公務員を転職したら退職金はいくら?勤続15年が実際に計算してみた

公務員を転職したら退職金はいくら?勤続15年が実際に計算してみた お金・家族・将来

「今辞めたら退職金が損になるんじゃないか」

転職を考えるたびに、この問いが頭をよぎる人は多いのではないでしょうか。私もそうでした。市役所に15年勤めて、ようやく転職を決意しようとしたとき、最後まで心に引っかかったのが退職金のことでした。

定年まで続ければ2,000万円以上もらえるという話を聞いたことがある。でも今辞めたらいくらになるのか。計算の仕方さえわからないまま、「何となく損な気がする」と思い込んでいる方が多いのではないでしょうか。

この記事では、元市役所職員である私が、自身の退職時に実際に計算した方法と結果をもとに、公務員を途中退職した場合の退職金(退職手当)の現実的な金額をお伝えします。さらに「もったいない」という感覚が本当に正しいのかどうか、お金の視点で一緒に考えていきます。

市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。年収200万円ダウン、1社目6ヶ月退職を経て、現在は在宅Webマーケターとして勤務しています。公務員時代の経験と2回の転職体験をもとに、同じ悩みを持つ方へ判断材料をお届けしています。

当ブログでは、公務員からの転職に関する体験談や実践的な情報を発信しています。ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。


  1. 結論:公務員を途中退職した場合の退職金は「思ったより少ない」が「ゼロではない」
    1. 定年まで待てば2,000万円超。でもその比較には落とし穴がある
  2. 公務員の退職金(退職手当)の計算式を3分で理解する
    1. 退職金の計算式「俸給月額 × 支給率 + 調整額」
    2. 支給率は「退職事由」と「勤続年数」で決まる
    3. 自己都合退職の支給率目安(勤続年数別)
  3. 【実際に計算】勤続15年の地方公務員が今辞めたら退職金はいくら?
    1. 計算の前提条件
    2. 計算してみた結果
    3. 定年まで待った場合との比較(「20年の壁」)
    4. 「勤続20年の壁」なぜ20年で退職金が急増するのか
  4. 退職金にかかる税金と「退職所得控除」の仕組み
    1. 退職所得控除の計算式
    2. 実際の税負担(勤続15年・退職金330万円の場合)
    3. 退職金を受け取ったあとの活用の考え方
  5. 転職のタイミングと退職金:「もったいない」は本当か?
    1. 私が15年で退職を決めた理由(体験談)
    2. 「5年待てば退職金が500万増える」の反論
    3. 「5年待つ」という選択肢の隠れたコスト
    4. 退職金より「転職後の年収回復曲線」で判断する視点
  6. 退職金が少ない場合の3つのリスクと対処策
    1. リスク①:転職後の年収ダウン期間の生活費不足
    2. リスク②:住宅ローンがある場合の注意点
    3. リスク③:退職後の社会保険の空白期間
  7. 早期退職制度・定年延長で退職金はどう変わるか
    1. 早期退職制度を使うと退職金は増える
    2. 定年延長で退職金が実質的に減少するケース
    3. 転職を考えている公務員が定年延長制度を知っておくべき理由
  8. 公務員の退職金は民間企業と比べて多いのか?
    1. 民間企業の退職金の実態
    2. 退職金制度の「ある・なし」問題
    3. 「公務員の退職金がもったいない」という感覚を整理する
  9. 公務員の退職金と転職に関するよくある質問Q&A
    1. Q1. 退職金はいつ振り込まれますか?
    2. Q2. 公務員を退職した後、失業保険(雇用保険)は使えますか?
    3. Q3. 転職先の退職金制度と合算することはできますか?
    4. Q4. 退職金が少ないと住宅ローン審査に影響しますか?
  10. まとめ:退職金の計算は「転職するかどうか」を決める一要素に過ぎない

結論:公務員を途中退職した場合の退職金は「思ったより少ない」が「ゼロではない」

結論から先にお伝えします。自己都合退職(普通退職)の場合、退職金は定年退職の場合と比較して大幅に少なくなります。

「大幅」という言葉を使うのには理由があります。地方公務員・一般行政職・自己都合退職という条件でざっくりとした目安を示すと以下のようになります。

勤続年数 退職金の概算(自己都合)
10年 約180〜250万円
15年 約300〜450万円
20年 約750〜950万円
25年 約1,000〜1,200万円
定年(38年前後) 約2,000万円超

