でコントロールすることです。

公務員からの転職先でリアルに感じた「向いている職種」と「向かなかった職種」

私の経験から言うと、1社目のカスタマーサポート業務は「向かなかった職種」でした。窓口での住民対応で鍛えたクレーム対応力は通用しましたが、民間のサービス業独特のスピード感と、数字による評価文化への適応が苦しかったです。

2社目のWebマーケター職は「向いていた職種」でした。市役所で培った「複雑な情報を分かりやすく整理する力」「正確な文章を素早く書く力」が直接活きる場面が多く、公務員経験との相性を感じられました。

一般論として、公務員経験との親和性が高いとされる職種は、総務・人事・経理などの管理系職種や、IT企業の管理部門、カスタマーサポートなどです。ただし、自分に合うかどうかは実際に試してみるまで分かりません。

資格取得を転職の条件にすると、「また先延ばし」になる理由

「まず資格を取ってから転職しよう」と考える気持ちはよく分かります。準備が整ってから動きたい、というのは真面目な人ほど陥りやすい思考パターンです。

ですが現実的には、「資格を取ったら転職しよう」は、転職が先延ばしになってしまいやすいです。転職市場で最も評価されるのは資格よりも実務経験なので、よく転職に有効と言われるITパスポートや簿記2級などは「基礎知識がある」ことの証明にはなりますが、それらにより採用の可否が大きく変わることはないでしょう。

資格取得と転職活動は、並行して進めることをおすすめします。資格取得を「転職の条件」にした瞬間、転職活動の開始が資格合格の日まで自動的に後ろ倒しになります。

まとめ|「公務員を辞めて幸せか」という問いへの、私なりの答え

あらためて正直に答えます。私は、公務員を辞めて幸せになりました。ただし、それはすぐには分からなかった。1社目で年収が200万円落ち、6ヶ月で辞めて、また転職活動をして、2社目で軌道に乗るまで、「幸せになれた」と腹の底から言えるまでに時間がかかりました。

ですが「自分の幸せの軸を持ったまま、自分の足で立って働いている」という今の感覚は、市役所にいた頃には得られなかったものでした。

2回転職した経験から断言できることが一つあります。

「転職」にはリスクがありますが、「転職活動」にはリスクがない。

もし今、「このままでいいのだろうか」という問いが頭の中にあるなら、その問いを無視しないでください。まずは転職サイトに登録し、自分の経歴でどんな求人が届くかを見てください。それだけで構いません。

外を見た上で「やっぱり今の環境が自分には最善だ」と思えたなら、それは悩み続けた末の「残る」より、ずっと清々しい結論です。「もっと先を見てみたい」と思えたなら、その時は一歩だけ踏み出してみてください。

「公務員を辞めて幸せになれるか」その問いへの答えは、外を見た後にしか分かりません。

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元公務員 Webマーケター
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元公務員Webマーケター
大阪府の某市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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