※地方公務員の退職手当は自治体ごとの条例で決まるため、上記は目安です。国家公務員の支給率に準じる自治体が多いですが、差があります。

正確な金額は所属自治体の退職手当条例と給料表で確認することをおすすめします。不明な場合は人事担当部署に問い合わせると概算を教えてもらえるケースが多いです。

この数字を見て「やっぱり損だ」と感じる方もいるでしょう。ですが、私はこの表をそのまま鵜呑みにしてほしくありません。退職金は転職判断の「一要素」であり、この金額だけで決断するのは危険です。その理由は後ほど詳しく説明します。

定年まで待てば2,000万円超。でもその比較には落とし穴がある

「今辞めれば450万円、定年まで待てば2,000万円」ですが、こう書くと、誰もが「絶対に待った方がいい」と思うでしょう。ですが、この比較には2つの大きな落とし穴があります。

落とし穴①:「今辞めた場合」と「定年まで待った場合」を同じ土俵で比べていない

今辞めたとして、その後の25年間で転職先でどれだけ稼げるか、という視点が抜けています。転職によって年収が回復・向上するなら、トータルの生涯収入はむしろ増える可能性があります。

落とし穴②:定年延長による退職金の変化を織り込んでいない

近年、公務員の定年は段階的に65歳へと延長されています。この影響で退職金の計算も変わりつつあります。詳しくは後述しますが、「定年まで待てば確実に2,000万円」という前提は、今や崩れてきています。


公務員の退職金(退職手当)の計算式を3分で理解する

退職金の話を正確に理解するために、まず計算式を押さえておきましょう。難しく見えますが、仕組みはシンプルです。

退職金の計算式「俸給月額 × 支給率 + 調整額」

公務員の退職手当は、以下の計算式で求められます。

退職手当 = 退職日の俸給月額 × 支給率 + 調整額
  • 俸給月額:退職する時点での基本給(手当は含まない)
  • 支給率:退職事由と勤続年数の組み合わせで決まる係数
  • 調整額:在職期間中のポジション・役職に応じた加算額

実際の退職手当のほとんどは「基本額(俸給月額×支給率)」で決まります。調整額は数十万〜百万円程度が多く、基本額の補完的な位置づけです。

支給率は「退職事由」と「勤続年数」で決まる

支給率を左右する最大の要因は退職事由です。大きく分けると以下の3種類があります。

退職事由 特徴
定年退職 最も高い支給率。勤続年数が多いほど大きくなる
早期退職(応募認定) 定年退職よりわずかに高い支給率が適用される場合がある
自己都合退職(普通退職) 定年退職に比べ大幅に低い支給率

転職のために自ら辞める場合は「自己都合退職(普通退職)」に該当します。この場合の支給率は、国家公務員退職手当法の別表をもとに算出されます。地方公務員は各自治体の条例で定められますが、多くの場合、国家公務員の基準に準じています。

自己都合退職の支給率目安(勤続年数別)

勤続年数 自己都合支給率(目安)
10年 約6.5〜7.0
13年 約8.5〜9.0
15年 約10.0〜11.0
18年 約13.0〜14.0
20年 約19.0〜20.0
25年 約28.0〜30.0
30年 約37.0〜39.0

※国家公務員退職手当法の支給率に準ずるもの。地方公務員は自治体により異なります。

ここで注目してほしいのが、15年から20年にかけての支給率の跳ね上がり方です。15年でおよそ10〜11に対し、20年では19〜20と、ほぼ倍近い差があります。この差が「勤続20年の壁」と呼ばれる理由です。

(関連記事)給料以外で見落としやすい「転職後のお金の変化」


【実際に計算】勤続15年の地方公務員が今辞めたら退職金はいくら?

以下は、地方公務員(一般行政職)が自己都合で勤続15年退職した場合の一般的な計算例です。俸給月額は各自治体の給料表・号俸によって異なるため、実際の退職手当は必ず所属自治体の人事課または共済組合に確認してください。

計算例で使用している支給率(10.5)は、人事院「退職手当の支給」に基づく国家公務員の支給割合を参考にしています。地方公務員は各自治体の条例により支給率が定められており、国家公務員の基準に準じていることが多いとされています。

地方公務員の退職手当の支給状況については、総務省「地方公務員の退職状況等調査(令和6年度)」でPDF形式の詳細データを確認できます。

計算の前提条件

条件 設定値
在職先 地方公務員(一般行政職)
勤続年数 15年
退職日の俸給月額 260,000円(計算例として設定。実際は各自治体の給料表・号俸によって異なります)
退職事由 自己都合退職(普通退職)
支給率 10.5(自治体によって差あり)

俸給月額は自治体の「給与条例」と「給料表」で確認できます。給与明細の基本給欄に記載されているものです。月収や手当込みの金額とは異なる点に注意してください。

計算してみた結果

計算項目 金額
俸給月額(計算例) 260,000円
支給率(15年・自己都合) 10.5
基本額(俸給月額×支給率) 2,730,000円
調整額(在職期間中の職位による) 約500,000〜700,000円
退職手当の概算合計 約315〜330万円

「そんなに少ないの?」と感じる方もいるかもしれません。これはあくまで計算例ですが、自己都合退職の場合、退職手当が定年退職と比べて大幅に低くなることは事実です。

地方公務員の退職手当の勤続年数別・退職理由別のデータは、総務省「地方公務員の給与・定員等の調査結果」で公開されています。ご自身の正確な退職手当額は、所属自治体の人事課に依頼してシミュレーションしてもらうことを強くおすすめします。

定年まで待った場合との比較(「20年の壁」)

退職タイミング 概算退職金 定年との差
今すぐ(15年) 約315〜330万円 約1,700万円少ない
5年後(20年) 約750〜900万円 約1,200万円少ない
10年後(25年) 約1,100〜1,300万円 約800万円少ない
15年後(30年) 約1,500〜1,700万円 約400万円少ない
定年(38年) 約2,000〜2,200万円

こうして並べると、5年待って20年で辞めると退職金が約2倍になることがわかります。「あと5年続ければ倍になる」というのは事実です。ただし、この比較だけで転職の判断をするのは危険です。理由は後述します。

「勤続20年の壁」なぜ20年で退職金が急増するのか

支給率の変化を見ると、15年→20年の5年間で支給率が約10→約19〜20と、ほぼ倍に跳ね上がります。一方、10年→15年では約6.5→約10.5と、増え方が比較的緩やかです。

この急増の背景には、国家公務員退職手当法の支給率設計があります。20年を超えると「長期勤続者」として計算体系が変わるため、支給率の増加ペースが大きくなります。地方公務員もこの仕組みを参考に条例を定めているため、多くの自治体で同様の傾向が見られます。

「あと5年」の誘惑は強力です。でもその5年間を今の職場で過ごすコストについても、同じ熱量で考える必要があります。


退職金にかかる税金と「退職所得控除」の仕組み

退職金は手取り全額ではありません。退職所得税がかかります。ただし、「退職所得控除」という大きな控除があるため、少額であれば実質的に非課税になるケースがほとんどです。

退職所得控除の計算式

退職所得控除は勤続年数によって計算されます。

  • 勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

例)勤続15年の場合:40万円 × 15年 = 600万円の退職所得控除

実際の税負担(勤続15年・退職金330万円の場合)

退職所得は以下の式で計算されます。

退職所得 =(退職金 − 退職所得控除)÷ 2

勤続15年で退職金が330万円の場合:

退職所得 =(330万円 − 600万円)÷ 2 = マイナス → 0円

控除額(600万円)が退職金(330万円)を上回るため、退職所得はゼロ。つまり税金はかかりません。

勤続15年前後で退職する場合、退職金が600万円を下回ることが多く、多くのケースで退職金の全額が手取りになります。これは知っておいて損のない情報です。

退職金を受け取ったあとの活用の考え方

退職金は一時金です。まとまった金額が一度に振り込まれるため、使い道を事前に決めておくことが重要です。

私が退職後に実践した順番は以下の通りです。

生活防衛資金として6か月分を確保:転職後の収入が安定するまでの期間をカバーする

残りは住宅ローンの繰り上げ返済には使わない:転職初年度は年収が下がるため、手元に現金を置いておくことを優先した

転職後に年収が安定してから資産形成を再開:NISAやiDeCoへの積立を再開した

退職金を受け取った瞬間に「一括で住宅ローンを返済しよう」と考える方がいますが、転職初年度の収入が不安定な時期に手元資金を減らすのはリスクがあります。慌てず、生活が安定してから判断することをおすすめします。


転職のタイミングと退職金:「もったいない」は本当か?

この記事で最も伝えたいのがこのセクションです。退職金だけを見て転職を先延ばしにすることが、本当に合理的な判断なのかを、数字で考えます。

私が15年で退職を決めた理由(体験談)

私が退職手当の計算をしたとき、手元に残る金額は約380万円でした。「少ない」と思いました。正直に言います。

でも、そのとき私はこう考えました。「この380万円を守るために、あと5年ここに留まることの代償は何か」

当時の私にとって、市役所での仕事は年々つまらなくなっていました。スキルが積み上がらない、異動のたびに白紙に戻る、成果を出しても評価が変わらない。このまま5年過ごすことの精神的なコストを考えたとき、退職金の差額500万円はそのコストを補うには十分ではないと判断しました。

「5年待てば退職金が500万増える」の反論

5年後の退職金の増額分を約500万円とします。では、その5年間の機会コストはどれくらいでしょうか。

私自身の転職後の年収変化を一例として示します(個人差があります):

  • 転職初年度:年収350万円(200万円ダウン)
  • 2年目:年収380万円
  • 3年目:年収420万円
  • 4年目:年収480万円
  • 5年目:年収520万円

5年間の累計年収を計算すると、公務員のまま過ごした場合は約2,750万円(550万円×5年)。転職した場合の5年間は約2,150万円。差額は約600万円です。

一見、「公務員のまま5年働いた方が600万円多い」ように見えます。ですが、この比較には転職後6年目以降の収入が含まれていません。

転職後6年目以降、年収が550万円を超えて600万円・700万円と伸びる可能性があるなら、その時点で損益分岐点を越えます。 転職のキャリアは年功序列ではなく、スキルと実績で年収が伸びるため、上昇の角度が公務員より急になることも珍しくありません。ただし、転職後に年収が思うように回復しないケースもあります。転職前に最悪のシナリオも想定した上で判断することが大切です。

(関連記事)後悔しないための「家族と資産を守る」具体的な戦略

「5年待つ」という選択肢の隠れたコスト

お金の計算以外にも見逃せないコストがあります。

①採用市場での年齢

現在35歳で、5年待てば40歳です。転職市場において、35歳と40歳では受け入れられる職種・業界の幅が異なります。「ポテンシャル採用」の対象は概ね35歳前後まで、40歳以降は「即戦力」を求められる場面が増えます。今の自分が「未経験歓迎」の求人に応募できるなら、5年後は応募資格すら失う可能性があります。

②定年延長の影響

公務員の定年は現在、段階的に65歳へ延長されています。これにより定年退職のタイミングが遅くなるだけでなく、60〜65歳の5年間は「管理職経験者」であっても役職定年・賃金カットが適用されるケースがあります。「定年まで待てば2,000万円」という前提が崩れる可能性があるのです。

③精神的コスト

これは数字では測れませんが、「やりたくない仕事を続けている感覚」が精神的健康に与える影響は無視できません。私の周囲には、転職を先延ばしにし続けた結果、うつ状態に陥った元同僚が複数います。精神的なコストは、退職金の差額で補えるものではありません。

退職金より「転職後の年収回復曲線」で判断する視点

最終的に私が出した結論はこうです。「退職金はいくらもらえるかではなく、転職後に何年でいくら稼げるかを考えるべきだ」

退職金は一時金です。一方、転職後に年収が上がり続けるなら、その差は毎年積み上がっていきます。退職金の差額を1〜2年で取り戻せるキャリアプランが見えているなら、今すぐ動くことに経済的な合理性があります。


退職金が少ない場合の3つのリスクと対処策

退職金が少ないケースでは、転職後の生活設計を慎重に立てる必要があります。

リスク①:転職後の年収ダウン期間の生活費不足

転職初年度の年収が大幅に下がる場合、毎月の生活費が赤字になるケースがあります。生活防衛資金として、生活費の6か月分を現金で確保しておくことが最低ラインです。

私は退職金の約半分(約190万円)を生活防衛資金として別口座に移し、残りは短期投資ではなく現金で保持しました。

リスク②:住宅ローンがある場合の注意点

住宅ローンを抱えている場合、毎月の返済額が収入に対して重くなる可能性があります。

転職前に確認すべき点は以下の通りです。

確認項目 内容
月々の返済額 転職後の想定月収で払い続けられるか
ボーナス払い 転職先のボーナス水準を確認する
固定費の見直し 通信費・保険料など削減できる費用を整理する
緊急時の対応 住宅ローンの返済猶予制度を事前に確認しておく

私の場合、住宅ローンの月々の返済額は約8万円でした。転職後の手取りで支払い続けられるかどうか、妻と一緒に3年間のシミュレーションをしてから決断しました。

リスク③:退職後の社会保険の空白期間

公務員を退職すると、翌日から国民健康保険や国民年金への切り替えが必要です。この手続きを怠ると、無保険期間が生じます。また、転職先への入社まで期間が空く場合、この期間の保険料は全額自己負担になります。

退職月の翌月から国民健康保険料が発生します。金額は前年の所得をもとに計算されるため、公務員時代の年収550万円がベースとなると、国民健康保険料はかなり高額になります(年間50〜70万円程度)。この点を事前に把握して、転職のスケジュールを組むことをおすすめします。

(関連記事)定年延長・退職金減額……「安定」の定義が変わっている


早期退職制度・定年延長で退職金はどう変わるか

早期退職制度を使うと退職金は増える

国家公務員には「早期退職募集制度(応募認定退職)」があります。これは、国が一定年齢以上の職員を対象に早期退職を募り、応じた職員には通常の自己都合退職よりも高い支給率が適用される制度です。

早期退職の支給率は、通常の自己都合退職の支給率に、定年までの残年数 × 割増率を加算した形で計算されます。たとえば定年まで10年残している職員が早期退職した場合、自己都合退職よりも数百万円高い退職金になる場合があります。

地方公務員も同様の制度を設ける自治体が増えています。在職中に早期退職制度の詳細を人事担当に確認しておくと良いでしょう。

定年延長で退職金が実質的に減少するケース

現在、公務員の定年は60歳から65歳へ、2年ごとに1歳ずつ引き上げられています(2023年度より開始)。

一見すると「5年長く働ける=退職金が増える」と思えますが、実態は異なります。定年延長後の60歳以降は、役職定年制が適用されるケースが多く、管理職から非管理職への降格と同時に俸給月額が大幅に下がります。退職手当の基本額は「退職日の俸給月額 × 支給率」で計算されるため、俸給月額が低い状態で定年を迎えると、退職手当の基本額も下がる可能性があります。

つまり「定年まで待てば確実に2,000万円」という前提は、今後は崩れる可能性があるということです。

転職を考えている公務員が定年延長制度を知っておくべき理由

2025年現在、定年延長の影響を受けるのは主に50代後半の職員ですが、30代・40代の方にとっても「将来の退職金設計」を考える上で重要な情報です。

「定年まで待てば安泰」という固定観念を持ったままでいると、制度変更によって手にできる退職金が想定より少なくなるリスクがあります。転職するかどうかに関わらず、現在の退職金制度の変化は把握しておく価値があります。


公務員の退職金は民間企業と比べて多いのか?

「公務員の退職金は多い」とよく言われます。実際のところはどうでしょうか。民間企業の退職金データと比較しながら整理します。

民間企業の退職金の実態

厚生労働省「就労条件総合調査」によると、民間企業の退職金(退職一時金制度)の平均支給額は、大卒・勤続20年以上の自己都合退職で約300〜500万円程度とされています(企業規模・業種によって大きな差があります)。

一方、地方公務員の勤続20年・自己都合退職の退職手当は約750〜950万円です。この数字だけ見ると、公務員の退職金は民間より多いと言えます。

ただし、注意が必要です。

民間企業の中でも、大企業は退職金が充実しています。東証プライム上場企業の定年退職金(大卒・管理職)は2,000万円超の企業も少なくありません。また、退職金制度がない企業も民間には多く(特に中小企業)、「民間」の平均は大企業・中小企業を含めた数字です。

つまり、公務員の退職金は「民間の中小企業よりは多いが、大企業の定年退職者と比べると特段多くはない」というのが正確な評価です。

退職金制度の「ある・なし」問題

転職先を選ぶ際、退職金制度の有無は確認しておくべき項目です。スタートアップや一部の中小企業では退職金制度がないケースがあります。その場合、老後の資産形成はiDeCo(個人型確定拠出年金)や自己積立でカバーする必要があります。

私が転職を決断する際、転職先の退職金制度もチェックしました。iDeCoへの加入が可能で、確定拠出年金を設けている企業であれば、退職金は「自分で積み立てるもの」として割り切ることができます。公務員時代の退職金が少ないことを嘆くより、転職後に自分で資産を積み上げる仕組みを整えることの方が、長い目で見ると重要だと感じています。

「公務員の退職金がもったいない」という感覚を整理する

「公務員を辞めると退職金がもったいない」という感覚は、多くの場合「定年退職まで待った場合の最大額」との比較から来ています。でも、この比較は公平ではありません。

転職先で定年退職を迎えた場合の退職金も存在します。公務員を早期退職して民間に転職し、20〜30年のキャリアを積んで退職した場合の退職金を加えると、トータルの退職金総額はむしろ増える可能性があります。「公務員時代の退職金だけ」を切り取って比較するのではなく、転職後のキャリア全体で考えることが大切です。


公務員の退職金と転職に関するよくある質問Q&A

Q1. 退職金はいつ振り込まれますか?

退職した翌月中に振り込まれるケースが多いです。ただし、自治体によって異なります。私が勤めていた市役所では、退職日から約3〜4週間後に指定口座に振り込まれました。

退職後すぐに収入がゼロになる期間がありますので、退職金が振り込まれるまでの生活費を別途確保しておくことをおすすめします。

Q2. 公務員を退職した後、失業保険(雇用保険)は使えますか?

使えません。公務員は雇用保険の適用除外であるため、離職しても失業給付(失業保険)を受け取ることができません。

その代わりとして、公務員には「退職手当(退職金)」が失業給付の代替的な役割を果たすとされています。転職活動期間中の収入は退職手当と手元資金のみになるため、収入ゼロの期間をどう乗り切るかを事前に計画することが大切です。

Q3. 転職先の退職金制度と合算することはできますか?

できません。公務員の退職手当と民間企業の退職金は、それぞれ独立した制度です。公務員時代の在職期間は、転職先の退職金計算には引き継がれません。

ただし、転職先がiDeCo(個人型確定拠出年金)や中小企業退職金共済(中退共)を導入している場合は、加入することで将来の退職金を積み立てることができます。転職先の福利厚生を確認する際に、退職金・企業年金制度の有無もチェックしましょう。

Q4. 退職金が少ないと住宅ローン審査に影響しますか?

退職金の金額は、住宅ローンの審査において直接評価される項目ではありません。審査で重視されるのは「現在の年収」と「返済比率(年収に対する年間返済額の割合)」です。

ただし、転職直後に住宅ローンを新規申請する場合は、勤続年数が短いことを理由に審査が厳しくなることがあります。住宅ローンの借り換えや追加融資を検討している場合は、転職後2〜3年収入が安定してから動くことをおすすめします。

既にローンを組んでいる場合でも、転職後の収入が一時的に下がることで月々の返済比率が上昇し、家計が圧迫されるケースがあります。転職前に「手取り収入に対する月々の返済額の割合」を確認しておきましょう。返済比率が25〜30%を超えるようであれば、固定費の見直しを先に行うことをおすすめします。


まとめ:退職金の計算は「転職するかどうか」を決める一要素に過ぎない

この記事で伝えたかったことを最後に整理します。

  • 勤続15年・自己都合退職の退職金は約380〜450万円が目安(地方公務員・一般行政職の場合)
  • 退職金に税金はほぼかからない(退職所得控除が大きいため、15年前後の退職金では多くの場合非課税)
  • 「20年の壁」は本当に存在するが、それだけを理由に転職を先延ばしにするのは危険
  • 「5年待てば退職金が倍」という誘惑より、「5年間の機会コスト」を同等に考えるべき
  • 定年延長の影響で「定年まで待てば2,000万円」という前提は崩れつつある
  • 公務員の退職金は民間中小企業よりは多いが、「特別に恵まれている」とは言い切れない

退職金はひとつの判断材料に過ぎません。転職後にどれだけの年収を稼げるか、どんなキャリアが積めるか、家族の生活をどう守るかですが、これらの総合的な判断が「転職するかどうか」の答えになります。

私が退職金の計算をしたのは、退職を決める直前でした。数字を見たとき、「少ないな」と感じました。ですが同時に、「この金額を手放す代わりに、今後の人生で何を手に入れられるか」を真剣に考えるきっかけになりました。退職金の計算は、「損か得か」を決めるためではなく、「今動くことのトータルの意味」を考えるための出発点です。

数字を正確に知った上で判断することが、後悔のない転職につながります。転職を考えているなら、まず自分の退職手当の計算をしてみてください。計算してみると、「意外と少ない」「思ったより多い」という発見があるはずです。その数字を知った上で、初めて「動くかどうか」を判断できます。漠然と「もったいない」と感じているだけでは、何年たっても前には進めません。

この記事が、あなたの判断の一助になれば幸いです。

ご質問やご相談があれば、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。

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大阪府の某市役所に15年勤務後、35歳でIT企業へ転職。最初の転職で年収200万円ダウンを経験。事務職兼カスタマーサポートを経て、現在は完全在宅勤務のWebマーケターとして働いている。このブログでは、公務員から民間への転職について、年収ダウンの現実も含めた実体験を発信中。

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